アスガの村到着。 ※
今日中に村につくためにできる限り急いで進んでいる。
昨日のキャンプが早かったため進行が遅れているからだ。
非常に申し訳ない。
昨日まではあまり話しかけてこなかったアンも俺に話を振ってくれるようになったのはうれしい限りだ。
カリスが
「コウタは兄弟とかいたのか?」
と聞いてきた。
「母と二人だったよ。あっ、義兄弟ならいるよ。」
「義兄弟?」
「ああ、義兄弟。優しくて少し気持ち悪いけどイケメンでいいやつらなんだ。」
「その方たちは?」
とアンが聞いてくる。
何て答えればいいんだろうか?
「うーん。まあ、元気でやってると思うよ。俺より全然強いしね。」
「なんであんたはその義兄弟?と一緒に旅しなかったの?あんたがいた村と関係ある?」
「ああ、その村の風習みたいなものだったんだ。」
「ふーん」
レイはそうそっけなく返してくるが
俺の出身地の話はタブーみたいな雰囲気がある。
助かると言えば助かるのだが少し申し訳ない。
「カリスは?」
「俺は一人っ子だよ。一緒に育ったしほぼ家族同然だったから何なら二人は俺の兄弟みたいなものだよ。」
アンとレイは少し複雑そうな顔をしているがカリスは気づかずに続ける。
「俺の親が結構早くに俺を守るために魔物と戦って死んだんだ。その時本当に二人がいてくれてよかった。二人がいなかったら俺はその魔物を追って結局殺されていただろうしな。」
カリスは少し悲しそうに笑顔を作る。
いや心から笑ったのかもしれない。
二人を流し見て
「俺がいきなり冒険者になるって言ったらついてきてくれたんだ。結構無茶もやってるし二人がいなかったらコウタとも会えてないし俺の義兄弟?には感謝してもしきれないよ。」
と言った。
「好きで来たんだし別にいいわ。」
アンはそう言ったレイを見てすこし驚いた後
「私もだよ。」
と答えた。
レイはあなたが好きで来たという意味か、自分が来たくて来たという意味なのか判別がつかないが、これはただの惚気だろう。
俺も可愛い子たちに好かれたいなぁ。
「二人ともカリスのことが大好きなんだな。」
「ちがっ」
「…。」
「そうだと嬉しいよ。」
カリスはそう言い微笑む。
二人はカリスにばれないように俺を恨みがましく見てくるが無視して進む。
この国では三人で結婚できるのだろうか?
わざわざ結婚という形式に縛られる必要があるかどうかはいまいち俺にはわからないが。
レイが
「何かいる!正面3?」
鋭く叫ぶと今まで弛緩しきっていた雰囲気が一気に切り替わる。
50cmほどの草が覆い茂っており正体は見えない。
草がかき分けられながら見えない何かが強襲してくる。
一番先頭にいた俺が狙いだろう。
三方向から同時に飛び出してきた。
瞬間右のハウンドはファイヤ―スピアが直撃した。
左のハウンドをバックラーで正面をハウンドを剣で自分の体を回転させつつ受け流す。
レイが剣で受け流したほうのハウンドに高速で一撃を叩き込み地面が砕けハウンドのパーツが飛び散る。
もう一匹のハウンドはカリスが難なく倒した。
レイの攻撃はオーバーキルじゃないんだろうか?
まあ、倒せたなら全然いいのだが。
「三人ともありがとう。」
「いや、ハウンドがばらけてかなりやりやすかったよ。」
「たまたまさ。」
ハウンドのドロップアイテムを回収しつつ答える。
「アンの魔法がなかったらまた噛みつかれてたし本当にありがとう。」
「いえ、不用意に動かないでくれたので狙いやすかったです。もしかしてわざとですか?」
アンは目をキラキラさせている。
動けなかっただけなんですけど。
「詠唱には30ビョウかかるんじゃなかったのか?」
そう言い話を逸らす。
「あ。えーと、む、無詠唱です。」
「なるほど無詠唱か。助かったよありがとう。」
「魔法はあと何発くらい撃てるんだ?」
「えーといまなら2発くらいです。」
「了解。」
何か特別なスキルがあるのだろうか?
まあ、俺にすべてを公開する必要はないしな。
それ以降アスガの村まで戦闘はなかった。
ゲームでは何度も戦闘になったりするが、ダンジョンか夜でもない限りこの地域で魔物に5回以上1日で戦闘になることはごくごくまれだそうだ。
アスガの村には少し暗くなりだしたころに到着した。
アスガの村は木の柵で2重に村を囲っており要塞の様だった。
門番にクエストで来たという旨を説明し、依頼主である村長に会いに行った。
門番たちもそうだったが物凄く喜んでいた。
「よくぞお越しいただきました。冒険者様方。このような報酬金の少ない依頼を受けてくださりありがとうございます。」
とエイデと名乗った村長はカリスの手をつかみほとんど泣きながら言った。
「い、いえ。」
あまりの勢いにカリスが気押されている。
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LV 4
EXP 385/500
SP 80
HP 32/32
MP 20/20
STR 19
ATK 19
VIT 16
DEF 12
INT 11
RES 7
DEX 10
AGI 17
LUK 5
スキル
地属性の適正Ⅰ LV2
獲得経験値増加 LV1




