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勇者はモンスター軍を率いて魔王に宣戦布告する  作者: 四霊
第一章 モンスタークリエイト
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91 作戦前夜

「・・・そうね。情報屋たるものむやみに詮索してはいけないわね」


 マッチは食い下がることもなくあっさりと引いた。


「あっ情報屋といえば、マッチはエリ―シアについて何か情報を持っていないか?」


「・・・どうしてその情報を欲しがるの?」


 エリ―シアの名前を出したときマッチの表情が少し固まった。


「この町の英雄なんだろう?単純に興味があってさ」


 取り繕ったが、マッチは少し考え首を横に振った。


「ごめんなさい。彼女について価値のある情報は私も持っていないわ。・・・でも一つだけ、大した情報ではないけれど持っているわ」


「そうか、いくらだ?」


 俺はマッチから提示された金額を支払った。小額であったため懐も痛まなかった。


「まいどあり。では話すわね。『エリ―シアはこの町の英雄ではない。彼女は危険』よ。英雄様にも黒い噂は絶えないということかしら? 確かな根拠は得られていないけれど、信頼できる筋からの情報だから、信憑性は高いとみていいわ」


 確かにマッチの情報は正しい。オザスポークの話を聞いていなければ有益な情報であっただろう。残念ながら新しい情報ではなかったが、安い情報だから仕方ないだろう。マッチに情報を流したのも、レジスタンスのメンバーか、元コスモス・ラビットの兵士の誰かかもしれない。


「分かった。ありがとう」


「お役に立てたなら嬉しいわ」


 俺たちはその後幾分かの酒と料理を食べ、そろそろ帰ろうという頃合いとなった。別れ際にマッチが俺に言った。


「トキワ、これは情報屋として、私個人として忠告するけれど、今すぐナナミとルリリちゃんを連れてこの町から離れなさい。明日にでもこの町で大規模な捜索が行われる可能性が高いわ。そうなったらトキワたちはきっと見つかるわ。元からこの町で隠れるのに慣れている『ワクチン』の人達はともかく」


 どうやら俺達が『ワクチン』アジトに匿われていることは見透かされていたようである。


「分かった。・・・この情報は相当重要じゃないのか?」


「いいの。これはサービス。これからもマッチ情報屋をよろしくね!」


 最後は冗談めかして笑いながら俺達は別れた。



 アジトに戻った後、すぐにオザスポークに大規模捜索が起こることを話す。しかし、オザスポークは問題ないと言った。


「大丈夫です。どの道今日エリ―シアを暗殺すれば大規模な犯人探しが始まるでしょうから、前もってメンバーには備えるように言ってあります」


「そうですか。それならよかった」


「もちろん君たちも私たちが匿いますよ。所定の逃走経路に沿って逃げてもらえれば、後は我々がご案内いたします」


「ありがとうございます」


―――そして作戦決行の時間となった。


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