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三人の出発と


三人は無事に帰ってきた。


『三人は』なのだが。


今回はAクラスの時とは比べ物にならないくらいの被害が出た。


Aクラスでもけが人自体は出たのだが、兵士や冒険者が死ぬということはなかった。


兵士冒険者が死んだ班はヒーラーも死んだため、回復ができず、なんとかボロボロの状態で戻ってき


た。


宮田にけがはなかったものの、班の人間、西田?だったかが大けがをしたらしく、宮田は


「この世界で自分たちは確かに強いンゴが、守備力が全身で均等なわけじゃないンゴ」


と言っていた。


それはそうだ。


首をはねられれば体力が残っていようと死ぬだろう。


西田のステータスはだいたい、今の俺より少し高いくらいなのだ。


それはこの世界の人間と比べればかなり高いものだろう。


だが、ただのコボルトにナイフで瀕死まで追い込まれたらしい。




「みやたくん!!」


宮田たちが帰ってきてから宮田と西田はよく話している。


もしかしたらそういう関係なのだろうか?


関係ない人間が口を出すのはきっと野暮だろうが浅沼は嫉妬でおかしくなりそうになっている。


まあ、ジョークとしての範疇だろうが、それでも女性に好かれるのは羨ましい限りだ。



王族側は


「清田たち、Sクラスの班は魔物に負けることは考えづらいため、継続的に捜索している。もしかす


ると魔王や魔族が関係しているかもしれない」と言っている。


いなくなったのはSクラス。


しかもかなり強いスキルを持っていた連中だ。


本当に王族が関係していないとしたらもっと必死に探さないだろうか?


勇者自体数が200人ほどいるからあまり気にしていないのか?


国民に勇者がいなくなった、や、勇者が魔族に負けたかもしれないなどネガティブな噂を流されない


ようにするための配慮だろうか?


これ以上数を減らさないために訓練を優先するという可能性も考えられるが、Aクラスだけでもそれ


なりにけが人が出ているし、訓練を優先するならきっと、ダンジョンへの遠征自体を延期するはず


だ。


だが現にCクラスは出発した。


Bクラス全班が戻ってきていない状況で、だ。


このままいけば下のクラスになればなるほどけが人は増えるだろう。


だが、回復魔法という技術も相まって危険度が伝わらない。


実際に体験した勇者たちは明らかに顔つきが変わっている。


ここで生き残れないような勇者は要らないということだろうか?


基本的な指導内容はすべて終わっているため、毎日基礎訓練だ。


それが正しいのだろう。


Cクラスが出発した二日後すべての班が帰ってきた。


三人を含めたAクラスは明日出立だ。


魔物の被害が大きくなっているらしい。


渡す道具やお金は変わらない。


三人のことだ、すぐに使い切ったり死ぬようなことは少ないとは思うが、ここは異世界だ。


どうなるかはわからない。




そういえば他国の魔物の被害についての授業は少ないのだ。


なんだかんだ長い間緊張状態であることには変わりないため、当然と言えば当然なのだが、他国にも


勇者は召喚されたのだろうか?


だとしたらかなりの、この世界の人間から見れば異世界人が来たのだ。


魔王なんて簡単に倒せるのではないだろうか?


そんなことを講習中に考えていた。


講習は自分が使う武器を決めるみたいなもので、実際にダンジョンに持っていこうと思う武器を選ん


でいる状態だ。


三人は剣を推していた。


まあ、ダンジョン内で使うのだ。


槍や大剣のような長物は使いづらいだろう。


ここは慎重に考えたいと思っている。


ここを出るときに支給される武器はかなり性能のいいものらしく、どうせなら使えるような武器がい


い。


今なら大剣のようなものも振り回せるだろう。


頭で思った行動ができるのだ。


だんだんダンジョンへの遠征が近づいているため、クラスの連中は楽しげだ。





今日はここで三人と過ごす最後の夜だ。


思えばかなり楽しかった。


まあ、それだけ...、それだけだ。


三人は最後の講習を受け、部屋に戻ってきた。


「待たせたでござるな、幸多朗殿」


「いや、待ってないよ。」


かなり遅くまで話していた。


これからのこと、注意するべきこと、なにをしたいか、これからどこに行くのか。


話題は尽きないが時間は有限だ。


三人はレベルやスキルを上げることを優先しながら人助けしてハーレムを作りたいと言っていた。


最後のは冗談交じりだったが、レベルやステータス、スキルの重要性は言うまでもないのだろう。


「その幸多朗さん...。」


木ノ下の声はずいぶん湿っていた。


俺の視界も滲んでいて木ノ下の顔を確認できないが、少しでも動いたら目じりに貯まった大量の汗が


あふれ出しそうだ。


「これまで楽しかったです。」


「そんなの俺もだ。お前ら明日早いんだから早く寝ろよ。」


「そうでござるな。勿論楽しかったでござるよ。」


「お休みンゴ」


そういい、宮田が灯りを消す。


もう誰も喋りはしなかった。


翌日三人とAクラスの連中は笑顔で出ていった。




元の世界に帰っても幸せかはわからないが、この世界にいることが幸せかもわからない。


この世界は思ったよりも死が近い。


俺は生きていけるのだろうか?


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