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勇者はモンスター軍を率いて魔王に宣戦布告する  作者: 四霊
第一章 モンスタークリエイト
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73 キラーバット討伐

「そ、そんなに食いつかれるとは思わなかったよ。じゃあ決まり!早速だけど、すぐに依頼を受けちゃいましょう。ぐずぐずしてると盗賊団がいなくなっちゃうかもしれないからね」


 マッチが俺達の勢いに若干引き気味に笑う。


「ああ、そうしよう。俺はトキワ、こっちはナナミとルリリだ。よろしくな。それで、受ける依頼のあてはあるのか?」


「もちろん。そうじゃなくちゃ声をかけないわ。この依頼よ」


 そう言ってマッチは掲示板に貼ってある一枚の依頼書を剥がした。そこにはこう書いてあった。

『キラーバット駆除』

等級:C~D

依頼内容:所定箇所のキラーバットの駆除

場所:依頼書に記した地図の目印地点

期限:依頼書張り出しから2日間

報酬:銀貨2枚

備考:キラーバットは夜に町にやってきます。


「キラーバットか。なるほど、夜にしかできない仕事というわけだな。しかも短時間でできる仕事内容のわりに報酬が銀貨2枚はなかなかいいな」


「そうでしょう。あたしだけだとこのランクの仕事は受けられなかったけどあなた達と一緒ならできるわ。反対が無いみたいだから早速受けてくるわね」


 そう言ってマッチはさっさと依頼受諾の手続きをしに受付に向かった。俺たちも彼女についていく。受付嬢がマッチをみたとき少し反応したように見えたが、マッチの方は何ごともないようにさらさらと依頼受諾に必要な書類に記入していく。ギルドの外に出ると、先ほどまで降っていた雨が上がり、月が雲の間から顔を出していた。


「指定箇所は・・・こっちね」


 マッチはさっさと俺たちを案内しながら目的地に向かっていく。さすが情報屋まがいのことをしているだけあってこのあたりの地理に明るいようだ。


「そう言えば、マッチはどんな職業についているんだ?」


「ああ、・・・格闘士よ。でもあたしは肉弾戦は嫌いだから戦うときはいつもこのナイフを使っているわ」


 そう言って腰のナイフを器用に回す。


「器用な人間ね」


 この町に来てからずっと黙っていたルリリがぽつりと言う。


「?おかしな言い方をするわね。ルリリちゃんだっけ。ようやくしゃべってくれたわね」


 マッチがルリリにそう言ったが、ルリリの方はぷいっと彼女を無視した。


「あらら、・・・嫌われちゃったかな?まあ、いきなり知らない女がパーティに入ったら小さな子には嫌よね」


 マッチはたはは、と笑う。


「マッチ、すまない。ルリリは普段は良い子なんだが、今は機嫌が良くないみたいなんだ」


「・・・ごめんなさい。あなたのせいじゃないわ。この町は人が多すぎるから落ち着かないだけ」


 ルリリはむすっと答える。モンスターである彼女にとって見知らぬ人間が多い場所にいることは、それだけでストレスになるのだろう。


「良かった。あたしが何か気に障ることでもしたのかと思ってたから。それはそうと、あなた達の職業も教えてくれない?」


 俺たちは自分たちの職業について説明した。


「ゆ、勇者!?そんな職業初めて聞いたわ!それに魔法使いか・・・なんだかとってもバランスがよさそうね。それにルリリちゃんってこんなにかわいい子が一緒のパーティなんて最高じゃないの!!」

 そう言ってマッチは目を輝かせた。マッチがルリリのことを悪く思うとは思わないが、ルリリは俺の妹ということにしておく。キラーバットは飛行系モンスターなので、どのみちルリリは今回の仕事にはそれほど必要ない。従って今回はルリリには俺達の仕事を見るだけにしてもらう。マッチは情報屋の血が騒いだようで、俺に様々な質問を浴びせた。ナナミは特に何も言わず、苦笑いしながら俺たちを見ていた。


 そうこうしているうちに目的の場所に着く。


「さあ、このあたりよ」


 そう言ってマッチは指を指した。それはもう何十年もだれも住んでいないような古い家屋であった。おそらく割れている天窓から中に住みついたようだ。


「気を付けろ。中にどれだけのキラーバットがいるかわからない」


 ルリリを外で待機させ、俺たちはそれぞれ武器をとって家の戸を開けた。暗がりでマッチがランタンで家の中を照らす。


「あれ?何もいないわね」


 ナナミが不思議そうに家の中に足を踏み入れようとしたとき、


「危ない!!」


 マッチが突然ナナミを家の外へ引っ張り戻した。そのとたん何か大きなものが物凄い勢いで天井から降ってきた。よくみるとそれは地球のそれとは比べ物にならない巨大なコウモリであった。大人ほどもある大きさの体を起き上げこちらを見る。その目は獲物を見る目そのものであり、なぜこのモンスターに『キラー』という名が付いているのか瞬時に理解できた。


「あ、危なかった。もう少しで死ぬところだったわ。マッチちゃんありがとう」


「どういたしまして。それにしてもなんて大きさなの!?」


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