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血沸き肉躍るダンスでダンス


パーティーの作戦は、カリスと俺が前衛でレイが全体のサポートを柔軟に行いアンは後方支援を行う。


アンの得意分野は火属性の魔法でレイは身体能力の強化系を主軸に風属性の魔法が使えるそうだ。


カリスも強いて言うなら火属性が得意らしいが魔法は基本使わず、身体能力強化系の魔法でごり押しているという風に聞いた。


バランスが悪いと言えばそれまでかもしれないが、得意な相手にはめっぽう強いパーティだろう。


ただ、レイは


「私は身体能力系の魔法と、最近風属性の魔法が使えるようになったんだ」


と誇らしげに言っていた。


複数の属性を使えることはもしかしてすごいことなのだろうか?


勇者は真面目にやっていなかったものでもほとんどが全属性を操れる。


俺もそうだが雷属性なら静電気程度、火属性ならマッチ程度がほとんどだが。


この程度は魔法のうちには入らないのだろうか?


ここはまだわからない。


「俺は土属性しか使えないんだ。」


と言っておくことにした。


「土って...。本当に戦えるんでしょうね?」


レイがそう言うと


「レイ」


とカリスがたしなめる。


「まあ、カリスもいるしいいけど...。」


この反応は普通に考えれば当然だ。


俺は銅10の素性も分からない冒険者。そんな人間に自分たちの背中と大切な仲間を預けるのだ。


「まあ、そこそこ戦えるとは思うが、もしもの時は俺を見捨ててくれて構わない。」


カリスが何か言おうとする前にレイが


「見捨てはしないわよ、それは絶対。」


真剣なまなざしでそう言い切った。そのあとに


「死体になったとしても村に連れて行ってあげるわ。」


と言ってきた。


「身寄りがいない村に連れていかれてもなぁ、なぁカリス?」


「いい村よ、そうよねカリス?」


レイはそう笑顔で返してきた。


土?と聞き返したときも嫌な感じはしなかった。単純にがっかりしただけなのだろう。


カリスは完全にあきれ果て、アンはただおろおろしていた。





俺たちの最初の戦闘はハウンド3体で6時間ほど進んだ時だった。


ハウンドは三体で周囲を円状に回りながら徐々に距離を詰めてくる。


そのためいきなり作戦は失敗だ。


「アン詠唱を!コウタ、アンを頼む詠唱は30ビョウだ。」


「わかった。」


アンはもうすでに詠唱に入っている。


時間はオリ、分はメルなのに最後になぜビョウなのだろうか?今まで気にしていなかったことが唐突に頭によぎる。


カリス、レイがそれぞれ別のハウンドに向かい走る。


おかげで一体を見ればいいだろう。


だがハウンドは俺を無視しレイの方に走った。


「レイ!」


後ろからも何となくだが気配がする。


「わかってる!」


今対峙しているハウンドから少し離れつつ向かってくるハウンドに対しレイは自身の左手を突き出し


「ウィンド!」


と叫んだ。


瞬間手に緑色の魔法陣が浮かび発光する。


レイはウィンドウと呼ばれる威力の低い空気弾を無詠唱に近い形で放ったのだろう。


まあ、見えないのだが。


着弾点から砂煙が上がりハウンドが怯んだ。


そのハウンドに剣を投げつけ後ろを警戒するためアンの後ろに回る。


グシュと言う筋肉の切れる音とともにハウンドが「キャン」と言う鳴き声が響く。


思ったより投げたら当たるものだ。


その瞬間草むらからもう一体のハウンドが飛び出してくる。


警戒されえていることを悟ったのだろう。


その瞬間ハウンドは口を開いた。


「しまっ」


そこにはさっき見たような緑色の魔法陣が広がっていた。


アンは後ろのハウンドに気づいているだろうか?



