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反復


シルヴァ先生の個人指導はまだ行われている。


ステータスの大幅な上昇はないが、剣を振る速度は少し上がっただろうか?


シルヴァ先生に直々に時間をとってもらえているのは幸運だった。


ただ、シルヴァ先生が清田たちを殺した可能性があるのも事実だ。


まあ、弱く、特に国の意向に反対していない俺が狙われる可能性は低い。


だからこそ教えてくれているのだろうか?


王国兵士であるアレスが言うには、シルヴァ・ローレンスは個人の判断で動かせる戦力があるそう


で、その戦力は王国兵士と物資を考慮しなければ渡り合えるのではないかと言われている。と言って


いた。あの魔物を扱っていた人もシルヴァ先生の兵団の一人なのだろうか...。


ただ、魔物は基本というか、正教会の教えでは堕落、穢れたモノとして扱っており、魔物使いはエン


デ国では極刑になっている。


だから、個人の戦力という言葉なのだが...。


聞いてみたら怪しまれるだろうか?


「シルヴァ先生は魔物使いみたいなひとたちを見たことがありますか?」


「コウタロウ、習っただろう?正教会では魔物はよくないものだ。魔物を従えることのできる者は人


ではない、そうだろ?」


話ながら簡単に剣を持ち、型に沿った打ち合いを行う。


「習いましたが...。もしかしたら勇者の中にそういったスキルを持つものも...。」


「お前を信用しているから言うが、実際に200人の中にいた。勿論誰とも言わないし、お前も他言


するなよ。」


いたのか。


「こちらとしても勇者の対応には困っている。勇者とは要約すれば神の遣いだ。俺はそう解釈してい


る。」


シルヴァ先生はすさまじい力で木剣を俺に打ち込みながらいつも通り気だるげに喋る。


どんな体の作りなのだろうか?


「そんな神の遣いの言葉や行動が粗雑。神の遣いなのに魔物を使役する。上げればきりがないが問題


だらけだ。」


はぁ...。と短い息をつき続ける。


その間も振るわれ続ける俺に受け止めきれるぎりぎりの威力の剣。非常にシュールだ。


「昔も勇者に言葉や行動に問題があり、女癖が悪い勇者もいたが、その時はこんなに勇者の数が多く


なかったため揉み消すこともそれなりにできた。ただ今回の召喚は勇者の総数が多すぎる。だが、勇


者がいなければ魔物の被害を抑えきれないだろう。俺も力を持てば、今もだが、昔より考えられない


ほど傲慢になった。」


シルヴァ先生の剣を受け止めた瞬間さらに押し込まれ、態勢を崩した瞬間剣を巻き上げられた。


「獲物はしっかり握れ。」


剣を拾うとシルヴァ先生が


「本気で来い。」


これがいつもの模擬戦の合図だ。


「はい」


意識するのは剣の型ではなく、剣をより自然に扱うことだ。


(型は最適化されたそのための過程でしかない。体の大きさでも動きは変わる。)


シルヴァ先生は講習中も口癖のように言う。いや、口癖なのかもしれない。


ただこれは振りやすいように振れということではない。


俺はまだ振りやすいように振っているだけだと言われている。


態勢を低く体で剣を隠し接近し、あと5mほどのところからロンダ―トのように体を捻りながら左手


で地面に触れ、


「大地よ。」


接地面からシルヴァ先生の立っている地面までを軽く砕きつつ、体を捻り斬りかかる。


シルヴァ先生は驚いたもののふらつかない、一体どんな体幹をしているのだろうか?


剣同士がぶつかるが、俺が空中にいたことと、純粋な筋力によって押しきられ、シルヴァ先生の剣が


腹にぶつかりそのまま吹き飛ばされる。


今ので俺は魔力を17使った上、本物の剣なら死んでいた。本当に何もかもコスパが悪い。


「今のは面白かったぞ。跳んだことで剣の軌道が読めなかった上威力も高かった。それに地面を砕い


たことで踏ん張れなくなったしな。」


少しこちらを見た後


「まだ立ててるか?」


「勿論立てます!」


「そうか...。こちらから行くぞ。」


そう言った瞬間シルヴァ先生が消え、目の前にいた。


咄嗟に剣を構えるが、まるで俺の剣は意味をなさずシルヴァ先生の剣が左肩に優しく当たる。


あれだけの力で打ち込んでしかも止めるのか...。


やっぱり化け物だ。


すぐに切り払うが、剣を振った時には剣先から三歩以上はすでにシルヴァ先生は離れていた。


その後も上段下段と見えるか見えないかぎりぎりの速度で打ち込んでくる。


受けると手がしびれるが受けれなかった時は、体には優しくしか当たらない。


振り返すが剣を落とされた。


「何か反省があればそれの解決方法を考えろ。」


それだけ言うとシルヴァ先生は帰っていった。


筋力はある程度合わせてくれているため、ステータスではなく剣の使い方に問題があるのだろう。


ラッシュされている時は受け止めることに必死でぐちゃぐちゃだった。


考えないで行動できるようになるまで繰り返せばできるようになるのだろうか?


まだ時間はあるがこんな風に教を乞える機会は少ないだろう。


基礎をできる限り固めるために素振りを行って部屋に戻る。




いつも一人だったのに、今は少し不思議な感じだ。


変わらないことはないのだろう。


何もかも進んでいく。


俺は最大限に努力しているだろうか?




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― 新着の感想 ―
[一言] ステータスがある話数に印が欲しいな。
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