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ピンチ!上司の上司「第3階層」が攻めてくる!

一難去ってまた一難...かな?

「ねえ、フレッセン、うちらの上司があんなんなっちゃたら、その上の第3階層はどうするのかな?」


「上納がなくなったので、とりあえずシメに行くだろう。で、いつ行ってもいないと。すると、こいつは消滅したんじゃないかと疑うだろうね。第4階層には俺たち以外にあと3人下僕がいたわけだが、第3階層はこいつらに接触して何か情報がないか聞き出そうとする。すると、第4階層が俺たちを追っていたことを知ることになる。ここで第3階層が採る道は2つ。1つはそのまま俺たちの捜索に着手する。俺たちを追い詰めて捕まえて処罰し、それから直属の第2階層に報告する。もうひとつの道は、最初に状況を上司の第2階層に報告し、どう動くべきか相談する。ヴァンパイアのピラミッド組織から見ると、今回の一件は,俺とライツの失踪、第4階層の消滅、合計3名があの揺るぎない鉄壁の態勢からこぼれ落ちたということになる。欠損は許されないので補われなければならない。どう補充するのか?それは最終的には始祖の判断に任される。ヴァンパイアのピラミッド組織の規則では、第5は吸血も眷属化も許されない。第4以上は、始祖が許可すれば直属の眷属を作ることができる。第3が噛めば第4になり、第4が噛めば第5になる。」


「どうなるのかな?」ライツは少し不安そうだ。


「どっちに転んでも、俺たちの元に現れるのは海に沈んだ第4階層の直属の上司の第3階層だ。こいつを倒せばその上の第2階層が来るだろう。さすがにその事態を始祖は予想していないだろう。なので、第2階層が倒されて自分自身が出るということは考えてもいないはずだ。」


「とりあえず第3階層対策を考えておかなければならないのね。」


「そうだ。頭が痛いな。」


「そうね。ふつうは階層が1つ上がると強さが倍増するって言われてるから、うちらの4倍ね。」


「買ってきたヴァンパイア小説を熟読して,どんな攻撃がヴァンパイアに有効か調べようぜ。」



 3時間後、お互いに読み終わった本から得た情報を俺たちは共有した。


「日光を浴びると燃えたり蒸発して滅びるというのがあったわ。」


「それ却下な。夜のほうが消費エネルギーが少ないだけど、さほどの違いはない。十字架や聖水に弱いというのもあったぜ。」


「それ、どこに売ってるの?」


「教会にあるらしい。でもこの界隈に教会なんてないな。十字架ってのは、ほらこんなやつだ。」俺は小枝で十字架の形を作って見せた。


「うっ!やめろ...力が...って、嘘よ。何の変化もないわ。」


「だよな。俺が十字架を作っている時点でこいつは却下だ。聖水ってのも手に入らなさそうだし。」


「おしっこじゃないでしょうね?」


「自分から出た時点で身体が滅びるだろ!」


「あ、そうか。」


「銀の銃弾...も無理ね。弾が手に入らない前に発射する銃がない。」


「水を渡れない、も無理だわ。私たち海に潜ってるし。」


「ニンニクに弱い。これは俺たちには効かないけど、ひょっとして食えないヴァンパイアには効くかもしれない。」


「なるほど、あいつら、人間の血以外のものを身体に入れると苦しむんだった。」


「拘束して無理矢理ニンニクのすりおろしを大量に口から流し込むのはどうだろう?」


「拘束するまでが大変そう。第3階層の力は第4階層の倍だから。」


「あとは、いろいろな物語に共通しているのが、胸に杭を打ち込む。」


「第4階層を引き上げて試してみようか?」ライツはこういう局面で実にヴァンパイアらしく冷酷だ。


「あと火に弱いってのもあった。」


「あ、それは使えそう。落とし穴に油を入れておいて、落ちたら上から火を放つ。」怖えよ、ライツ、マジで怖えよ。



 とりあえず、火攻め+杭打ちという方向で対処することになった。第3階層が現れるまでまだ少し時間があるだろうから、俺たちはDIYショップに足りないものを買いに出かけた。複雑な罠を構築するためのロープや針金、大量の石油、大量の大型ロケット花火である。それからDIYショップに併設されているペットショップで大型犬を買った。的の来訪を吠えて知らせてもらう。ライツは犬をワオと名付けた。こいつのネーミングセンスは良いのか悪いのかわからない。


 帰宅してから、第3階層がどこから侵入してくるかを検討した。森を抜けると開けた丘陵地帯になる。その緩やかな坂を下りると海岸に着く。海岸から回り込むとこの廃村がある。第4階層が来たのがこのルートだった。廃村にいるわれわれから見ると、海を背にして遮蔽物の何もない砂浜からこちらを見る形になる。あまり賢いアプローチではない。飛び道具を使えば一巻の終わりだ。奴がもしこの廃村の存在を知っていたら、まっすぐ海岸へは降りないで右手に回り、俺たちが小川を発見した、木立や茂みがある丘を通って廃村の裏手から現れるだろう。こちらには廃屋が点在しているので、しっかり準備をしないと対応が難しくなる。火の攻撃で進路を誘導し、確実に落とし穴に落とす。



 海岸からのアプローチへの対処は単純だ。小枝で低いバリケードを作り、そこに石油を塗り込んでおく。敵が現れたら着火。敵は当然そこを避けてバリケードの右か左から侵入しようとするだろう。そこに落とし穴を仕掛けておく。海岸からのアプローチを知らせる係はワオだ。


 これで上手くいくはずだと思いつつも、俺は一抹の不安を払えないでいた。一ノ矢でし損じても二の矢があれば...。


いよいよ次回は強さ4倍の敵との戦いですよ。飯を食えるスキルは戦闘系チートじゃないので,直接対決には向きません。勝てるんでしょうか?

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