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春の入学式、校長の話事件 1

春。それは出会いと別れの季節。生徒会に入ってから初めての卒業式を二週間ほど前に終え、あとは明日の入学式を待つのみとなった。俺、枯葉 真言はのんびりとした春の雰囲気を感じていた。いつものように生徒会室で唯一の趣味である読書をしていると、急に目の前が真っ暗になった。

「さぁ、明莉は誰でしょう?」

「私は誰でしょうゲームをするならその子供っぽい一人称を直してからにしろ」

俺はバカな幼馴染の手をどかして読書を再開しようとしたが、また目の前が真っ暗になった。

「まぁまぁ、真言君。かわいい幼馴染の戯れくらい付き合ってあげなよ。そんな先輩らしく話かける私は誰でしょう?」

「さすが千里さん!参考になります」

「お前が名前言ったら意味なくない!?」

「あははは(笑)まぁネタバレが済んだところで会長様のおな~り~」

「僕は殿様じゃないよ。千里」

会長が苦笑いしながら生徒会室に入ってきた。

そう、これが現在の生徒会メンバー。3年の会長と千里さん。2年の俺と明莉。うちの高校は生徒会の作り方が各学年から二人ずつという変わった伝統がある。そして、卒業していかれた先輩と入れ変わりで入学する新1年から二人選ばれるのだ。

「まぁとりあえずみんな席についてくれ」

全員席につくと会長が咳払いを一つした。

「それじゃあ生徒会をはじめるよ。今日は明日の入学式の進行の確認と仕事の割振りをしよう」

これは集中して聞かねばならない。内容によっては明日一番楽な仕事を選ぶために必要なヒントになる。

しばらく会長が明日の予定を話した。

「進行についてはこんな感じだが、何か気になるところはあるかな?」

「ないです」「ないよ~」「大丈夫でーす」

「じゃあ割振りを始めよう。仕事といっても簡単だ。駐車場の交通整備、受付、式中の体調不良者を保健室まで案内することの3つだ」

これは交通整備一択だ。できるだけ気を使わず、朝にすぐ終わる仕事だし。

「交通整備で」「交通整備がいい」

千里さんとほぼ同時に手をあげていた。やはり千里さんも楽な仕事を選んできたか。

「千里さんは女子なんですから受付でもしたらいいんじゃないですか?」

「あーら真言君、女の子扱いしてくれるのはありがたいけど真言君こそ式の雰囲気に慣れるために保健室案内でもしたら~?」

「ここは公平にじゃんけんにしろ」

俺と千里さんで取り合いをしていると、会長に止められた。

しぶしぶじゃんけんをすることになった。

「真言君、私はパーを出すわ」

なるほど・・・心理作戦か。

「そうですか。じゃあ俺はありがたくチョキを出させてもらいますよ」

「そう。じゃあいくわよ!最初はグー。じゃんけんぽん!」

結果は千里さんがグーで俺がパーだった。

「先輩の言うことを信じないなんて・・・」

「後輩をだます先輩もどうかと思いますよ」

嘘泣きのポーズをしている千里さんがケロッと会長のほうを向いた。

「じゃあ私は受付でいいわ。明莉は保健室案内でいいかしら?」

「はい!大丈夫ですよ」

「決まったね。明日はよろしく頼むよ」

「あれ?会長は何をするんですか?」

明莉が会長に首をかしげなげら聞いた。

「僕かい?僕は式で新入生への挨拶があるんだ」

「そういえば明莉も去年聞いた気がします!」

「そうだろう?僕も今から緊張しているよ」

会長はそういいながら胸に手を当て緊張しているアピールをしている。

何を白々しい・・・。この会長は緊張しているだの心配しているだのと言ってさらっとなんでもこなすのだ。

そんなことを思っていると会長が俺を見てニコッと笑った。

「真言。何か言いたそうだね?」

この会長は人の心でも読めるのか・・・。

「なんでもないです」

「そうかい?じゃあ今日はこれで終わりにしよう」

「はーい」「はい」「はい!」

明日は面倒なことになりそうだ・・・。

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