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勇者はモンスター軍を率いて魔王に宣戦布告する  作者: 四霊
第一章 モンスタークリエイト
78/96

78 コスモス・ラビット侵略②

 次の日モンスター達の喧騒に多少の変化が現れた。


ウォッウォッウォッ!


ヒィィィイイイイブブブゥゥゥウォ!


 オークとオーガが上げる鳴き声が、それまではバラバラに聞こえていたのが、次第にまとまって聞こえてくるようになった。それは嵐の前の不気味な静けさと同様に、不思議とモンスターとの戦闘が近いことを悟らせた。

 

戦闘が近い、隊員に気を引き締めさせなければ。そう思ったオザスポークは部下達の居る持ち場へと向かった。


「白銀強襲魔法小隊、我々はコスモス・ラビットにおける特殊部隊、この隊の活躍が戦闘を左右するといっても過言ではない。若い隊長に不安を持つ者は今すぐ隊から離脱せよ。我々は一つの命として互いを信頼し合い戦わなければならない。この中の誰一人として私は犠牲にするつもりはないが、それでも戦場で諸君の安全を保障することはできない。しかし我々こそコスモス・ラビットの聖盾であり聖剣である。一人一人が誇りある英雄であることを私は知っている。たとえ戦場で散ろうと私たちの魂は共にある。さあ、我らの敵を打ち果たそう!」


「「オオッ!」」


 厳しい訓練を共に乗り越えてきた隊員達がオザスポークの言葉に答えた。その時、物見からの合図でモンスターの群れが攻めてきたことが分かった。


 巨躯のオークとオーガが各々持つ獲物を振りあげつつ前進してくる様は城壁の兵士たちを震い上がらせた。オーガが、前回の襲撃でダメージを受けたままの城門に石斧を振り下ろす。厚いが木製である門は石斧による攻撃に悲鳴を上げた。当然そのままやらせまいと、必死になって投槍、弓、石、魔法などで応戦する。しかし矢や槍が偶に急所に当たるのを除けば、頑丈な体をもつオーガに、ある程度有効なダメージを与えられるのは魔法だけであった。


 オザスポーク率いる白銀強襲魔法小隊は城門近くに配置し、門を破壊せんとするオーガを集中して狙っていった。賢者であるオザスポークを中心とした複合魔法の威力は高く、当たれば必ずオーガが倒されていった。しかし魔法詠唱にかかる時間により連発できないため、モンスターの流れを押し返すことはできなかった。


 オークたちが投げる石により次々と兵たちが倒されていく。モンスターの怪力によって推進力を得た小石は弾丸の如き破壊力を持って兵士の肩や顔面を抉っていった。


「ひぃぃ! か、顔が…!!」


練度の低い兵士はそれを見て戦意を喪失し、次第に城壁からの攻撃の勢いが弱まっていった。そのおかげで、勇敢にも攻撃を続けている兵士がオークたちの格好の的となり、さらに攻撃の勢いが弱まっていくという悪循環に陥っていた。


 オザスポークの小隊も、戦意喪失こそしないものの、味方の劣勢に影響を受けていた。


「隊長! このままでは・・・!!」


「持ちこたえろっ! 我々が抜かれればモンスターが市内に雪崩れ込む。そうなればコスモス・ラビットはお終いだ! 何としてもここを死守するんだ!


 隊員を叱咤するが、オザスポークも隊員と同じことを思っていた。


(くっ・・・そうは言っても、もう城門が幾らも持たない・・・)


 オザスポークは懸命に抵抗するが、この戦力差はどうやっても覆せないことを悟った。


 その時、伝令が走ってきた。その言葉に彼は震えるほど歓喜した。


「伝令! ライトブロードからの援軍が北方から来てくれました!」


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