87 作戦会議①
「全員集まったな。これから『ワクチン』によるコスモス・ラビット浄化作戦を開始する」
数日後ワクチンアジト内に、幹部数人とリーダーであるオザスポーク、俺、ナナミ、ルリリが作戦会議のために同席した。幹部は男性だけでなく女性も1人いた。
「まずはみんなも知っているとは思うが、改めて私たちに協力してくれる彼らを紹介したい」
オザスポークは俺達を順番に紹介した。オザスポークは幹部たちに俺の能力を説明したが、他の構成員には秘密にするよう命令した。これは俺が前もって彼に頼んでおいたことだ。どこから情報が洩れるのか分からない以上、警戒しておくに越したことはない。幹部連中は俺の能力を知るとみな驚愕の表情に変わった。
「す、すげえ・・・モンスターを自在に生みだせるなんて反則だぜ・・・」
「なるほど、一度倒したモンスターしか生みだせない以上、強いモンスターを生み出すにはそれなりにリスクは背負わなければならないということか」
幹部達が口々に俺の能力に感想をつぶやいている。オザスポークがゴホンと咳払いし、また静まり返った。
「聞いての通り彼の能力は強力極まりない。しかしながら敵の戦力は決して侮れない。まずは敵の戦力の確認だ」
『
指揮官 エリ―シア
・触れた兵士や馬の身体能力を大幅に上げる能力をもつ
・身体能力の上がった兵士はほとんど無敵の強さを誇る
ライトブロード兵士
・600人
・白兵戦に強い兵士が多い
』
「600人? この町のライトブロード軍は小隊では!? せいぜい50人ほどのはずだが」
俺は口を挟んだ。オザスポークが口を開く前に、隣にいた幹部の女性が俺に説明する。
「この二年でエリ―シアは小隊長から大隊長に昇進したの。はっきり言って異常な早さよ。コスモス・ラビットの実質的な盟主になった功績がマンドルーズ国王の目に留まったようね。憎たらしいったらありはしないわ!」
幹部の女性が唇をかみしめる。オザスポークが彼女をたしなめる。
「サーヤ、落ち着け。そう言うわけで、今やコスモス・ラビットに駐屯しているライトブロード軍の勢力はほとんど盤石といっていい」
「600人の重騎兵だけでも厄介だが、それにエリ―シアの能力が加わるわけか。・・・これは正面から勝つのは難しいだろうな」
オザスポークが俺に頷く。
「というわけで作戦の主眼は指揮官エリ―シアに対する奇襲作戦にしようと思う」