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なぞの抗精神病薬の使い方と、それ故に使い方が難しいと、ぼんやり認識する察しの悪い人間。

抗精神病薬は、主に統合失調症に使われる。

(だって、『統合失調症の薬』って書いてあるし、大学でもそう習った)


「統合失調症の人が多いんですね。」と、岡林先輩に言うと、「きれいな統合失調症の患者さんは少ないですけどね。」と言われる。


きれい?きれいな統合失調症の患者は少ない…


統合失調症の患者のブサイク化が進んでいる?




察したらしく岡林先輩が説明してくれる。


「『きれいな』というのは、統合失調症だけの疾患の患者のことです。


他の精神疾患が混ざっていなくて、統合失調症だけの疾患の患者さんだから、『きれいな』統合失調症と呼んでいます。」


あー、なんだ。容姿の問題じゃないのか。


いや、待てよ。統合失調症の薬=抗精神病薬が、ほぼ全員に処方されているのに、統合失調症は少なくなってきた…?


私の顔を見て、ほほ笑みながら岡林先輩が続ける。


「抗精神病薬が多く使われているから、統合失調症の患者さんが多いって思ったんですね。


抗精神病薬は精神科ではかかせないので説明しておきます。」


イエス、プリーズ!



「統合失調症の薬だと言っても、もう統合失調症に使わない薬もあるんです。


抗精神病薬は、基本的に気持ちを落ち着ける力が強いので、気持ちを落ち着けるために飲みます。怒りっぽかったり、不安の強い患者さんにも処方されます。ですので、抗精神病薬は基本的に気持ちを落ち着ける薬だと思っていて下さい。


寝る前に飲むことで、深い睡眠が取れるので眠剤としても使われます。


同じ抗精神病薬でも特徴があります。気持ちを抑える効果が強いものや、不安を取る効果が強いものもあります。副作用との兼ね合いや感受性も加味して処方されています。統合失調症の薬は量が多いと気持ちを落ちつけたり、躁状態を抑え、少量ではウツを改善します。量によって効果が違うことも覚えておいて下さい。」


抗精神病薬…。なぞ過ぎる。何にでも効く可能性があるってことは、使い方がかなり難しいって事…?


「抗精神病薬の中でも、特に昔からある薬で錐体外路障害が起こることがありますが、もしそういう副作用が出ている人がいればお知らせしますね。」


抗精神病薬で錐体外路障害と呼ばれる副作用が出る、それは大学で習った。手が震えたり、口をモグモグしたり、体がつっぱったりする副作用だ。


でも実際に見たことはない。そうか、そういう副作用が出ている人がいたらチェックをするのも薬剤師の仕事なんだ。




精神科の病床は100床くらいだから、病棟薬剤師が2人というのは比較的多いそうだ。(市川主任は病棟業務はしない)


今まで、病棟業務は岡林先輩1人でしていたらしい。


「100人も患者さんを見ていたんですか?ちょっと多すぎませんか?」と聞くと、


「できないから、あなたに来てもらったんです。」と、岡林先輩がにっこりとほほ笑みながら答える。おっと、愚問でした。

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