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いざなわれた少女たち  作者: おじぃ
弾薬の街、スカ

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元締めおばちゃん

「あ、ビギンズタウンのおばちゃん!」


 アケミさんとの再会を無邪気に喜ぶ明日香ちゃん。


「お久しぶりです」


 私も何も勘付いていないフリで、とびきりのスマイルを浮かべ挨拶をしておく。


「あらあら明日香ちゃんと沙雪ちゃん、元気にしてた」


「はい、おかげさまで」


「元気元気! おばちゃんも元気?」


「げーんきげんき! 超パワフル元気よ! それで、明日香ちゃんたちはどうしてこんな山の中に?」


「うーんとね、確か開発……」


 案の定、無邪気な陽キャは何も知らず無邪気な発言をしようとした。


「果物を拾い集めて、新しいジュースを開発して、売ってお金にしようと思っていたんです」


 すかさず明日香ちゃんのトークに割り込み嘘をついたけれど、ジュースをつくって一儲けもアリかもしれない。


 私たちがここに来た目的は、この土地を開発してリゾート地にしようとしている人たちを止める、だけれど、アケミさんはその組織の上層部、よもや元締めかもしれない。そう考えると自宅にロケットランチャーなんてものがあるのも納得。アケミさんから譲り受けた『ロケラン』を、私はとても大切に保有している。


 私が譲り受けたロケランは老朽化が進み、発射したところ目の前に弾が落下して私たち一行は自爆しかけた。その後、私が修理をして復活。


 譲れるロケランがあるということは、アケミさんの家にはもっと高性能の武器弾薬があると考えるのが自然だ。


 私のより高性能の武器を持った相手が目の前にいる。


 きのうの友は、きょうの敵。


 陰キャ勢なら肝に銘じているだろう。


 正にいま、そういった状況だ。


 敵対する相手の元締めが、少なくとも私よりも高性能の武器を保有している。


 現に目の前にあるショットブラスト装置もそうだ。


 これにぶち込まれた人間は、体液しか残らない。


 この男だって、チャカの一つくらいは忍ばせているだろう。


 アケミさんが何を持っているかは皆目見当つかない。


 さぁ、どうする。無慈悲に二人の抹殺を試みても、逆にこちらが消されるだけ。


 簡単に言えば、ライオンに噛みつくカマキリだ。そのくらい力量に差がある。


 カマキリがライオンに勝てるわけがない。


 どうする、どうする私。頼むから余計なことは言うなザコたち。


「あらあら、そうだったの。でもね、ここはお兄さんの仕事場だから、入っちゃだめよ? 私はお兄さんの叔母おばだから、お茶菓子の差し入れに来たの」


「御挨拶遅れました。本日も御差し入れ、誠に有難く存じます」


 男はおばちゃんに深々と、こうべを垂れた。

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