表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いざなわれた少女たち  作者: おじぃ
北国の旅
76/84

羽心音の存在意義

「ふーう」


 事故を防ぎ、駅長からブレイブマンカンパニーやこの世界全般の情報を聞き出した私は、予約していたビジネスホテルのツインルームに羽心音ちゃんといっしょに入った。隣の部屋ではキャロルが白眼を剥いて気絶した明日香ちゃんを介抱している。


「そういえばこの6年間、沙雪ちゃんとふたりっきりになることって、なかったよね」


「うん、そうだね」


「沙雪ちゃんの会社に雇ってもらったおかげでテレクラのバイト辞められて良かったよお。あれはあれでちょっと愉しかったりしたけど、競争激しいしお喋りしたりアンアン言うの疲れちゃうから、ほんとに助かった」


「それは良かったです。社員ももふもふと毛布に包まれているような幸福を感じられるライフを送れる会社をモットーにしているので、満足してもらえて何よりでございます」


 逆に、毛布に包まれているような幸福の中で詭弁を並べ、凍える者を追い込む者に制裁を加えるのも、もふもふライフカンパニーの指針である。


「ねえ沙雪ちゃん」


 ん? と私は首を傾げた。


「私って、なんのためにこの世界に来たんだろう。存在意義追求RPGなのに、電話の先にいる男のズリネタになる以外、なんの役にも立ってないよ」


「いや、それは性犯罪防止に大いなる貢献をされているかと」


「おっ、そっか! 確かに! でももうテレクラ辞めちゃったし、やっぱり戦闘で役に立てないかな」


「うーん……」


 私はロケットランチャー、銃などの弾丸系、明日香ちゃんは剣、キャロルは魔法……とすると羽心音ちゃんは?


 別にジャンルが被っても問題ないけれど、それらの中に羽心音ちゃんの適性があるとは考えにくい。なんやかんや6年間の付き合いで、向き不向きくらいはなんとなくわかる。


 俯いて考え込んでいると、羽心音ちゃんの胸元に視線が行った。


 そこそこにふくよかだ。


 私も明日香ちゃんもキャロルも控えめなのに対し、羽心音ちゃんだけは女性的な魅力がある。


 そもそも初恋もまだ、ロケットランチャーのことばかり考えて6年を生きてきた私にとって、性的な視点は眼中になかった。


 しかし、これは大きな武器になるかもしれない。


 ハニートラップと肉弾戦だ。


 男を誘惑するボディー、戦闘スーツでも開発して着せれば凶器を持たずとも羽心音ちゃんの身体が武器となる。彼女の身体に触れた男の敵が隙をつくり、それを突いて撃破。


 ブレイブマンカンパニーに対する忠誠心のない、守るものもない兵であれば、やり方次第でその男を味方に転換できるかもしれない。


「ふふふふふふふ……」


 これは使える、かもしれない。


「え、どうしたの沙雪ちゃん」


「ううん、なんでもない」


 私はニコッと満面の笑みを羽心音ちゃんに向けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