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勿論だとも!



「今日はどうされるんですか?」


食事が終わり、店を出てから、エレノアに聞かれた。


「そうだな...。」


鎧は半壊している。


まあ、多少なら戦えるだろう。


ステータスでも多少は丈夫なはずだ。


だが、今まであったものがないのはかなり不安だ。


俺は何度もこの鎧に救われてきた。


とりあえず鎧を作ろうか。


だが、エレノアはついて来るだけになってしまう。


「今日は特に何もないから」


大銀貨(10000エン)を渡す。


「え?」


エレノアは困惑した様子を見せている。


「今日はお休み。あんまり多くはないけど、好きに使っていいからね?」


「しかし...。」


「夜には帰ってきてね?あと、あんまり危ないこともしないようにね。俺が言えたことでもないけど。」


「ですが...。」


エレノアの肩を叩き、エレノアを置いて鍛冶屋に向かう。


これで命を助けてもらったことがチャラになるとは思ってはいないが...。


ある程度の額は渡しているし大丈夫だろうとは思うが...。


俺は自分の命の価値を大銀貨1枚だと言ったようなものだ。


せこい以外の言葉は見つからないが、まあいいさ。




鍛冶屋の中に入り、あの鍛冶師と目が合った瞬間笑われた。


「あんた、お洒落な恰好してるな。」


「そりゃどうも。」


「そう言えばじょ...なんだ、外で待たせてるのか?」


「え?」


振り向くと、エレノアがドアに開けてある覗き穴みたいなところから覗いていた。


「なんだ、隠れてたのか。嬢ちゃん、悪いことをしたな。」


鍛冶師は俺が入ってきたドアを見ている。


「奇遇ですね、コウタロウ様?」


エレノアがゆっくりドアを開けて驚いたような笑顔で入ってくる。


「そうだな。」


エレノアは特に何も言わず店の中においてある装備を眺めている。


まあ、それよりも鎧だ。


「見てわかるだろうが、鎧がボロボロなんだ。良ければ安く作って欲しい。」


「その装備とほとんど同じものか?それならそれを作った奴に頼んだほうがいいと思うが?」


「いや、ある程度顔まで守れるものなら。」


「いくらまで出せるんだ?」


「あいにく手持ちが少なくて、金貨1枚とちょっとくらいか?」


「木の板でも張り付けたらいいんじゃないか?」


鍛冶師は嫌そうに顔を歪ませている。


「何かできないか?」


「はぁ、そうだな。」


めんどくさそうな感じを隠す様子もない鍛冶師は、頭をがりがりかきながら答える。


「まあ、できなくもないが、素材がくず鉄にはなるだろうな。」


「くず鉄?」


「ああ。切った時に出る使いようのない鉄のことだ。」


「それは使えるのか?」


「使えないが?」


「は?」


「当たり前だろ?加工に失敗した鉱石はランクが下がる。ゴミをいくら集めてもいいもんはできねぇよ。」


鉱石にランクが存在するのか?


じゃあ、同じ鉄の装備でも効果が変わるのだろうか?


「そう...か。」


「あんた本当に頭を守ることが目的か?」


「ほかに何が?」


「顔を隠すとか?冒険者はそう言うやつが多いからな。まあ、俺はなんだっていいんだが、面なら安く作れる。」


「面?ヘルムのことか?」


「ただの仮面だよ。仮面。」


「なるほど。」


「顔も隠したいみたいだな。」


「あ、ああ。まあ。否定はしないよ。」


「仮面にエンチャントはつけれるぞ。」


「ガチャかよ。」


「がちゃ?」


「いや、何でもない。値段は?」


「特別に金貨2枚でいいぜ。まあ、どんなエンチャントでも文句は言うなよ?」


「通常は?」


「基本はそうだな、まあ、3枚。込める魔力量でできが良くなるから、もっと上も受け付けてはいるが?」


「いや、やめておくよ。」


今の所持金は360000エン、エレノアのバックに入れている分が150000だから正確には21万切っている。


食事中に、エレノアのバックに勝手に入れた金貨のことを言われたが、有事に必要になるかもしれないということで、何とか持ってもらえることになった。


金貨二枚は100000エンだ。


武器が壊れたら買いなおしだ。


「作成時にもエンチャントはつくかもしれないんだろ?」


「まあ、そうだが...。」


「仮面だけ頼むよ。」


「形は?」


俺の秘めた中二心が疼く。


何とかそんな自分を制して、


「フードも被るが、あまり目立たないやつにしてくくれ。」


「わかった。仮面だけなら金額は大銅貨3枚(3000エン)だ。」


「結構するんだな。」


「そうかもな。木で作ってくれる店も探せばあるとは思うが、うちでいいのか?」


「よろしく頼むよ。」


お金を渡すと鍛冶師はしっかりとかくにんしたあと、いきなり俺のヘルムを外し、顔を軽くつかむと店の奥に入っていった。


ビビったぁ。




エレノアはこちらを見ていたが、俺がエレノアの方を見ると目をそらした。


店を出るとエレノアが後ろからついて来る。


振り向くとエレノアは奇遇だとばかりに笑顔を作り、こちらに手を振った後、あたりを見回している。


「エレノア。」


エレノアに近づき声をかける。


「どうしましたか?」


「今日は本当に好きにしていいんだぞ?」


「はい...。」


少しだけ歯切れが悪い。


「もう少しお金がいるのか?」


「決して、そう言うわけでは...。」


エレノアは首を高速で横に振っている


じゃあ何だろうか?


エレノアは少し逡巡し、躊躇いがちに口を開いた。


「その、お願いがあるのですが...。」


可愛すぎる上目遣い。


お願いの内容を聞かずに承諾しました。ええ。


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