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ダンジョンからの帰還と出立。


ぼちぼちSクラスの奴らが帰ってきた。


ほんとんどのパーティで勇者の負傷は見られなかった。


あと3チーム戻ってきていないが、壊滅したとは考えられないため、問題はないだろう。


それに、勇者上位10名に選ばれた、【転移】という、MPを大きく消費し、文字通り好きな場所に


転移するという強力なスキルを持った清田という人がいるが、そいつの班も戻ってきていない。


だが他の二班も清田と一緒で恩恵が壊れている。


きっと何の問題もないだろう。


Aクラスの連中にSクラスに合流するかもしれないという可能性を考慮し、多めに物資を持たせた。


まあ、サバイバルも問題なくできるように訓練はされている。


食料という点も特に問題はないだろう。


Aクラスは全班出発した。




俺はいつも通り、シルヴァ先生から特別講習を受けている。


なぜここまでしてくれるのだろうか?


だが、今日は少し違い、いつもより早く終わった。


「疲労がたまっているようだから、早めに休め」


そう言われた。


俺はそうは思っていなかったが、こういう疲労なんかは自分では気づきにくいものなのかもしれい。


ただ、興味本位でシルヴァ先生は今からどこに行くのか?何をしているのかが気になった。


シルヴァ先生が移動したのを見計らいかなり後ろをついていく。


シルヴァ先生が冷静なら簡単に俺がつけていることも分かっただろう。


が、特にまかれることもなく、上級王国兵。つまりは貴族出身の王国兵の寮の先の森に入っていく。


何が目的だろうか?この先は基本森しかなく抜けたら城下町だ。


少し進み、シルヴァ先生の姿が見えなくなった。


俺を試しているんだろうか?


魔力を土に流し込む。


俺はまだ土を満足に隆起させたり陥没させることはできないが、索敵のようなことはできるようにな


った。


少し伸ばすと声が聞こえる。


これ以上は近づかないほうがいいだろう。


「転移持ちの勇者をダンジョンに追い込みました。仲間を守るために魔力を使い果たしているため転


移で逃げることはできないでしょう。」


何の話だ?


「そうか。」


シルヴァ先生と思しき声は小さく返事をする。


「いけそうですか?あいつの班なら大丈夫だろう。それよりもあの人は?」


追い込んだ?何のために追い込むのだろうか?


「あの人はまだ雑務を...。」


「そうか。」


「グぃ」


その奇怪な鳴き声を聞いた瞬間脳が、体が危険信号を出した。


さっきの鳴き声は明らかに魔物だ。


しかも魔力量があのハウンドの比じゃない。


魔力を正確に使おうと努力していた結果、大まかだが魔力の総量がわかるようになった。


「何をしているのですか?そっちではありませんよ。ヒッポグリフ?すみません、シルヴァ様。どう


も人に反応しているようで。」


「確かに、この辺りは貴族寮があるからな。食うなら貴族や勇者は止めてくれよ。処理がめんどくさ


いんだ。」


「ええ。」


魔物使い見たいなスキルがあるのだろうか?


「正直勇者様たちにシルヴァ様は勝てますか?」


「さあ、わからんな。殺し合いなんて時の運だ。それに、やはり相手は勇者だ。」


なぜ、殺し合いなのか?


スパーリングではなくて?


「それもそうです...。」


その瞬間魔物の咆哮がシルヴァ先生たちとは逆方向。王城側から聞こえたのだ。


貴族寮が慌ただしくなる。


「動きだされましたね。」


「こちらもそろそろいくぞ。」


シルヴァ先生は索敵系の能力が低いらしい。


きっと俺は、それに救われたのだ。


ヒッポグリフだろう。力強い羽音が2、3回草木を揺らし、一気に上空に上った。


反対方向から魔物の鳴き声がしたのだ。


こちらを見ている人間は限りなく少ないだろう。


だが、俺はシルヴァ先生がヒッポグリフの背に乗っているのを見た。




もう、翔は帰ってきていたはずだ。


足が重い。突然のことで頭も回らない。


勇者を追い詰めることにメリットがあるのか?...。


勇者を殺すことでレベルを上げるのかとも思ったが、勇者のレベルがそんなに高くはならないはず


だ。


食料の問題だろうか?


それならランクの低いクラスを事故死したということにすればいいはずだ。


わからない。わからない。わからない。


翔の部屋の前につく。


そこには伊藤やほかの女たちがいて、翔に一緒に食事に行こうと言っていた。


伊藤は走ってくる俺を見て嫌そうな顔をしたあと、


「なんか用?」


そう言ってきた。


無視して翔にアイコンタクトを送ると、翔が少し待っていてくれと女子たちに言い、部屋に入れてく


れた。


「帰ってそうそう...。」


「清田の班の向かったダンジョンの場所はわかるか?」


「清田君の班?確か、ここからそんなに遠くないダンジョンのはずだが...?」


俺は耳打ちする。


大きく目を見開いた後


「今すぐ向かう。」


「俺も、」


「お前がいても足でまといなのはわかってるだろ?俺を信じろ。」


翔の言葉には自信に溢れていた。


「気をつけろよ。」


「ああ。」


そういうと身支度を行いながら寝ている同じ部屋の、Sクラスの人間を起こして準備させている。


一分もたたないうちに三人は準備を終了させ、出発した。


教師陣に見つからないように裏から出るように言った。




なにかの間違いであればいいが...。


そういえばドアの外で待機している奴らにはなんと説明すればいいだろうか?


俺も裏から出ることにした。

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