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いざなわれた少女たち  作者: おじぃ
戦闘訓練

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43/91

明日香、希望に満ちた少年に絡まれる

「お金、ちょっとだけ、お金貸してくれる? これから100倍にしてくるから、貸してくれたらその50倍にして返すからよ」


 出たよギャンブル中毒。コイツ、これから一文無しになるパターンだよこれ。


 し・か・も! 私みたいな幼女に悪事を働くといえばだいたいカラダ目当てなのに、その気は全然なさそう。


 そりゃね、私だって襲われたくはないよ? でもさ、なんかアレじゃん? 最初から無価値なカラダみたいな? そういう見方っていうのはちょっとさ? 思うところがあるよね。


「ごめん、私ブラック企業の犬だからお金持ってないんだ」


「なんだよ仕方ねぇなぁ」


「ごめんね~」


 物わかりいいヤンキーで良かった~。


 カツアゲを諦め、がに股で歩くヤンキーの背を見送り、私はその反対方向へ再び歩きだした。


 いや~しかし参ったなぁ~、VR世界のクリスマスなんて滅多に経験できないのに、ノーマネー&ショップクローズでケーキすら買えないよ。


 ちゃっかりリアルに再現された冬の乾いた風が全身を突き刺す。


 あ~寒い。クリスマスはクルシミマスだ。


 せめてホワイトクリスマスにしてくれればいいのに……。


 住居に向かってとぼとぼ歩いていると___。


「やあ! 僕と勝負しようよ!」


 私と同じ年ごろっぽい真面目で純粋そうな少年に呼び止められた。服装は現実世界でもよく見かける黒いコートとジーパン。髪型はおぼっちゃまカットが伸びた感じ。そういやこの世界に散髪屋さんはあるのかな?


 意図が読めない私は「勝負? なんの?」と問う。


「剣と剣を交えて戦うんだ! 大丈夫、訓練モードにするから命の危険はないよ!」


「あぁ、戦闘訓練ね。きみは一人で旅してるの?」


「そうさ! おとといまでは仲間がいたけど、僕がお手洗いに行っている間に行方がわからなくなったんだ!」


「お、おぉ、そうなんだ……」


 撒かれたなこれ。可哀想に。


「一人旅は楽しいよ! 自由に行動できるからね!」


「そっか、良かったね」


「ああ! 良かったさ! さあ! 勝負をしよう!」


「いや~、でも私、歯こぼれしたらおしまいの安い短剣しか持ってないからさ」


 訓練モードでもそういうのはちゃんと再現されるんだよね。ちゃんとしたものが欲しければカネ払えと言わんばかりに。


「なんだ、逃げるのか? さては僕が強そうだから怖じ気付いたな!?」


「うーん、うん、そう! そういうことにしておけばきみも悪い気はしないでしょ?」


「そういう言い方は腑に落ちないなあ! でもさ、人生は勝負の連続だよ! ここで逃げたらなにも始まらない! 挑戦する熱意が大事なんだ! その分だけ報われると、僕は信じているのさ!」


 なんか地味な格好の割に暑苦しくてウザいなコイツ。


「わかる、わかるよその気持ち! 私もこの世界に来てすぐのころはそうだった! なにもかもが輝いて見えたようなそうでもないような気がした!」


「そうさ! 世界は愛と希望に満ち溢れている! 冒険や挑戦をした分だけワクワクでプレシャスな発見があるのさ!」


「ああ眩しい! きみのその若さが眩しいよ! 歳はいくつかな!?」


「13歳! 中学1年生さ!」


「歳上かよ! あぁんとね、そろそろ現実を見よう。世の中そんなキラキラしてない。そんな能天気なこと言ってるから……」


 撒かれるんだよ。


「現実? 現実とは常に変化するもの。そう、それはつまりいま僕らが造り上げた世界が現実で、それは刻一刻と変化している。だからこそ縄文時代には想像し得なかったであろうVR世界を、僕らはいま、探検できているのさ!」


 なんだかもう、息継ぎのタイミングとかも含めていちいちウザい!


「ああもうわかったわかった確かにそうだよ! 私の仲間にそういう話が好きそうな子いるから紹介してあげる!」


 そういう話はエリートの沙雪かキャロルに任せて、私は、え~と、どうしよう? とりあえず、いまを生きよう……。

 お読みいただき誠にありがとうございます。


 更新が遅くなり申し訳ございません。


 多数連載を抱える中で、本作含む全作品にてなるべく更新間隔を短くする策をただいま練っており、順次試行しております。

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