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町の第2階層解放作戦、しかしダークビューティは強敵だった

町に残る館はあと2つ。次に出てくるのはどんな敵かな?

翌朝、討伐隊は準備を整えて出発した。俺たち5人は騎乗し、ユラとエラとヴィガーは空から。空を飛べるのって便利で良いな。まあヴィガーはそのうち完全に人間化したら飛べなくなるんだけどな。


挿絵(By みてみん)


「フレッセン、作戦の復唱は?」ライツ隊長の檄が飛んだ。


「作戦は前回と同じ。敵の第4階層はエラのヴァイタルアブソーブでランクダウンしてからユラのナイトメア・ララバイで眠らせて拘束。続く第3階層は、再びランクダウンしたあと慎重に各個撃破。第2階層は、説得が可能なら説得、抵抗するならこちらの戦力の限りを尽くして無力化。今回は同格のヴィガーがいるので、ランクダウンした上で押さえ込んで拘束できるだろう。」


 というわけで、俺たちは難なく第3階層まですべて拘束して奥へ向かった。いた。なんかいかついスーツを着た男がいた。


「なんや我ぇ、ここに何しに来た?」なんだか既視感のある関西弁だ。


「仲間はすべて拘束した。投降する気はないか?」俺はできるだけ冷静に尋ねた。


「わしは第2階層やぞ。魔王軍なら四天王に相当する偉いヴァンパイアや。そう簡単に降参なぞできるかい!簡単に勝てると思うなよ、我ぇ!」既視感のあるヴァンパイアはアルマーニのスーツの胸に手を入れ銃を取り出した。うわ、まんまギャングだわ、こいつ。


挿絵(By みてみん)


「おまえらみんな人間やろ?ギョクが当たったら死ぬで。ひっひっひ、そやけどわしは死なへん。高位ヴァンパイアやからな。どや、怖いか?」関西ヤクザは拳銃の安全装置を外した。


「ヴァイタルアブソ~ブ♡」エラの艶やかな叫びとともにピンクの光線が第2階層の精気を奪う。そしてその瞬間、ヴィガーが人間離れしたスピードでランクダウンした関西ヤクザを攻撃し、一瞬にして無効化した。


「いててて、何するねん、骨が折れてしもうたやないかい!」折れた指から拳銃を落として関西ヤクザは無力化された。


「海に浸かっていればそのうちくっつくさ。たまに人魚さんも貝を持ってきてくれるかもしれないよ。海に浸かったら、水の中で歌う練習をしておけ。」


 今回の作戦には防衛班の精鋭を町で待機させている。無力化して拘束したヴァンパイアを村へ護送するためだ。事態は切迫しているので、俺たちはこのまま次の目標に向かう。たしかエラの話では、精気を吸われてランクが下がった第2階層は、吸血でエネルギーを補充しない限り第3階層に落ちたままということだった。村に到着したらすぐに重りを付けて海に沈めれば安心だ。



 次の館でも簡単に第3階層まで無力化できた。もはや流れ作業だ。思えば俺たち5人の人間組は何の仕事もしていない。まあ良いか。荒事は得意な方々に任せて、俺は有能な指揮官....いてっ、無言で考えているつもりが声が出てダダ漏れになっていた。ライツにどつかれた。


 館の奥に進んだ。いた。今度は女だ。いわゆるダークビューティというやつだ。やべえ、こいつはエラ以上の魅了スキルを持っている。心臓がバクバクして目がにやけそう。よだれを垂らしそう。

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「と、投降するつもりは、あ、ありませんか?」何とか言い切った。しかし敬語だった。


「ふ、下等な人間ごときが何を小生意気な...」女は右手を前に出した。


「ヴァイタルアブソーブ!」

「アブソリュートバリア!」


挿絵(By みてみん)


 エラとユラが同時に叫んだ。女の手から発せられた青黒い光線は弾かれて女の背後の壁を壊した。


「くっ、こしゃくな。バリアか。しかし淫らで汚らわしいサキュバスよ、女の私に精気吸引は効かない。いずれ消し炭にしてくれようぞ!」女はエラに焦点を合わせた。まずい、エラは不死ではない。


「させるかぁああ!」ヴィガーが飛び出して女と組み合った。「今だ、皆さん、俺ごと攻撃してください。俺はまだ復活できます。痛いけど我慢します。俺ごと、女を...」


銃弾の嵐のあと、女とヴィガーは倒れた。エラは駆け寄ってボロボロになったヴィガーを抱き上げた。これでとりあえず終わった。俺たちは女を含むヴァンパイアたちを拘束して村へ戻ることにした。しかし、女は第2階層のままだ。第2階層は海に沈められるのか?ヴィガーは仮死状態なので尋ねることができない。やはり起き上がる前に杭を打ち込んだほうが良いだろうか?


「なあ、ライツ、あの女、どうしたら良いと思う?」


「そうねえ、いずれ助けるというなら、無力化したままにしておかないと。」


「海の中で知らないうちに復活されるのはやばいわね。」ジュースが言った。


「常に監視しておかないと危険。」ツァルトはいつも冷静だ。


「エラのスキルが効かないなら俺の愛の歌で...」相変わらずミルトはポンコツだ。


「毎日銀の斧で身体を痛めつけるってのは?」ジュースはライツ以上にやばい。


「そうね、かわいそうだけどそれが良いかも。」いや、ライツも十分にやばかった。


「手足や首を切断してはダメ。くっつけるのが大変。」ツァルトは冷静だ。いや、冷静ってことで良いのか、これは?


 村に戻る前に森の中で大量のスパイシーマンゴーを収穫した俺たちは、とりあえず下層ヴァンパイアたちにそれを食わせて人間化を開始した。第4階層25体、第3階層5体は、何の抵抗もなく素直に果実に齧りついた。やはり心の底までヴァンパイアになっていたわけではないようだ。ヴィガーはエラの介護を受けたら、どういう仕組みか、簡単に復活してしまった。何なんだ、2人の間に秘密の精気交換の関係があるのか?精気交換?なんだか隠微な響きだ。


 女は聖水と聖餅の結界に守られた臭い銀の牢屋に監禁された。申し訳ないが、これから毎日、うう、俺はやりたくない。たぶんミルトも同じだろう。そうだ、女たちに任せよう。あいつらは美人に無慈悲になれそうだ。


挿絵(By みてみん)


 これで町の館はすべて潰した。残る第2階層2体はおそらく始祖の近衛としてそばに仕えているのだろう。対決の日は近い。俺たちはそれまでやれるだけのことはやって、作戦もしっかり練っておこう。とりあえずは打ち上げだ。


挿絵(By みてみん)


ダークビューティ、やばいです。エラのスキルが効かないと、作戦が上手く行きません。女のは効かない、まあ確かにね。しかも強力な魅了スキルと魔法攻撃。今までの第2階層とは別物だと考えなければ。

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