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勇者御一行


「大丈夫ですか?」


髪は短い黒髪で長身で眼鏡をかけた切れ長な目をした男が声をかけてくる。


「私は大丈夫です。」


彼の仲間と思われる人達がコウタロウ様の周りにいる。


「彼は大丈夫だと思いますよ?上位種と遭遇するなんて災難でしたね。」


彼はポーションを渡してきたため断り、コウタロウ様に持つように言われていたポーションを飲む。


回復魔法だろうか?


コウタロウ様の背中の出血が完全に止まっている。


「村までお送りしますよ」


眼鏡の彼はそう言った。


「いえ、大丈夫ですよ?」


「なにかあってはアレですし、私たちも戻るところでしたし。」


はんば強引に話をまとめられた。


コウタロウ様はフードを被った人が背負った。


彼らのパーティは獣人である私にも優しかった。


「銅10であそこまで戦えていたんですか?」


「一体でしたし、いい装備も使わせてもらっていますから...。」


「使わせてもらっている?」


彼は私の手の甲を見て納得したように頷いた。


「本当にありがとうございました。」


「いえ、大丈夫ですよ。」


彼らのパーティーは眼鏡をかけたその人に、フードを被った声からするに男性。


私よりも幼く見える大斧を持った桃色のショートカットの女性、一つ結びの弓矢を担いだ金色の髪の女性、それから茶色の長い髪をおろしている杖を持った女性の5人だった。


三人の女性は美人で、少し一緒にいただけでもわかるほど、眼鏡をかけた男性が大好きな様子だった。



フードの男の人に


「君、この人の名前は?」


と質問をされた。


名前を言っていいのだろうか?


「ミルレ様ですが?」


迷った末、私は名前を正しく伝えなかった。


「ああ。ミルレ...。そうか。」


「どうかされたんですか?」


「いや、少し前に死んだ知り合いにすごく似ていてね。仲が良かったみたいなわけではないんだけど。気になって。ごめんね?」


少し考えこむ素振りは見せたが、笑顔を作りその人はまた無言で歩き出す。


後ろでクリハラと呼ばれている長身の男性は女性3人と楽しく談笑している。


もしかしてフードの方は奴隷なのだろうか?


「クリ、左!」


フードの男が叫ぶと、剣を素早く振る。


よく見るとハウンドがかなり遠くに見える。


少し動きが鈍ったようにも見えるが、抜刀しただけだろうか?


「まっかせて!」


弓を女性がすぐに放つと遠くで粒子があがるのが見える。


「ナイス。」


クリハラという男がそう言うと、


「当然よ。でも、もっと褒めてくれてもいいんだけど?」


横のフードの男の人ではなくクリハラに向かってそう言う


「はぁ。よくやったな。これでいいか?」


「そっけないのね」


金髪の女性がいたずらに笑うい、抱き着く。


「じゃあlわたしもー!」


桃色の髪の女性が元気よく抱き着く。


気づけばクリハラと言う男は三人に抱き着かれていた。



「そいつらはいつもあんなだよ。」


フードの男は嫌そうに言うと、気にせずにあるき続けている。


呼び捨て?にしていたし、そいつら、と呼んでいることから奴隷ではないように思う。


「三人ともそこそこ強いんだけど、もう少し、緊張して戦ってほしいよね。」


フードの男は少し毒づいている。


「あの、さっきは何を?」


「さっき?魔物?」


「はい。」


「ああ。あれはスキルで剣筋の方向に嫌がらせできるんだ。」


嫌がらせ?敵の動きを阻害するものなのだろうか?


何にしても凄まじいスキルだ。


詳しく聞くことはしないが、最低でもあの距離なら届き、何かをするというスキルはまるでおとぎ話のような強力さだ。


「すごいですね。」


「まあ、勇者だしね。」


勇者?何を言っているのだろうか?


この人たちが本物の勇者なのだろうか?


だが、上位種のハウンドを弓の一発で確かに倒していた。


「5人とも勇者なんですか?」


「いや、俺とクリハラだけだよ。」




村につくと、


「良くぞ戻られました、勇者様!」


そう言って村の人たちに囲まれていた。


その村人の間をフードの男はするりと抜ける。


「で?どこ?」


「こちらです。」


少しだけ長い沈黙を破ったのはフードを被った男だった。


「嫌なことされてない?」


「いえ、全く。」


「そう。俺が買って解放しても構わないって意味だったんだけど、本当に大丈夫なんだね?」


「そこまでしていただく理由もありませんし、今回だってコウタ、ミルレ様は私を守ろうとしてくださったんですよ。」


「なるほど。この人はいい主人なんだね。」


フードの間から覗いた男の目は優しく、女性か男性かわからないような、整った顔立ちだった。


「ここです。ありがとうございました。えーと...」


よく考えればこの人の名前がわからない。


「橘太一だよ。」


「タチバナ様、本当にありがとうございました。」


「いや、勝手にやったことなんだ、気にしないでいいからね。」


そう言うと消えるように去っていった。


勇者が召喚されたという話はもういろいろなところで話になっている。


が、こんなにもフレンドリーだとは思わなかった。


コウタロウ様を宿屋の中に背負って入る。


主人から大丈夫か?


と聞かれたが、傷はほとんど塞がっている、大丈夫なはずだ。


鎧を脱がせベッドに寝かせる。


私は何もできなかった。


あの時回復ではなくハウンドへの追撃を優先していれば倒せていたのだろうか?


私がいたから勇者が間に合ったとも考えられるが、そもそも私がもっと強く、コウタロウ様と共に戦っていればこうはならなかったのだ。


閲覧ありがとうございます。


変更

立花太一  →  橘太一

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