見えない何かが勢いよく顔にぶつかった。


「アっぐぎぃ」


アンに知らせようとしたため意味不明な声が出て体勢が維持出来ず頭から地面に叩きつけられる。


「詠唱かんりょ?う」


アンは倒れた俺を見て呆けている。




「上位種!!!」


俺はそう叫びつつ焦ってハウンドの真下を隆起させ貫こうとするが失敗した。


視界が真っ赤に滲んでいる。


また出血したのか。


すぐに立ち上がり短剣を抜く。


俺の魔力量では次隆起させたらもうしばらくは魔法は使えない。


「アン魔法は?」


聞くと


「いっ、いつでもいけます。」


魔法の威力はわからないがないよりはましだ。


カリスはハウンド一体を倒しているようだがいきなりで動きが鈍った。


上位種は向かってくる。


やるしかない。


ハウンドが俺に向かって突進する。


後れてカリスがこちらへ動き出す。


ハウンドの攻撃法は噛みつくか引っ掻くか体当たりしかない。


勿論ほかにも考えられるが単純な攻撃方法はそれだけだ。


俺は鎧を着ているからかなり有利のはずだ。


魔法が俺に効いたのはハウンドもわかっているだろうから、続けて撃ってこないのは魔力切れか?


ハウンドの引っ掻きを無視して短剣をハウンドに踏み込みつつ振るう。


が異様に堅く浅くしか切れななかった。


引っ掻きも通っていないからまあ五分五分だろうか?


先制攻撃はノーカンだ。


ハウンドは少し離れ今度は魔法陣が四つの足の下に現れる。


「魔法?」


カリスが驚きつつ剣と盾を構える。


「来るぞ」


カリスは反応できておらずカリスの顔の前に口があった。


つい手を口の前に伸ばしてしまう。


餌やりかな?


カリスを突き飛ばせよそう思ったのもつかの間


「いっだい!」


鎧を歯が突き破り肉が裂け激痛が体中を走り回る。


「あああああ!」


声にならない声を上げつつ、左手を引き寄せ右手の短剣を突き出しハウンドの横っ腹に突き刺そうとするが短剣はバキッと嫌な音を立てて折れた。


仕方ないのでハウンドにそのまま組つき締め上げる。


「どいて!!」


レイが猛スピードで近づき剣をハウンドに叩きつける。


刀身が緑色に光っているため風属性をまとわせているんだろう。


が、剣は弾かれた。


衝撃はすさまじく牙はより食い込んだ。ほんと痛い。


もうどこが痛いかわからない、いや、わかるのだが...。


「嘘でしょ!?」


もう仕方ないだろう。


「アンこのままハウンドに魔法を」


「でも、」


「攻撃が誰も通らないならここで全員死ぬかもしれないんだぞ!はやく!」


痛い痛い痛い。とがった牙が肉を裂き今は俺の骨とダンス中だ。


「アン!コウタいいんだよな?」


カリスの声に俺は奥歯を噛み締め小さく首を縦に振る。


「ひっ、火よ、敵を穿て。ファイヤ―スピア!」


あっつ


魔法の勢いはすさまじくハウンドごと3mほど吹き飛んだ。


ハウンドは俺より先に立ち上がり逃げ出す。


「コウタ大丈夫か?」


カリスが心配そうに声をかけてくれるが


「先にハウンドを、周辺には村があるんだろ?あいつが回復したらやばいのはわかるだろ?」


優先は上位種のはずだ。


危険度的にも、それにここまでやってほかのパーティーに取られるのは我慢ならない。


「立てるか?」


「ああ、」


何とか立ち上がる。


鎧を確認すると中心に直径1.5mmほどの小さな穴が開き周りが焦げている。


これ結構やばかったな。


ハウンドは運よく近くで動けなくなっていた。


アンに頼み、もう一度ファイヤ―スピアで攻撃してもらった。


ハウンドは青い粒子になって消滅し結構な量のアイテムがドロップして総取得経験値が70増えた。


4人で等分されているはずだからかなりの稼ぎだ。


俺が負傷してしまったが戻れる距離でもないため今日はここでキャンプするそうだ。



鎧最高。ゴレス愛してる。



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― 新着の感想 ―
[一言] みんな強くないな。 まぁ主人公のレベルが低いのも悪いが……
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