成長と宗教
実習が終わってから三人と授業内容を共有する。
三人はモンスター、主にゴブリンの生態などについての授業であり、概ね昨日の俺たちの授業と同じ内容だった。
クラスによる進行速度の差はそこまででもないのかもしれないのだろうか?
俺は結局魔力の回復速度も人並みだということが分かって悲しかった。
それはおいておいて、結局一日で使えた魔力の総量は6で一度目以外地面に変化を与えることができなかった。
一度目はHPが7/15まで減っていたためHPを魔力に無理やり変換したのだろうか?
魔力を行使する範囲をコントロールできれば大きく変わるのだろうか?
三人に意見を求めるが、三人は実習中には魔力が一度も切れなかったそうだ。
筋トレを四人で行うことにした。
腹筋やスクワット、腕立て伏せくらいのもので、どのくらいの効果があるかわからないが、検証もかねて行う。
運動部ではない三人はきつそうではあったが勇者であることや、ステータスというわかりやすい数値があるためモチベーションが俺も含めて高かった。
次の日は4人とも筋肉痛だった。
STR等の数値の変化は四人ともみられなかったが、俺だけMPが4/4に増えていた。
MPは使えば使うほど最大値が増えるのだろうか?
きっと三人は自身のことのように喜んでくれるだろうが、何となく言い出すことができなかった。
今日俺は宗教についての講義だった。
なんだかんだ転生?転移?のどちらかはしているため、神がいてもおかしくないのだろう。
簡単にまとめると、神が神自身を模した命を作った完成形が人間であり、その過程で獣と混ざったものが獣人、精霊と混ざったものがエルフ、魔族などと混ざったものが魔人で、魔物として扱われる魔人は意思疎通が不可能で魔物成分というか比率が高いものを魔物としているようだった。
人以外は亜人とまとめられるらしく亜人は失敗作で悪しきものとして扱われているらしい。
また、この影響で亜人の人権がこの国では基本的に認められていないそうだ。
この講義では亜人がどれだけ危険なのか、これまでどのような犯罪を犯してきたかを正教会の教祖様直々に語っていた。
講義を行ううちに半分以上の生徒の亜人への考え方が変わったといってもいいだろう。
俺も実際にあったことがないためわからないが、話を聞く限りでは魔物と同等の知能しか持たず、食欲や性欲のために他国を侵略したり人間を襲うそうだ。
ではなぜまだ人間が亜人を絶滅させていないのだろうか?
戦力の問題でできないのだろうか?
だが話を真に受けるのなら、亜人の国はこの前の講習であったダンジョンのような部類なのではないだろうか?
ここは実際に亜人と会えば解決するだろう。
講義中アイーネ・ツヴィア先生は教室にはいたが一言も話さず不服そうに教祖を眺めていた。
何か思うところがあるのだろうか?
講義が終わり終了かと思ったら再度ステータスやスキルの変化についての調査があった。
なんでも、この数値やスキルを鑑みて一人一人にあったプログラムで効率的に指導を行うためだそうだ。
だが、200名それぞれに指導を行うことなど可能なのだろうか?
とりあえず部屋に戻る前に地面に手を当て地面を盛り上がらせるイメージを頭の中に描く。
魔力が急速に減っていくのを感じる。
ジェットコースターで速度が上がったときに重力が体にかかる感覚に近いだろうか?
吐き気と頭痛が急激に顔を見せる。
地面はやはり盛り上がらない。
疑わずにとりあえず信じるのが正しいのだろうか?
信じる者は救われる。
あの教祖はそう言った。
この救いとは何だろうか?
誰かこの懐疑的な思考から俺を助け出して欲しい。
信じていないから懐疑的な思考なのだろうが。




