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いざなわれた少女たち  作者: おじぃ
弾薬の街、スカ
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もふもふライフカンパニー

 新しい武器。最近兵器か、デジタルトランスフォーメーションを巧みに活用した武器か、はたまた原点回帰でロケットランチャーか。


 とりあえず私たちの手元にあるのはロケットランチャーと、実戦ではあまり使えそうにない安い刀剣類だ。


 しかもいま、私たちは資金が乏しい。いや、儲かってはいるけれど、ブレイブマンと比べたら雲泥の差。もふもふライフカンパニーなど風に乗ってふわりドッカンと飛ばされてしまう。


 身のほど知らずの小国が、いくらかの成功体験があるからといって調子に乗り大国に挑むと悲惨な目に遭うのは歴史が物語っている。


 それに、アケミさんは建設中のリゾートホテルを破壊されたため、ローンだけが残った。ホテルが破壊されたということは、ローン返済に充てるはずだった宿泊料金などの売上金が懐に入らないということだ。


 ということでアケミさんは手元にある狩猟道具を用いて野生生物を捕らえ『アケミおばさんのわくわく生きものパーク』をリゾートホテル跡地に開園した。パークのロゴマークが某クッキーのおばさんのそれにそっくりで、かなり危うい感じがするものの、そこはスルーした。もふもふライフカンパニーとアケミさんは別資本。仮にクッキー屋さんに訴えられても私の懐は痛まない。


『アケミおばさんのわくわく生きものパーク』では、アケミさん選りすぐりの生きものを展示。しかも展示されているすべての生きものとふれあいが可能。森の生きものコーナーでは、カバ、チーター、ツキノワグマ、ワニを展示。徒歩やオープンカーで巡れる目玉商品。行ったきり帰ってこない客がけっこういるらしいが、入園料は先払いなので問題ない。


 海の生きものコーナーでは、マリンブルーで透き通ったカツオノエボシや、茶色いボディーに黄色のラインが鮮やかなゴンズイなどの小さな生きものを展示。こちらも水槽の中に手を入れてふれあえるようになっている。


 近いうちにシャチやホオジロザメなどの大きな生きものも展示する予定らしい。



 私はまだ行っていないけれど、たとえ無料でも絶対に行きたくない。



 先日、明日香ちゃんと羽心音ちゃんがふたりで遊びに行ったそうだけれど、顔面蒼白脂汗まみれで帰ってきた。海辺の街、茅ヶ崎出身の明日香ちゃんは、さすがにカツオノエボシやゴンズイを触ろうとは思わなかったそうだ。


 毒された明日香ちゃんも見てみたかったけれど、彼女もいまやもふもふライフカンパニーの貴重な労働力。負傷はなるべく避けたいところ。


 ちなみに、ブレイブマンカンパニーは最低賃金0ペイ、年間休日108日(これだと土日以外の休日は年間4日しかない計算)、日当たり1時間未満の残業は手当てなしという、個人的感想としては過酷な条件に対し、もふもふライフカンパニーは最低月給1万5千ペイ(傷病などによる休職時にも支給)、年間休日126日、加えて有給休暇20日が入社当日から付与される。残業代は1時間単位で支給、残業時間は30分単位。たとえば1時間30分残業した場合は2時間分の残業代を支給する。今後は2ヶ月のバケーション休暇も導入し、より働きやすい会社にする予定。


 いまのところ社員は明日香ちゃんと羽心音ちゃんだけだけど、希望者がいれば随時入社試験を行う。


 不遇は悪事のタネ。それを身をもって知った私は、自らが経営者となった現在、それを社員に強いるなどという愚かな真似はしない。


 ブレイブマンカンパニーは、休日も給料も少ないくせに意欲だけは強く求めるという悪評高い企業。さっさと潰れるか優良企業に吸収されればいい。


 悪い組織には、悪いメンバーが集まる。良い組織には、良いメンバーが集まる。


 だから最後に勝つのは、この私だ。

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