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命の限りは頑張ります  作者: とある世界の日常を
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第三話 休日

書き上げました


もっと上手く文章が書けるようになれたらな

精進します

今日はデトワール先生の授業はお休み。

ヘーラル王国は結構しっかりしていて、週に2回は必ず休みをくれる。


「ステレラ、今度はこれを着てみて頂戴」

「ダフネお姉さま、今日はお出かけになるのではなかったのですか?」


ステレラは現在、ダフネの着せ替え人形状態だ。


「あらもうこんな時間、ステレラがとても可愛いからどのドレスにしようか迷ってしまうわ」

「私にはどれも贅沢です」


衣裳部屋には沢山の子供用の真新しいドレスがストックされていた。

王妃様が妊娠した時に、妹だったらプレゼントしようと思って用意しているうちに妄想が膨らみ、こんなに沢山になってしまったらしい。だから王子だと分かった時はちょっと落ち込んだようだ。それでも家族が出来た事は嬉しかったんだけどと話すダフネのはにかんだ笑顔はとても可愛らしかった。

ドレスの種類は豊富で、年齢幅も結構広い。赤ちゃん用のドレスもあるが、よくよく見ると12歳位の子供用のドレスまである。よほど妹が欲しかったらしい。


「けれど、アルセイデス王子は中性的ですから、こういったドレスも着こなしてしまいそうですね」


丁度年齢的にも王子が着れそうなドレスが目に入り、ついそう言ってしまう。


「そうよね!たまに凄く着せたくなるの。王子だし、思いとどまってはいるのだけど・・・」


とても嬉しそうに反応する王女は可愛らしいのだが、発言が可愛くない。

王子の心の安寧の為にも、是非今後とも思いとどまって頂きたい。会話を始めた私が言うのもなんだが、実行されたらアルセイデスが可愛そうだ。


「ダフネお姉さまが一番好きなドレスはどれなのですか?」

「そうねぇ、どの生地も気に入ってドレスを作ったからどれも好きなのよ・・・でもあえて選ぶならこれかしら」


そうしてダフネが手に取ったのは、薄桃色の生地に刺繍で小花柄が施された可愛らしいドレスだ。派手すぎないので出掛けるにも丁度良いだろう。

因みにドレスであるが、どれも新品という訳ではない。物は不足していないものの、溢れるほどあるという訳でもないのだ。なので色々と長持ちするように大切にするのだ。ドレスも例外ではなく、新しいものを作る事もあれば、着なくなったドレスを仕立て直したりしてプレゼントしたりするのだ。今回着る事になったドレスは新品のようだが、迷っているドレスの中には思い入れのありそうなものや、少しばかり年季の入っているものもあったりする。とはいえ綺麗な状態ではある。


「とても素敵なドレスです、ダフネお姉さま、私はそれが着たいです」

「そう?ならこれにしましょう!」


ドレスが決まれば後は早かった。護衛を引き連れ馬車に乗り、街へと行く。

街は小さいながらも様々なものが揃っていて、生活は充実しているようだ。まだ6歳ということもあり、街に出たことのなかったステレラにとってそれらはとても新鮮なものだった。勿論、前世の記憶を持っていたとしてもだ。


少数民族だからと侮っていた。国民の殆どが魔法を使役できるエルフの国において、人数などさしたる問題ではないのだ。人数がいなければ時間が掛かる作業でも、魔法の補助さえあれば簡単に解決する。しかもそれぞれの職人がその仕事に合った魔法の工夫を行い、それを口伝しているのだという。そのおかげもあり、この国は他国との交流は乏しいものの、かなりの文化的財産が豊富であった。


「あそこは大衆向けの婦人服で隣は紳士服を取り扱っているわ、であちらが礼服専門点で大衆向けも貴族向けもここが担っているわね、そしてここがドレス専門点」

「一店舗しかないのですか?」

「いいえ」


大衆向け、貴族や王族向けの店もそれぞれ2店舗から4店舗ずつあるらしい。競合がなければ廃れていくのはどこでも同じなのだろう。

その後も鍛冶屋、魔法屋、道具屋、装飾屋、食事処等を案内してもらった。とは言っても中に入る訳ではなく、通りながら紹介してもらうばかりだが、店自体にはあまり用がないのでそれで充分だった。ただ、装飾屋と魔法屋、道具屋には立ち寄って商品をじっくり見させてもらった。


一件目の装飾屋は高級志向の貴族や王族向け、一つ一つの値段が結構なものだった。高価な宝石をふんだんに使った贅沢な物から、希少な宝石を引き立てるような上品なもの、誕生石を主役にしたものなど様々だ。魔法効果が付随された装飾品はまた値段が一段と高くなっている。

ダフネが誕生石の装飾品をプレゼントしてくれると言ったが、まだ6歳の私には早いということでステレラは辞退していた。


二件目は道具屋に足を運んだ。道具屋には日用品からちょっと何に使うのか分からないような道具、眠りを誘うオルゴール、回復薬等、結構バラエティに富んだ商品ラインナップだった。

特に気になったのが小さな道具袋、これは見た目に反してかなりの量をこの袋の中に入れることが出来るのだ。ただランクが結構あって、容量によっても値段が違うのだが、重さの軽減率によっても違ってくるので、まさにピンからキリまでという感じだ。ただ魔法を使える私にとっては頑張れば作れる気がしたので、帰ったら早速デトワール先生に作り方を教わろうと決心した。


