ツキノワグマ捕獲作戦
「クマを殺すなー!」
「クマを殺せー!」
スーパーマーケットの周囲に飛び交う民衆の声。動画サイトでもその様子が中継され、武装した私たちは世間の注目を浴びながらスーパーマーケット店内に進入した。
クマの脱出防止を図り手動になっている自動ドアを手で開き、皆が入ったら閉じる。入るとさっそく飛び込んできたのは呼び込みくんとその音楽。店内は明るいが、人の姿はない。まるでディストピアだ。
「あのー、沙雪さん?」
「どうしたの明日香ちゃん」
「仕事は選んだほうがいいんじゃないかなって思うんですよね。ロケットランチャーでクマをドッカーンってやれば早いし市民の安全も守られるかもしれないけど、動物愛護団体とかクレーマーから不買運動が起きたりとか、長い目で見ると何かと不利なんじゃないかなあと」
「そういうのはカスハラなんだから放っとけばいいんだよ。文句あるならあなたの家に送り付けますよ、着払いでって言えばいいだけ」
「羽心音、常識人なのね」
「えっへん!」
キャロルが明日香ちゃんの問題提起に対する羽心音ちゃんの返答に感心している。
「大丈夫だよ明日香ちゃん、そんな乱暴なことはしないよ」
私はにっこり、明日香ちゃんに笑んだ。
そうこうしている間に、私たちはクマの横顔を捉えた。お菓子コーナーでポテトチップスを食い漁っている。のりしお味だ。
速やかにライフルを召喚し、バンバンバンバン! と黒い背に撃ちまくった。
「わああああああ!! ちょっとちょっと話が違う!! 株価大暴落!! 会社炎上するー!!」
狼狽する明日香ちゃんを他所に、彼女を除いたメンバーで気絶したクマの手足をワッパで捕縛し、警察に預けてスカのライフカンパニー施設内へ運搬してもらった。




