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いざなわれた少女たち  作者: おじぃ
戦闘訓練
32/84

闘争本能の上に成り立つ文明

「よし嬢ちゃん、ちょっと腕相撲しようか」


「え? どうした急に。私みたいなか弱いオンナノコがマッチョのオッサンに勝てるわけないじゃん」


 っていうかお鍋がグツグツしてる所で危ないじゃん。ちゃんこ鍋初めてだけど、普通に美味しい。


「そうだな。私に勝つなんて30年早い。30年もすれば虐待し放題の老人になっちまうからな」


「ふむふむ、弱ったところを狙う。私はそんな卑怯じゃないよ。あと20年くらいしたらまともに勝負できるかも」


「普通ならそうかもな。だが嬢ちゃんがからだを鍛えて大きくすれば、1年後には私より強くなっているだろう」


「えぇ、やだよ。太りたくないしマッチョにもなりたくないもん」


「あぁ。嬢ちゃんも、世の中の殆どの人間も、マッチョなら幾分わからないが、太りたいとは思わないだろう。だがな、ここの門下生は違うんだ。こいつらの大半は働かないで衣食住をしたいと願うヘビーなゲーマーだ。しかもそのくせ、強い存在になりたいと憧れてもいる、ムシの良い連中だ。だが言い換えれば、本能に忠実な生き方をしているといえる。ラクして絶対的な地位を築いたり、安定した生活を送りたいと願うのは、ごく当たり前の思考なんだ」


「そうだね、私もラクしてがっぽり稼いで綺麗なお姉さんたちに囲まれながら高笑いして暮らしたいよ」


「そうだろう? だから私は門下生募集のポスターに『衣食住保証! 食う寝る気楽にバトるだけ! ラクして強くならないか!』と書いたんだ」


「えぇ~、めんどいからバトりたくない」


 けどよく見るとここの関取さんたちは現実世界の関取さんの雰囲気と違って、なんていうか、秋葉原あきはばらが良く似合いそうなゲーマーっぽい雰囲気の人が多い。地下アイドルのきれっきれなダンス踊れそう。


 類友るいともことわざ通り、世間じゃ後ろめたい目で見られて挙動不審なイメージのある人たちが、ここでは堂々とワイワイガヤガヤしてて楽しそう。


「嬢ちゃんはとことん安定志向だな。だが対戦というのは動物の本能だ。特に狩猟本能というものは人間にも強く存在するものだ。だからこそ、スポーツは支持される」


「そうなん? スポーツって、からだを動かして気持ちよく汗を流すもんじゃないの?」


「確かにそうだ。けれど対戦という意味はかなり強い。スポーツというものは、多くの競技で誰かより優位に立ち、最強を目指すものだ。観戦者においても、選手やチームに感情移入して、それらの勝敗に一喜一憂する。勝てば嬉しい、負ければ悔しい。自分が優位に立ちたいから各々が戦略を練り、競争する。だからこそ、今日こんにちの文明が存在すると言って良い。勝利への執念は、人間にも潜在的に存在するものなんだ。ただし、嬢ちゃんの言うように勝敗など無関係に楽しく、気持ち良いプレーが基本であり、究極なのかもしれないな。その心持ち、大人になっても忘れるなよ?」


「そっか。人っていうのは勝ちたい動物なんだね。でも基本は忘れずに。ふむふむ」


 沙雪とキャロルがしている難しい話って、こんな感じの内容なのかな。私の両親は難しいことを考えないのがモットーだけど、貧乏だったり夫婦仲が悪かったり、人生が成功しているとは思えない。私も今まで難しいことからは逃げてきたけど、二人のわだちを辿らないように、頭がおかしくならない程度には意識しても良いのかも。


 あっ、そういえば沙雪とキャロルとアキアカネ×2! あの子ら私を置いて何処行った!?


 一人ひとりがバラバラで、連帯感がまるで無い。それがうちのパーティー。とりわけバカな私はハブられやすい。ま、なんとかなるか。

 お読みいただき誠にありがとうございます!


 他作品の更新間隔調整のため、早めに更新しておりました本作は間隔が開いてしまいました。大変失礼いたしました。

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