久々の対ヴァンパイア戦だ、やってやるぜ!
いよいよ敵の館へ突入です。だんだん戦いにも慣れてきましたからね。とはいっても、主人公の戦闘能力は極めて低いのですが。なんなら一般人より弱いのですが。
俺たちは町長にもらった地図を頼りに第2階層の館へ向かった。ユラとエラが同道しているので、戦力的に問題ない。エラのヴァイタルアブソーブでレベルを下げ、ユラの黒魔法で一網打尽。ん、待てよ。黒魔法で一網打尽してしまうと消し炭になってしまうじゃないか。相手はついこないだまで人間だったトレジャーハンターの皆さんだ。人間に戻してあげなくては。
「なあ、ライツ。今度の敵はついこないだまでトレジャーハンターだった人たちだ。人間に戻してあげたいんだが。」
「そうね、今までのやり方だと、無力化して拘束、そのあと説得して黄色い果実を食べてもらう、という流れね。」
「館にいるのはボスの第2階層、これも最近になって始祖に噛まれた新人第2階層だ。そしてこいつに噛まれた第3階層が5人、さらにその下に第4階層が25人。いまのところ第4階層に噛まれて第5階層になった者はいない。」
「第4階層は銀の弾丸一発で無力化できるぜ。」花言葉の吟遊詩人が銀のガンマンにジョブチェンジしてマシンガンを構えた。
「それな、1発で無力化できるなら、マシンガンいらないだろ。100発も打ち込んだら塵になってしまうぞ。」俺はミルトの銃器バーサーカー気質を戒めた。「それはしまってピストルにしとけ。」
「ユラ、魔法の発動だが、第4階層には使うな。消し炭になってしまう。狙うのは第3階層以上だ。」
「わかったわ。」ユラは余裕の笑みを見せた。
「ねえ、私のヴァイタルアブソーブを第4階層に浴びせたら、あいつら第5階層になるんでしょ?武器を使わなくても白兵戦で無力化して拘束できるじゃん。」エラが空から提案した。
「だったら私の魔法で25人を一気に眠らせます。」ユラの作戦で白兵戦の手間も省ける。白兵戦は、たまにパンチやキックが当たる可能性があるので俺は嫌いだ。
「拘束用ロープはいっぱい持ってきたよ。」ツァルトは冷静なので準備万端整っている。
「先陣の第4階層を一気に無力化して拘束したら、次は第3階層5体だ。もちろんそのまま戦えばこちらにも被害が出るので、エラのヴァイタルアブソーブで第4階層までランクダウンしたあと、銀の武器を適度に用いて1体ずつ慎重に無力化し拘束する。ここは注意が必要で、第3階層には個体差がある。銀の武器への耐性が異なるかも知れない。そのときはユラの黒魔法に頼るしかないが、消し炭にならないよう、使う魔法の種類を考えてもらう。」
「了解しました。4大精霊のエレメント、そうですね、火以外なら復活可能な状態で倒せるでしょう。」ユラは少し考えて頷いた。
「で、第3階層を拘束したあと、第2階層との戦いだ。まずヴァイタルアブソーブで第3階層までランクを落として、一斉射撃、こいつにはマシンガンの使用も許す。第3階層は、個体によって耐性が異なる。あの関西の闇金だったウンピの元上司は火に耐性があった。なのでユラはすべてのエレメントの黒魔法を試してくれ。」
「私、これも持ってきた。」ツァルトが聖水ピストルと聖餅手榴弾を取り出した。
「おお、それは良いところに気づいたな。ウンピの上司は最終的には聖水と聖餅で無力化したからな。万が一のリーサルウェポンになるかもしれない。」
「でも、私はこれ使うのイヤ。臭いし汚い。フレッセン持ってて。」
そう来ましたか。そうですよね~。ライツもそんな反応だったし。
「オッケー、任せろ。よし、作戦は決まった。突入するぞ。」
真っ先にエラとユラが飛び出した。飛んでいるので文字通り飛び出した。
「ヴァイタルアブソーブ!」
第4階層が次々にランクダウンして弱体化した。もうふつうの人間と殴り合いしても負けるほどに。ああ、なんかちょっと過去のイヤな思い出が蘇った。
「ナイトメア・ララバイ!」ユラの催眠魔法が人間以下に弱体化したヴァンパイアたちを
ヴァンパイアの群れがバタバタと倒れた。俺たちは手際よくロープで拘束して近くの木につないだ。次はだ3階層だ。エラ、頼んだ!
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「ヴァイタルアブソーブ!うふ~ん、なんだか熱くなってきたわ♡」
「よし今だ、撃てっ!」
慎重を期すために1体ずつ無力化するということだったが、あちらはそんなことはお構いなしに5体全体で攻撃して来る。マシンガンで応戦すると復活不可能になりそうだ。ここはライツとジュースのハープーンガンの出番だ。大きな銀のモリが2本刺さった個体が倒れた。良し、復活できる程度の損傷で倒した。俺とミルトのピストルとツァルトのボウガンでもう1体が倒れた。これも滅してはいない。
「フェンリル・ブリザード!」ユラは氷魔法を唱えた。
なんだ、これは?高位の召喚魔法?なんかオオカミみたいなのが出て氷の嵐が敵をみんな氷漬けにしてしまった。ユラ、まだまだ見せてない魔法をいっぱい持っていそうだ。さすがシュロマンスを極めしウィッチ。幽霊だけど。
「よし、これで第3階層はすべて無力化した。拘束して木に縛り付けておこう。残るはボスの第2階層だけだ。全力で行くぞ!」なんか隊長みたいなノリで言ってしまった。
「敵は館の中ね。気をつけて進みましょ。」いや、ライツのほうが隊長っぽいんですけど。
「私たち2人で先行して敵を痛めつけておくよ。」エラがパタパタと飛び出そうとしたので俺は止めた。
「いちおうここのボスなので、全員で連携して戦いましょうね。あなた、魔物だけど不死ではないのだから、事故死なんてことになったら困っちゃうし。」
「あら、心配してくれるの?うれしいわね。あとでかわいがってあげるわね。」
「はい、そこ!軽口はそこまで!」ライツ隊長からのお叱りを受けた。
「計画通り、エラのヴァイタルアブソーブ、そしてユラの黒魔法。黒魔法は何のエレメントが弱点なのかわからないので、とりあえず全部試して。弱ったところで俺たちも攻撃に参加する。敵が元気なうちは、俺たちは青黒いオーラに巻き込まれないように距離を取って待機している。」
「では行くわよ♡」エラはさっきのヴァイタルアブソーブで大量の精気を吸い込んだので精力絶倫になってテカテカしている。
エラとユラを連れていけば向かうところ敵なし?




