51 虚無の町⑥
ナナミが俺達に話しかける。
「一度正門の方へ行ってみない?町の人達の様子はやっぱり異常だったけれど、町の外に逃げないで、ここにいるということは、赤スケルトンから身を守れる術がこの町にはあるということよ」
「そうだな、いつまでもここにいてもしょうがない。正門へ向かおう。ただし、ここみたいに避難民としてごまかすことができないから家の陰に隠れながら行こう」
「ええ、そうね。早くしないと赤スケルトンたちが無抵抗なのがばれてしまうわ、急ぎましょう。でも、慎重にね」
ルリリが俺達を急かす。俺たちは目立たないようにそっと集団の中から抜け出すと、町を正門の方へ走っていった。
町の家々の陰に隠れながら、大通りの傍を駆け抜ける。すると、正門前で人だかりができていた。
俺たちは人だかりの後方の家の陰に隠れて様子を伺った。
人々は人だかりの中央にいる何者かに夢中になっている様子だった。まるで本能的に引き寄せられているようだ。その様子を見ていると芋虫が餌にたかっているのを見ているような生理的嫌悪感を俺に引き起こさせた。
「ねえ、ここからじゃ中の様子が見えないわね」
「そうだな、・・・この家の屋根に上るか」
そういうと、俺はモンスタークリエイトで赤スケルトンを生み出した。赤スケルトンは次々とピラミッドのように積みあがっていき、あっという間に屋上までの階段を創り出した。俺たちが屋根に上った後、赤スケルトンたちは目立たないように町の外へ出るように命令する。
「あれが・・・あれは何!?」
ナナミがそう言って群衆の中心を指さす。そこにいたものに俺は目を見張った。あまりに予想外の姿に俺は言葉を失った。