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勇者はモンスター軍を率いて魔王に宣戦布告する  作者: 四霊
第一章 モンスタークリエイト
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77 コスモス・ラビット侵略①

「オザスポーク隊長、白銀強襲魔法小隊各員配置完了致しました!


「分かった。指示があるまで待機せよ」


「了解!」


 若くして小隊の隊長に任命されたオザスポークは部下の報告を聞きながら、これから始まる戦闘におびえた彼の顔を見て内心ため息を吐いた。


(明らかに士気が低いな。当然か、長年これだけの規模のモンスターの襲撃は無かったからな。最近モンスターの凶暴化が各地で報告されているし、魔王が人間界を侵略しようとしているという噂も馬鹿にできなくなってきている。・・・しかし現魔王は穏健な性格を持っていると聞いたし、現に今まで侵略がなされたことはなかった。他に原因があるのかもしれないな)


 コスモス・ラビットは大規模なモンスターの群れの襲撃という、未曽有の危機に瀕していた。これまでモンスターの被害は冒険者や旅人が道中で襲われる程度の小規模なもので、大規模な旅団やまして市その物が襲撃されるようなことはほとんど無かった。しかし先日およそ300匹ものオーガとオークの群れがコスモス・ラビットに攻め入る事件が発生した。その時は市兵団が強固な防壁を盾に何とか追い返した。しかしモンスター達はあきらめず、町の傍で陣を張っている。市兵団の奮闘によりかなりの数のモンスターを減らすことができたが、それ以上に多くの屈強な兵士たちが犠牲になった。


(何とか第一波を凌ぐことができたが、次は守り切れるか怪しい。こうしている間にあいつらの数がどんどん増えている)


 オザスポークは物見の報告から状況が刻一刻と悪くなっていることに歯噛みした。初めに襲ってきたモンスターの群れはそれが全てではなく、近隣のオークやオーガが合流して削った戦力が回復してきているのだ。当然市兵団たちもそれに気付き手を打とうとしたが、やみくもに打って出れば白兵戦で圧倒的に不利な人間側が全滅する危険が高く、援軍が早く到着するのを祈るほかなかった。


 オザスポークは城壁から遠目にモンスター達を観察する。奴らは荒くれ者たちの理性をさらに2段階ほど取り去ったような様子で、統率などないように見える。だが、実際に戦うとなると、野生の本能なのか同胞の敵を叩きつぶさんと一丸となって襲い掛かってくる。


その時、オザスポークの目に妙な光景が映った。一匹のオークが、オーガに腹や顔を殴られ動かなくなっていた。すると殴っていたオーガや別のオーガやオークたちが一斉に弱ったオークに飛びかかった。周りの喧騒にまぎれてここまでは聞こえてこないが、そのオークが絶叫しているのが分かる。


(あいつら、共食いしてやがる・・・)


 そう、次第に大きくなるオークやオーガの群れに兵站があるはずもない。奴らはこうして仲間を食べることで飢えをしのいでいるのだ。しかしそれ以上に多くのモンスターが合流するので群れの数は増える一方である。飢えたモンスターの我慢が暴発し、その怒涛の爆流がコスモス・ラビットを飲み込むのも時間の問題であった。


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