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断定するのは止めようね?


外は土砂降りだ。


今は昼だが、私はベッドで横になっています。


コウタロウ様は考え事をしているようで、机に座られています。


相当疲れていたようで、熱を出してしました。


コウタロウ様におでこを触られたときは鼓動がコウタロウ様に伝わってしまうのではないか?と思うほど、大きく、早くなりました。


今日も、ダンジョンになら行くことができるはずなのですが、私のせいでコウタロウ様にまた迷惑をかけてしまった。


『彼も、気にしてないみたいだし、いいんじゃない?』


それと、昨日から幻聴が止みません。


『幻聴じゃないんだけど?』


コウタロウ様に相談するべきなのでしょうか?


『私なんかと契約したってばれたら嫌われちゃうかもよ?』


静かに。


『はーい。』




契約した何かは、特に何かするわけでもなく、私のステータスに異常もありませんでした。


『彼のどこがいいの?』


今日一日安静にしてくれと言われたため、本当にすることがありません。


『ねえってば、』


習得するスキルでも考えましょうか?


『いいところないの?』


「あります!」


「どうした?大丈夫か?」


コウタロウ様は驚いたようだが、優しく声をかけてくださる。


「いえ、申し訳ありません。」


「いや、大丈夫だよ。」


コウタロウ様はあまり表情を表に出さないのだが、すごく優しい顔をされる時がある。


『ご主人様が一緒に寝てくれないと治らないって言いなよ!』


「ギルドにアイテムの売却に行ってくるよ、安静にしててね?」


「了解しました。」


コウタロウ様はそう言って出られた。




『あーあ、行っちゃったじゃん。』


「貴方のせいで、」


『ご主人さまと話せて良かったね。』


「いや、まあ...それは、その...。」


確かにそうなのだが、いや、それは、まあ、その。


『早く寝て体力を回復しないと!』


「私が疲れている原因って何なんですか?」


再度ベッドに入り直しつつ聞く。


『私がエレノアの力を無理やり引き出したからじゃないかな?』


「そうなんですね。」


『契約が久しぶりでついやりすぎちゃって、ごめんね?』


「いえ、貴方のおかげでコウタロウ様を助けることができましたし...。こちらこそ、ありがとうございます。」


『もう寝るんでしょ?静かにするね?』


「助かります。」


よく考えたら一人で私は喋っているのだ。


コウタロウ様が見たら驚くだろう。


柔らかくて暖かい布団、食事に新しい洋服、コウタロウ様は私が必要だっただろうか?


私なんかより、強い奴隷も、頭のいい奴隷も、可愛い奴隷もいただろう。


どうすればいいだろうか?


目をとじればそう言うことばかり考えてしまう。


次失敗すればコウタロウ様は私を捨てるかもしれない。


それがコウタロウ様にとって必要なら勿論従うが、なんといえばいいのだろう。


『必要とされて、縋って、依存して欲しいんでしょ?』


バカにするような、それでいて真剣な声が頭の中で聞こえる。


『だって私もそうだもん。』


「貴方と私が?」


『うん。私は誰かに憶えていてもらえないと存在できなくなる。必要としてくれる人がいないのは、大好きな人から必要とされないのはつらいよね。』


いつもは男女数人が混ざったような声なのだが、今回は女性一人の声だったと思う。


「そうですね。」


『襲ってみれば?』


「今の会話から、どうしてそうなるんですかっ?」


『えー?だって彼は何もしてこないんでしょ?もしかしたらエレノアに自主的に何かして欲しいのかもよ?』


「自主的に?」


『だってさ、普通の奴隷では考えられないような厚遇、しかも、嫌われ者の狼人でしょ?そうじゃないと優しいのに説明がつかなくない?』


「そうかも、しれませんが...。」


『今日って彼どこに行っちゃったんだろうね?』


「え?買い物では...?」


『エレノアが何もしてくれないから、大人のお店とかの可能性は?』


「コウタロウ様が?」


『うん。だって結構長い間一緒にいて、自慰行為さえしている様子もないんでしょ?』


じゃあ、さっきはノートを見て残りの資金を計算してそう言うお店に行くかどうかを悩んでいた、ということだろうか?


『じゃあ、あの紙束見てきたら?』


机の上にはコウタロウ様がよく何かを書き込んでいる本が置いてある。


「そんなことできません。」


『でも、いつも何を書いてるか気にならないの?』


「コウタロウ様に嫌われたくないので。」


『そう、ざーんねん。』



声は私が目をつぶり眠ろうとすると全く聞こえなくなった。


声の言っていた必要にされないのはつらいという言葉は本心だろうか?



この声を信用してもいいのだろうか?



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