三件目はこの国に2店舗しかないという魔法屋に足を運んだ。


「マリアおばさま、お久しぶりです」

「久しいね、ダフネ。元気そうで何よりだ。その子は?」

「今王宮で魔法教育を受けているステレラですわ」

「初めまして、ステレラと申します」

「初めまして、ステレラ。私はマリアだよ」


マリアはダフネのおば、つまり現国王の姉であるらしい。魔法の才能はそんなに高くなかったものの、魔法道具を作る才能があったそうで、色々あって今はこの店で店主をしているらしい。


「おばさまもお元気そうで、お仕事の方はいかがですか」

「ああ、変わりないよ」


ダフネがマリアと話し込む前に、ゆっくり店内を見て回ると良いと勧められたので、そうすることにする。


魔法屋には魔力を含む商品いくつも取り扱われていた。内容は他の店と被るものも多いが、他の店では及ばない程の効果の高さが保証された品物を取り扱っているそうだ。回復薬は液体タイプと丸薬タイプが効果に応じて並べてあり、上級は道具屋では取り扱われていないそうだ。それ以外にも、魔法が込められた宝石を使った装飾品なども、装飾屋にはない効果を持つ品揃えであった。

ここでは魔法の杖も手に入る。杖がなくても魔法は使えるが、魔法にはめ込まれた魔石の補助により、使える魔法の威力が上がるのだ。勿論杖そのものの素材によってもそれらの効果は変わってくる。木材から金属、鉱石、羽や革など、様々な素材から作られているようだ。

杖があることは一応知っていた。同じ生徒であるレイモンドが使っていたからである。ただ、アルセイデスはまだ使っていなかったので、使用制限があるんだろうと特に気にしていなかったのだ。

でもこんなに沢山の種類があると、ちょっと欲しくなる。


「お嬢さんが杖を持つにはまだ早いよ」


不意に声を掛けてきたのは、職人風の男だ。


「どうしてですか?」


どの道杖を買いに来たわけではないので問題はない。杖がなくても問題なく魔法は使えているので、特にこれまでデトワールに質問することもなかった。けれど折角の機会だから理由を聞いておこうと思ったのだ。


「まだ6、7歳だろう。魔力は高いようだが、成長段階で杖を使うのは成長を阻害する可能性が高いし、成長したらしたで制御が難しく暴発する可能性がある」


なるほど、そういう理由があったのか。もっともである。


「そうなんですか、ありがとうございます。綺麗な杖ですので購入はまだしませんが、ゆっくり見ていてもいいでしょうか」

「ああ、好きにすると良い」

「あの良ければ質問しても?」

「ああ」

「いろんな種類の杖があるようですが、素材はどんなものが使われているんでしょうか」

「色々だな。これには不死鳥の羽と飛龍の爪が使われている。こっちは人魚の鱗とヒレが、こっちは土竜の爪とゴブリンの骨だな」

「本当に色々あるんですね」

「属性に合わせて作るからな」

「何だアレン、上がってきてたのなら声を掛ければいいじゃないか」


声を掛けてきたのはマリアだ。その後ろにはダフネもついてきている。


「取り込み中のようだったからな」

「お久しぶりです、アレンおじさま」

「お久しぶりです、ダフネ様」


その後アレンがマリアの旦那であると紹介され、続いてステレラも紹介された。それから杖について少し教えて貰って、道具についてもアドバイスを貰った。

ステレラはまだ魔法道具に頼らない方が成長できるということで、下手に効果があるものはまだ持たない方がいいことになった。持つとしたら運気が上がる程度の物が良いだろうと勧められた。


「この辺は趣味で作ったものだ。効果は薄いが値段も安い」


勧められた一角には、シンプルなデザインの装飾品が多数あった。

購入したのはエルフに古くから伝わる守りの文様を象ったネックレスだ。ステレラ、というよりは撫子は昔からそういった民芸品が好きだった。効果は幸運の上昇らしい。


「随分シンプルなものが好きなのね」

「はい、とても気に入りました」


その後も店を何件か回ったが、ステレラは既にネックレスで満足していた為、特に購入したいものはなかった。そしてダフネも満足したころ、ステレラの希望もあり、王宮から少し離れた農地周辺の散策へと向かった。


王宮から離れていると言っても、本当に少しだった。高い木々の所為で王宮自体は見えないものの、木さえなければ普通に見えるであろう距離だ。


国民の半数近くは農民である。一般消費者向けの野菜やら果物から始まり、嗜好品や贅沢品と思われるものを栽培している農家もある。南国から北国の食品を多く取り扱えているのは魔法の補助あってのものだ。これは時折国を出て旅行をしたり、冒険者になったりする者達の功績だそうだ。

今の豊かなこの国は、先人たちの努力の賜物なのだ。


「素晴らしいですね」

「そうね」


エルフの里はその多くがとてつもなく高い木々に覆われている。その環境もあってか、農地や商店以外の居住区域の殆どが地面と接することのない木の上に置かれている。転生前の世界にはないその光景はとても神秘的にも感じる。


見れるところは見て回りたかったが、何せ女性の買い物の後である。そんなにたっぷりと時間が残っているわけではなかった。いくつかの畑と集落を見た後は、日が沈む前に王宮への帰路へ着いた。


思っていたより帰りが遅くなってしまった。もっと早い時間であれば、デトワールの元へ行き直ぐにでも道具袋の作り方を学びたかったが、流石にこの時間に行くのは失礼だろうとあきらめた。

ただ夕食はデトワールも一緒の事が多かったので、その時に道具袋の作り方について尋ねれば、明日教えてくれると約束してくれた。


今日はとても有意義な一日だった。

一部ではあるが、国内を見て回ることが出来たし、今まで知らなかった事を知る事も出来た。


明日もまた楽しい日になるだろう、そう思いながらステレラは眠りに就いた。

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