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第一六話:文字通り、神は死んだ

「ウギギィィァ! ギギギギィ!」


 シャンタクが祟り神を押さえつけている。だが、体格差はほとんど無いに等しい。祟り神は、今にも抜け出しそうだった。


「テツさん!今なら攻撃が!」


「分かってる!」


 頼むから発動してくれ! 頼む! マジで頼む!【副王の拳】!!




 今度は上手く発動した。だが、先ほどのように連続で発動しようとしても何も起こらない。





 あっそういうことかっ。


 おそらく、一度使ったら次に使うまでスパンが必要なのだ。10秒ぐらいは待たないと使えないようだ。【副王の拳】を試さなかったツケが回ってきたわけだな。


 だが、そんなことを後悔している場合ではない。いつまでも化け物が怯んでいるわけでは無いのだ。


 揉み合う二体の化け物。その格闘は、意外な形で終わりを告げた。


 シャンタクの胴体に祟り神が食いつく。しかし、硬い鱗を持つ皮膚は、なかなか歯を深く食い込ませない。

 ふと、シャンタクが地面を転がり祟り神を振り払おうとした時、祟り神の像に二体の体がぶつかった。もちろん像は粉々になる。


 すると、祟り神の体がボロボロと崩れてゆく。


「ウグルルルルルルァァァ!!」


 今まで叫び声一つあげなかった化け物が、突如不気味な雄叫びをあげる。


 その隙にシャンタクが飛びついて押さえつけようとした。

 だが、祟り神はそれを避けて村人たちの家がある方角へ突っ込んで行く。


「マズい!」


「くそ、しまった!」


 シャリィは全力で祟り神を追う。

 俺も、シャンタクに乗って空から追従するが、祟り神には追いつけない。


「な、何の音だ!?」


「おい!あれを見ろ!」


「た、祟り神だ!! みんな逃げろぉぉぉ!!」


 遠くの方で、村人が数名家から出てきた。祟り神はそちらの方向にどんどん突き進む。


「シャンタク! もっと早く飛べないのか!?」


「ギェェェェ!!」


「え、待ってまだ心の準備がぁぁぁ!?」


 伸ばしていた羽を縮め、弾丸のように祟り神に突っ込む。祟り神が急速に近づく。


 頼む! 間に合ってくれ!


「副王の拳!!」


 祟り神は上から地面に叩きつけられ、半分崩れた体で地面を滑る。見れば、村人たちからの距離は残り5メートルも無かった。名も知らない村人達、怖かったろうな。


 最期に動こうとした祟り神は、体を起こしきる前に崩れ去った。


 勝った……のか?


「はは、ははは……はぁ……」


 疲れた。この村で、一生分の命の危機を体験した気がする。いや、一生分以上か。


 まぁ、何はともあれ。


「龍神様が祟り神を滅ぼしたぞぉぉぉぉぉ!!」


「龍神様ぁぁぁぁ!!」


 これから後が大変そうだな。

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