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いざなわれた少女たち  作者: おじぃ
弾薬の街、スカ

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ロケットランチャーおばちゃん再び

「わ、私と、どうですか?」


 言った羽心音ちゃんは、頬を赤らめ涙ぐんでいる。


「どう、とは?」


 意図を飲み込めず、男は首を傾げた。


「いや、だから、寝るってことです!」


 縛った目から弾け飛ぶ涙と真っ赤な頬。どうやら羽心音ちゃんは恥を忍び勇気を振り絞っているようだ。


「あ、なるほど」


 男は納得した様子。私は未だ理解できていないけれど、男が理解したなら良い。


「その代わり、この場は見逃してください!」


「それは、お断りします」


「えっ……」


 まさか、そんな。男に断られた羽心音ちゃんの紅潮していた頬は一気に血の気が引き、青ざめた。瞳も瞬時に小さくなった。


 添い寝をするだけで見逃してくれるとでも思っていたのだろうか。それこそまさかだ。


「失礼ですがお嬢さん、お歳のほどは?」


「15歳の現役JCですけど」


「はい。つまりお嬢さんは18歳未満。そういった方とそのような関係を持ってしまうと、私は警察に逮捕されてしまいます。こんなにも艶やかで麗しいお嬢さんにお誘いいただいたのに大変残念ではございますが、何卒ご容赦いただけましたら幸いでございます」


 羽心音ちゃんと明日香ちゃんは、人殺しが今更逮捕を恐れるとか……。という表情を浮かべるも、うっかり口にしてしまえば命は無いと理解しているので黙っている。


 私は男の言っている意味を理解した。キャロルもそのようだ。


 この男、恐らくゲームの運営に関わる者、もしくはそれ以上の権限がある者に依頼されてコロシをしている。


 つまり、殺し屋だ。


 推測するにコロシの対象は、現実世界の法では裁けない者、法律上の問題で犯した罪に見合わない刑しか課されなかった者、私たちのようにこの場所を目撃してしまった者といったところだろう。


 前者について具体的には、暴力、窃盗その他あらゆる犯罪で幾度も警察の世話になり、当人の生命の存続が国の税金を著しく消費し、安全な市民生活を脅かしている者、平たく言えば何度捕まっても懲りない者。


 学校および職場等でイジメやハラスメントに及び、他の生徒、教職員、役員及び社員等に精神的、肉体的、またはその両方に於いてダメージを与えた者。


 乗り物(自転車を含む)を飲酒運転、スマホを操作しながら等のいわゆるながら運転をして事故を起こし、法による裁きを受けたものの、被害者および被害者に近しい者がその裁きに納得せず、ゲーム運営会社を通じて殺し屋に殺害を依頼された者。


 その他、健全で安全な市民生活に支障を来す恐れがある者で、権限のある者にピックアップされた者。


 などといったところだろう。他にも思い当たる者はあるが、要するに法で裁けない者がここへ運び込まれて殺害されるという認識で合っていると、私は確信している。


 だから殺しても、警察に逮捕されない。


「うーん、そう言われちゃうとなぁ……。でも本当にいいの? 現役JCとおねんねできるチャンスだよ? 警察にも言わないよ?」


 粘る羽心音ちゃん。


「もしかして、お嬢さんは欲求不満なのですか?」


「ちちち、違うし! そんなわけないし!」


 あからさまに狼狽する羽心音ちゃん。図星か。


 しかし、寝たいのなら一人でも寝られる。眠くなったら横たわれば良いだけの話だ。適度な時間眠る。それで睡眠欲は満たされるだろう。


 そういうことなら早く引き上げて帰宅したほうが良い。


「あらあら、どうしたの? 久しぶりねぇ」


 早くこの場から逃れる方法を模索していると、背後から聞き覚えのある中年女性の声がした。


 何も知らずに来た?


 いやいや、そんなはずはあるまい。


 背後にいるのは旅の始め、私にロケットランチャーをくれたおばちゃん、アケミさんだ。


 ロケットランチャーを持っているおばちゃんなんて何者だと思っていたけれど、なるほどそういうことか。


 これは相当、まずいことになったかもしれない。

 お読みいただき誠にありがとうございます。


 今回も長らくお待たせしてしまい大変恐縮です。


 各作品の更新を均等に近付けるため、連載体系を変更いたしました。

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