手紙
「泣かないで。」
私は背中をさすった。友達はしゃがみこんで顔をうずめひどく嗚咽している。
「ほら、しょうがなかったんだよ、そんな落ち込むことじゃないでしょ?」
と、言った瞬間、友達は真っ赤な目でキッと私を睨みつけた。そして、そのままバタバタと走っていってしまった。
「はぁ。」
ため息が出る。友達はいつもそうだ。しょうがないことなのになぁ。
言ってもあの子には分からないんだ。いや、分かっているからこそ悔しいんだよね。
「しょうがないなぁ。」
私は自分の席の椅子を引いた。カバンからレターセットを取り出しスラスラと書いていく。筆が乗るんだ。楽しくてゾクゾクする。何も考えなくても手が勝手に動きだすんだ。心臓がドクドクして体の底から良い心地がする。
「これでよし、と。」
あっという間に便箋数枚が埋まり、それをトントンと揃えて封筒に入れて封をする。
まだドクドクとする鼓動に酔いしれながら、私は友達を追いかけた。