ふらふら ※
時計がないため正確な時間がわからないが、外は暗くなりだしている。
俺が外の様子を見に行っていた時にカリスは起きたらしい。
「コウタありがとうな。」
「気にするな。」
傷口を見せてもらったがまだ完全には塞がっていない。
今は皮膚が裂けている状態だ。
消毒などの文化はないのだろうか?
今はどうすることもできないが...。
レイとアンが二人でカリスの腕を固定し直している。
そんな幼馴染がいるなんて羨ましい限りだ。
「レイ、今のところは魔物はいないんだよな?」
「ええ。私には感知できないわ。」
「そのスキルの効果範囲はどのくらいなんだ?」
「効果範囲?きちんと確かめたことがないからわからないけど、ここから洞窟の入り口くらいまでかしら?」
なら50mより少し長いくらいまでは確実だと思っていたほうが安全だろうか?
ハウンド戦ではもう少し長かったような気もするが、まあ、油断は大敵だ。
「俺一人で洞窟の奥に行ってこようか?」
これはずっと思っていたことだ。
カリスは今でも戦おうと思えばできるだろうが、リスクが高い。
アンは遠距離ならやれてもカリスとアンを確実に安全とは言えないここに置いていくことも抵抗がある。
それに何か起こった時にアンを連れて逃げれる自身がない。
「コウタ、俺は明日になればある程度は今よりも回復するだろうし明日みんなで行くほうが安全だろ?アン、レイもそう思うだろ?」
「そうですよ、コウタさん。」
「私も反対ね。」
「あぁ、わかったよ。今日はここでキャンプだな?」
「ああ、頼む。」
今日は全員保存食で済ませた。
買っててよかった、保存食。
今度からもう何食分か持って来ようと思った。
次の日外に時間を確認するため一人で行ったときにゴブリン一体と戦闘になったが問題なく倒せた。
逃がしたやつと比べたら雲泥の差だ。
まあ、こういう油断が死に繋がるんだろうが。
ドロップは小角だけだった。
三人の元へ戻る。
SPは何に振るべきだろうか?
今は思案中だ。
「お帰りコウタ。」
カリスはもう起きたようだった。
「何かあった?」
「ゴブリンが一体だけ。」
「はぁ、ちゃんと呼びなさいよ。」
レイは少しだけ怒っている。
レイもなんだかんだ優しい。
この三人とこれからパーティを組み続けてもいい気もする。
三人に何かしらの形で迷惑がかかるならやめるべきだろうが。
アンの魔法で周りを照らしつつ、探索を再開する。
道中魔物は一匹もいなかった。
洞窟の最奥に近づくにつれてどんどん匂いが強くなっていった。
何かが腐ったような匂いだった。
奥には人間の何人かの死体と、ボロボロの女性がいた。
壁に首輪のようなもので繋がれており、アンが魔法で焼き切って切断してくれた。
アイテムは特にはなかった。
その女性は腱を切られており、俺が村まで運んだ。
帰り道、女性はずっと泣いていた。
誰も、何も喋らなかった。
彼女はずっと何かを握りしめていた。
ブローチだろうか?
まあそれは、俺には関係のない話だ。
洞窟の中にあったほかの死体はほとんどランクタグを身に着けていた。冒険者だったんだろう。
ランクタグのみを回収し死体はアンが焼いた。
名前だけは答えてくれて、メリアだということが分かっている。
洞窟の中にあった死体で見覚えのある顔はなかったそうだ。
村に着くと盛大出迎えられた。
村はメリアが帰ってきたとお祭り状態だった。
村の中心に机を並べ、大量の料理が並べられた。
カリスはいろいろな人に誘われ酒を注がれていた。
俺は気分にならず先に戻るとアンに伝え宿屋に戻った。
おかみさんは驚いていて声をかけてくれたが無視してしまった。
あの大量のウジにたかられていた何かが本当に人間なのだろうか?
俺は初めてこの世界で人間の死体を見た。
今もずっと船酔いしているみたいだ。
体を拭いて服を着替えるのもやっとだった。
ベットに寝ても天井が動いているみたいだ。
体を吐き気とだるさが襲う。
慣れるだろうか?
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LV 5
EXP 634/1000
SP 237
HP 7/37
MP 2/23
STR 22
ATK 22
VIT 20
DEF 15
INT 13
RES 11
DEX 12
AGI 20
LUK 5
スキル
地属性の適正Ⅰ LV2
獲得経験値増加 LV1




