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勇者はモンスター軍を率いて魔王に宣戦布告する  作者: 四霊
第一章 モンスタークリエイト
34/96

34 レグンド港町の死闘②

「まずは魔王軍の戦力についてまとめるわよ」

 

 アリ―シアさんが大きな紙に鉛筆を走らせる。


『 魔王軍 

 

 規模       約5000

 モンスター    F ゴブリン

コボルト

E オーク

D ハーピー

ガーゴイル

C オーガ

B キマイラ(指揮官とみられる)1

 

レグンド東から19時間ほどで到着する見込み         


 レグンド軍


 規模       約8000

 戦闘力      F級 5000

          E級 2000

          D級 800

C級 100

B級 22

          A級 2

 職業内訳

(戦闘可能)     戦士    2080

          魔法使い  2120

          格闘士   1800

          精霊使い  1888

          召喚士   5

          呪術師 56

          賢者 10

ネクロマンサー 78

          聖騎士   3

暗黒騎士  2 』


「改めて見るとなんて戦力差なのかしら。とりあえず戦力はこんな所かしら。モンスター軍についてもう少し詳しく教えて頂戴」


「正確な数は分からないが、ゴブリンとコボルトの数が最も多かった。オークも1000はいただろう。オーガは数百ほどだったと思う。何よりまずいのが、ハーピーとガーゴイルが500以上いた」


「そうね。空中戦ができるのは魔法使い、精霊使い、召喚士、賢者、ネクロマンサーだけど、ざっと4000ね。その中からハーピーとガーゴイルと戦える者を選抜するわ」


 アリ―シアさんの鉛筆がさらさらと動き紙に情報を書き加えつつ、町兵に指示を出していく。簡単に俺たちの能力なども聞きながら彼女は物凄い勢いで次々と指示を出していく。この窮地に動じない彼女に俺たちは兜を脱ぐ。俺たちに残された時間は短かったが、少なくとも作戦だけは迅速に町中に伝えられた。


――――――


 およそ20時間後(予想よりも少し魔王軍の到着は遅かった)、俺たちは所定の位置に着き、魔王軍が到着したのを目にする。魔王軍は一度停止し、隊列を整えている。魔王軍の中で比較的頭の良いガーゴイルたちが飛び回ってぞろぞろと列をはみ出すゴブリンたちを蹴っ飛ばしながら整列させようとしている。


 レグンド港町はニーリ町より外壁が低く、魔王軍の圧に耐えきれないためニーリ町と異なりレグンド軍は町の前方に陣を張っている。俺たちは町の前で戦うため補給に余裕があるが、町兵の誰にもこのような大規模な戦を経験したことがない。一方魔王軍はボードケイク町を落とした経験を積んでいる。5000ものモンスター達の目は全て俺たちへの明確な殺気を帯びている。


「真正面から戦っても俺達に勝ち目はない。俺たちは遊撃部隊だ。ナナミ、ルリリ、戦が始まって両軍が衝突したら俺たちは左方に逸れ、戦力をそぎ落としていくぞ」


 アリ―シアさんは俺たちを遊撃部隊とした。モンスタークリエイトにより生み出したモンスターを単純な戦力として真正面からぶつけるよりも、オーガやガーゴイルと言った厄介な相手を確固撃破させた方がよいという作戦である。確かに、頭数はこちらの方が多いので強いモンスターさえ少なくなれば何とか持ちこたえられるかもしれない。


「今回俺たちはなるべく目立たない方がいい」


「そうね、集中的に狙われると機動力が生かせないから」


 俺たちはレグンド軍の中段左隅でグレートハウンドに乗っている。魔王軍からは見えないように兵士が配置されている。戦っているうちに遅かれ早かれ見つかるだろうが、できれば戦闘が開始するまで注目をたくない。


 周りの兵士は女性もいて、まさに総力戦となっている(職業のない子供たちなど非戦闘員は町で補給を担っている)。レグンド軍の兵士は皆等しく緊張と恐怖の混ざった顔をして立っている。士気はお世辞にも高いとは言えない。

 そこに、最前列にいたアリ―シアさんが俺達の方を振り返る。彼女の檄が飛ぶ。


「レグンドの民よ!今まさに、我々の故郷を侵略せんと愚か者どもが雁首そろえているのが見えるか!やつらは我々の大切なものを壊し、犯し、奪う卑劣な輩である!やつらの首をそろえて狩り、それがいかに愚かであるか教えてやろう!・・・初めての戦闘に恐怖している者も多いだろう。何を隠そう、私もその一人だ。・・・しかし!勇敢なるレグンドの民よ!我々は恐怖になど負けはしない!我らは死を恐れない!女神ガブリエールの加護はここにある!さあ我らの敵を撃滅しよう!」


 周囲からの大歓声で地面が震える。感極まって泣きながら叫んでいる者もいる。彼女がこの町の人々からどれだけ信頼されているのかが分かる。準備は万全だ。アリ―シアさんの最初の号令が飛んだ。


「前軍、左翼、右翼、それぞれ前進せよ!」


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