僕が…勇者…!?
気づいたらよくある謁見の間みたいなところにいた。
正確にはわからないし、行ったことも無いためなんとも言えないが、謁見の間感で溢れている。
だって冠と豪華な服装のいかにも王様が豪華な装飾の椅子に座っているんだもん。
周りにたくさんの人間が倒れていたり、座っているという光景もなかなかに凄いが、それよりも、この部屋の造りに目を引かれた。
きらびやかな色とりどりの装飾に調度品、磨きあげられた窓や壁。
様々な色や形が混ざりあってはいるが、決してとっ散らかっているわけでも、毒々しいわけでもない。
一枚の絵画のように洗練されていた。
俺が気づいてから1分程の間にすべての人が気がついたようだ。
王様らしき人は立ちあがり喋り出す。
「私はエンデ国王、アルノヴァ・エンデです。異界からこの国を、この世界を救いに来てくださった勇者御一同様だとお見受けいたします。前勇者様が討ち滅ぼしたと言われていた魔王が突如復活し、その影響で魔物たちが凶暴化、マグレリやダンジョンが活発化しており人はいま、窮地に立たされております。もし魔王を討ち、この国に、この世界に平穏が訪れたときには私が持てるすべてを使って勇者様方に対価を支払います。どうか魔王を討ち滅ぼして頂けないでしょうか」
アルノヴァ・エンデと名乗った王様、物腰が柔らかく嘘をついているようには見えなかったが、世界に平穏が訪れたときには…?
「ちょっと待ってください。我々は勇者ではなく、ただの学生です。」
発言したのは翔だ。
「勇者様では無いのですか?」
アルノヴァ王に動揺が見える。
「はい」
「しかし伝承には異界から勇者様方が現れ世界をお救いになると…皆様良ければステータスとおっしゃってください」
「ステータス?」
翔の声が少し裏返り、しばし何もない場所を注視しフリーズする。
そして数秒後、
「僕が勇…者…?」
王さまは念を押すように
「はい、あなた様方は勇者様で間違いないようですね」
そう言った。




