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忠告


王都近辺にできたとか言うダンジョンによる被害報告はめちゃくちゃだった。


ダンジョンは大きな魔力の塊に近い。


そのため、そのダンジョンの周囲にいる魔物が力をつけやすい。


ダンジョンによる被害というのはここの部分が一番多い。


ただダンジョンが本当に関係しているかはわからないというのが実情だ。


理由は一級の鑑定士であってもダンジョンの魔力量を調べることはできず、また、ダンジョンの規模


やダンジョン内の魔物の力と特に関係性はないと言われておりダンジョンの存在年数なのではない


か?と言われている。


だが、その場合、周辺のモンスターに影響を与えない初心者用のダンジョンについての説明がつかな


くなる。


まあ、そんな話はいいのだ。


問題は数日後にE、Fクラスが向かうことになるダンジョンへの勇者の出動理由だ。


端的に言うと意味が分からなかった。


まとめると


王都の近くにあり、出現する魔物も弱くなく、異種が確認されているわけでもない。


ということだった。


実戦経験のない勇者が向かう理由はどこだろうか?


「勇者様たちでないと...。どうか我々をお助けください。」


冒険者ギルドのマスターだと名乗った人が涙ながらに懇願している。


「勇者様、窮地に立たされた我々エンデ国民をお助けください。」


エンデ王が頭を下げる。


ひどく頭の軽い王だ。


「みんなやってやろうぜ!!」


「そうだな!」


「私たちはその...。勇者なんだもんね。」


だがほぼ全員が流されている。


少し疑念を持っているものもいるようだが、雰囲気作りがうまかった。


ダンジョンの情報の解説中に傷だらけの兵士が入ってきてこちらに緊張感を与えたり、年上で力や知


識のあるギルドマスターやエンデ王から頼られるというシチュエーション。


盛り上がらないはずがない。


ここにいるのは勇者の中では虐げられてきた側の人間たちなのだ。


作戦はひどく雑で、中心に魔法が得意なものたち。その周囲を近接戦闘が得意な者たちで守る。


このグループを4部隊作り、それぞれの道から前進するそうだ。


しかもE、Fクラスでそれぞれ2グループ作るわけではなく全員が均等に振り分けられていた。


ほとんど連携は取れないだろう。


いや連携を取らせないことが目的だとしたら大成功だ。


E、Fクラスは仲が悪い。


理由は単純でEクラスにとっては自分たちより弱い人間たちで、Fクラスにとっては少しステータ


ス、スキルが優秀だっただけでマウントをとってくる奴らだからだ。


この対立はクラス移動でより深くなった。


FクラスからEクラスに行ったものは2人だけいるが、EクラスからFクラスに落ちたものはいなか


った。


つまるところ、あなたたちは落ちこぼれだと認識されましたと言われたようなものだ。


まあ、うまくいかない。


班の発表が行われた瞬間から言い合いが始まっているグループもいる。


明日班での動きを確認し明後日出発するそうだ。





シルヴァ先生に


「今日までだ。」


そういわれた。


シルヴァ先生との居残り練習はいつも通りだった。


試合形式の練習も終了した後シルヴァ先生は静かに告げた。


「お前はダンジョンの遠征に行くな。途中で抜け出して他国か田舎で暮らせ。」


「何を言っているんですか?王都が危険なんですよね?」


何が言いたいのだろうか...?


「猿芝居はよせ。あの時俺たちの話を聞いていたのだろう。」


「何を言っているんですか?」


焦りすぎて声が裏返る。


ここでころされるのだろうか?


「俺はエンデ王の剣だ。エンデの指示は命を賭して遂行する。が、目撃者を殺せとは言われなかっ


た。」


シルヴァ先生は俺が見ていた前提で話を進める。


「シルヴァ先生は感知系のスキルはそんなにレベルが高くありませんよね?」


「それはお前だったという肯定でいいのか?」


答えられないで黙っているとシルヴァ先生が


「不思議か?お前はアイーネ・ツヴィアをどんな形であろうと助けた。その礼だ。」


「アイーネ先生は生きているんですか?」


シルヴァ先生は答えない。


「忠告はした。どうするかはお前次第だ。」


そう言って去っていった。


聞きたいことは聞けなかったがE、Fクラスの奴らが襲われることは間違いないのだろう。


なぜ清田を殺したのかはわからなかったが、襲われる。


それだけが分かれば十分だ。




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― 新着の感想 ―
[一言] この国何がしたいんだろうね?
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