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いざなわれた少女たち  作者: おじぃ
弾薬の街、スカ

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希望いっぱい夢いっぱい

「不動産事業を始めたのには、いくつか理由があるの。まずは資金の調達。愚か者どもを滅した代金として得たお金を資本にマンションを建てて、殺人マシンのメンテナンス費用を稼ぐ。利益は主に、株主である被害者家族の会に還元して、現実世界での裁判費用などに充てるなりなんなり、お好きに使ってもらうということで」


「ここで稼いだお金を、現実世界に持ち越せるのですか?」


「これは特例よ。政府が講じた非公表の被害者救済措置」


「なるほど。社会をより良くするための投資ですね」


 ふふふふふ、社会をより良くするための投資だなんて、なんともまぁ。自分で言っておかしくて、つい笑いそうになった。


「そうね。あと、ここが肝心。私が営んでいるのは会社。この世界で暮らすには、お金を稼がなくちゃいけない。プレイヤーたちの働き口としての役割も果たしたいと思っているのよ」


「まあ! お優しい」


 私は両手を祈りのポーズで組んで、華やかな笑顔を作って見せた。


「えぇ。真面目な人にはしっかり対価を払う。たとえ少し仕事が苦手でも、人柄が良ければ評価する。仕事ができるけど道に咲く花を踏む人より、仕事が苦手でも花を綺麗だと、心から愛でられる人を厚遇する。そういう人はいつか自分で気付くと思うの、このままじゃいけないってね」


「将来まで見据えていらっしゃるのですね」


「えぇ、そうよ。でもね、目先の利益や悦楽に溺れ、悪を悪とも思わない愚か者も、背信的悪意者も、会社には紛れ込む。そういう輩は底値で食い潰し。骨の髄まで会社に身を捧げさせて、吸い尽くしたらポイするの。合理的でしょう?」


「えぇ、とても素晴らしいです!」


 ふふふふふ、なんだろうこれは。心の中で笑いが止まらない。


 私もスクールカースト上位の薄っぺらな能無しどもをこの世界に集めて、徹底的に食い潰したくなってきちゃった。


「沙雪ちゃんも、やりたくなっちゃった?」


「いえいえ、私にはそこまでのこと、とても真似できません。さすがおばさま、とてもお勉強になります」


「あらあら、そんなことないわよもう」


 右手をネコパンチのように振る、おばさん独特の動作。どこにでもいる見た目の普通の叔母さんの中にも、とんでもない悪党がいるものだ。


 もっともそれを、心の底から悪だなんて微塵も思わない私も、我ながらなかなかだと思うけれど。


 さて、今後私はどうしよう?


 いまのままでは何かクエストを成し遂げようとも、途中でおばさんに立ちはだかられたらとても敵わない。島のお猿さんのクエストも、残念ながら放棄するしかなさそうだ。これは戦略的撤退。


 しばらくは通販事業などで地道に稼いで、盤石な経営基盤と十分な体力をつけるとしようか。幸い通販事業は日用消耗品を多く扱っているおかげで安定的な収入が得られている。自分でオリジナルの商品を開発して、同業者との差別化を図るのも良いだろう。


 明日香ちゃんが清掃業者で培ったノウハウを活かせるお掃除サービスでも始めるか、はたまたキャロルの魔法で便利屋でも始めるか、それとも羽心音はこねちゃんの違法テレクラバイトをやめさせて、派遣型サービスでも始めるか。


 うーん、希望いっぱい夢いっぱいの種がたくさんあって、迷ってしまう。

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