チョロインカリスとアスガの村へ
念のためにそこそこ高いポーションも買っておくべきだろうか?
スリアの雑貨屋に売ってあった最高額のポーションは金貨二枚(100000エン)だ。
純粋に高すぎる。一体どれほどの効果があるのだろうか?
上級ポーションが金貨一枚(50000エン)中級が大銀貨1枚(10000エン)だ。
カリスの持ってきていたゴブリンの討伐は10体討伐で大銀貨1枚だった。
まあ中級ポーションでも赤字なのには変わりないのだが、死ぬよりは安いだろう。
中級ポーションを二つと初級ポーションを3つ買った。
初級ポーションは大銅貨1枚(1000エン)と比較的安価で、合計23000エンだ。
買うときに調合師のおばあちゃんに
「本当にあんたが必要なのかい?」
と聞かれた。
「一応、その、念のため。」
「そうかい。」
会話はそれだけしかなかったが本当に必要かはわからないというのが本音だ。
まだ二日しかたっていないが300000エンほど使っている。
笑えないな。
まあ、装備が今のところ大半だが、金銭感覚が微妙にあっていない感じがする。
このままだと一文無しも時間の問題だ。
そのあと非常食を別の店で1食分買った。
数日抜いたところで死にはしないのだ。
まあ、不安で一食分は買ったのだが。
一か月くらいなら水につけたりしなければ保存がきくそうだ。
宿屋に戻り食事をとった。
今日は焼き魚とふかし芋、野菜のスープだった。
見たことがあるような見た目のものや、似ていても味が違うものも多く今は何を食べてもおいしい。
コーンのような見ための煮豆のような味のスープに入っていたものには驚いた。
名前はニコらしい。勇者が最初に食べ始め広まったのだとか。
煮豆とコーンでニコじゃないよな?
まあ、どうでもいいのだが。
ゴレスに砥石をもらった。
最低限の手入れはやれと言われたのだがどうすればいいかわからない。
今度ゴレスに聞こうと思う。
剣と鎧の手入れを行った。手入れと言っても汚れをぬぐって点検をしただけだが。
今日は一日鎧をつけていたが思っていたよりは疲れなかった。
感覚としては重い上着を着ているような感覚だった。
まあ、歩くたびに少しガシャガシャは言うのだが。
昨日さぼってしまった筋トレを行い、体をふいて寝る。
運動直後の睡眠はよくないのかもしれないがすぐに意識は落ちた。
朝はパンに目玉焼き、卵焼きにサラダだった。
勿論サラダの中にも卵が入っていたのだが。
どうやらご近所さんに分けてもらったらしい。
「すごくおいしいのだが。その...ほかの料理も食べたいなぁなんて。」
他の宿泊者がここで朝食をとっていた全員の気持ちを代弁してくれたが、おかみさんは、
「目玉焼きと卵焼きは違う料理だろ?ん?」
と言っていた。
まあ、そうですね。
今日は晴天だ。
道具をしっかり確認した後宿屋を出た。
数日帰らないということをおかみさんに伝えるとおかみさんはお金を返してくれようとしたが、それ
は流石に断った。
カリスたちとの待ち合わせ時間は特に決めてはいなかったから心配していたが結構早くに三人で現れ
た。
「あんた結構早いのね、」
レイはなぜあんなに俺に厳しいのだろうか?
まあ、どうでもいいか。
「おはよ、行こうぜコウタ!」
「ああ」
カウンターに行き、依頼書と水晶に一人ずつ魔力を流していく。
依頼の失敗には違約金がかかるものもあるらしいが、この依頼にはそういったものはないそうだ。
今回は昨日ほど魔力を吸われることもなかった。
ステータスで確認すると2しか減っていない。
「さあ、行こうぜ。」
俺たちは元気にスリアの村を出た。
アスガの村までは1日あればつくがアイテムを回収する都合上一日はキャンプをするらしい。
安全な場所でキャンプをするが安全な場所が外にあるのか?
まあ、先輩に従うべきだろう。
「コウタはどこから来たんだ?」
4人しかいないんだ。
テンションを下げるわけにはいかないだろう。
「遠くの田舎から来たんだ。」
「田舎?なんて村?」
「それは...。その。村というよりは集まりみたいなところで名前はなかったんだ。ただ魔物とかの
被害が多くてね。だから冒険者になろうと思ってここまで来たんだ。」
「わざわざ?」
「ああ。」
全て出まかせだがカリスが深く聞こうとしたところでレイが、
「ここまで逃げてきたんでしょ?だからランクタグも持ってなかった。違う?」
と言った。俺のいた村が何かしらの事情で無くなったのだと思ってくれたのだろう。
間接的な言い回しだったが何とか伝わってよかった。
「そうなのか?すまないコウタ。」
少し悲しそうな顔をして元気そうに振舞う。
我ながら名演技ではなかろうか?
「いや、いいんだ。名前も聞いたことのない名前だろ?それだけ田舎から来たってことさ。」
「本当にその、」
「謝らないでくれ、カリスたちの村を魔物被害から守りたいって言う考えはかっこいいって思った
よ。俺は今まで俺のことで手一杯だったしね。だからこそ誘ってくれてありがとう。」
「いいってことよ。」
カリスは泣きそうになっている。
なんかちょろいな。




