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始祖の魔法対策、これをしないと危険だ、しかし...抱っこして欲しい

浮気じゃないもん、抱っことなでなでは浮気じゃないもん...

 第2階層を全滅させた。3体もいたのだが、やつらの家がどこだったのか突き止められないので、もう金銀財宝を回収しに行けない。惜しい気もするが、盗賊団ではないのであきらめよう。いずれどこぞのトレジャーハンターが見つけて大喜びすることだろう。これで残るは始祖だけになった。これを打ち破らなければすべては元の木阿弥になる。しかしうかつに動き出すわけにはいかない。何しろ奴はシュロマンス出身の魔道士でもある。多数で取り囲んでも魔法で全滅させられる可能性もある。魔法を封じなければ、ユラのラメントダガーも使えない。魔法を封じる方法はいくつかあるが、ユラの魔法――ドラクエのマホトーンのような――の確実性は未知数だ。たいていこの手の魔法はボスには効かない。もっと確実な手段を模索しなくては。



 エラは相変わらずだ。戦闘中ではないので翼・角・尻尾は引っ込めているが、明らかにサキュバス然として村の中をフラフラしている。


「なあ、エラ、黄色い果物を食べて人間になるつもりはないか?」


「飛べなくなるからイヤよ。男たちも下から見上げて大喜びでしょ?」


「栄養はどうするんだ?」


「村の全男性から広く薄く頂くから大丈夫。全然たいしたダメージにはならないわ。」


「ダメージはあるんですね?」


「ちょっとエッチな気分になったときの精気の消費と同じくらいね。」


「ええと、みんなはそれで了承してるのか?」


「もちろん、お返しに眼福をあげているからWINWINよ。」


 眼福の返礼でちょっとエッチな気分にさせられた男がまた精気を提供する常勝パターンのビジネスだ。さすがベテランサキュバスだ。


「もうお店はやらないの?」


「ええ、温泉広場でダンスするだけで十分に精気は集まるからね。足りないときは町にも繰り出すし。」


 世界に眼福を配って精気を捧げさせる、これはもうスターアイドルだ。奪っているのではない、捧げられているのだから、誰も文句の付けようがない。なんなら俺も捧げたいくらいだ。エラ、あんたはたいしたタマだよ。だけどな、ライツには秘密だけど、俺はエラよりユラ推しなんだよ。2人だけの秘密、弟くん養分とお姉ちゃん養分の交換、この至福の時間、これがあるから生きていけると言っても過言ではない、それが最近の俺たちの関係だ。浮気?違うよ。相手はガイストなんだから、あくまでも精神ガイスト的な関係だ。


挿絵(By みてみん)


 たまらん、この全幅の肯定感。もっと他のお姉ちゃんからも欲しくなってきた。頼めばしてくれるんじゃないか。ライツに頼んでみよう。なんてったって本命彼女だ。付き合いも長い。


「なあ、ライツ...その、頼んで良いか?」


「なあに?言ってみな。」


「笑うなよ。」


「笑うようなことを言えば笑うけど...」


「抱っこしてなでなで。」


「は?ふざけてんの?」


「いや、こんなこと...ライツにしか頼めなくて...」よし、「ライツにしか」が刺さった、いけるぞ、これは!


「仕方ないわね、1回だけだからね。」


挿絵(By みてみん)


 たまらん、こりゃたまらん!なんか後先考えないで暴走しそうだ。次はジュースだな。あいつはチョロいかもしれん。


「なあ,ジュース、お願いがあるんだけど。」


「なあに?私にできることなら。」


「うん、抱っこしてなでなでして欲しい。ライツはしてくれた。」ふふふ、「ライツはしてくれた」が刺さっただろう。なにせ海女姉妹だからな。


「仕方ないわね。こっちおいで。」


挿絵(By みてみん)


 次はツァルトか?いや、あいつは危険だ。貞淑の女神アルテミスだ。弓矢で射られる。そもそもバレたらミルトに撃たれるかもしれん。ミナモさんもオリヴィアさんも怖い家族が背後に付いてるし。もう打ち止めか?いや、ここは初心に返ってエラに頼もう。あいつは頼みやすい。精気をあげればドライなギブアンドテイクになる。誰も文句は言うまい。


「なあ、エラ、思い出したらもうたまんないんだよ。抱っこしてくれ!なでなでしてくれ!」


「えー、仕方がないなあ。自動的に精気を吸っちゃう仕組みだけど良いよね?」


「おう、かまわん。好きなだけチュウチュウしてくれ!」


挿絵(By みてみん)


 ガチャ!ドアが開いてライツとジュースが入ってきた。エラは翼を出してあっという間に飛び去っていった。あ、何も悪いことはしていませんよ。ただ全幅の肯定感が欲しかっただけです。まさか、まさか、制裁なんてことにならないでしょうね?.... なりました。痛い。パンチとキックが重い。



 そう、魔法対策だよ。エルフ村のクイーンは何もわからないと言っていた。他にこういうことに詳しそうな古老はどこかにいないものか?新しい場所を捜すしかない。そうだ、人魚さんに訊いてみよう。何かわかるかも知れない。


「ライツ、ジュース、人魚さんに会いに行こう。」


「はい?人魚さんにも抱っこして欲しいの?」


「いや、、それはもう忘れてくれ。真面目な話なんだ。」


「そう都合良く記憶を操作できないんですけど。」


「わかった。ともかく聞いてくれ。俺たちは魔法対策をしなければならない。始祖はシュロマンス出身の魔道士でもある。魔法は広範囲の敵を一瞬にして破壊できる。発動を止める手立てがないと危険すぎる。そこで、エルフと同じように長命種である人魚さんなら何か手立てを知っているかも知れない。ここは藁にもすがる思いで相談しに行こう。ライツはほぼ双子と言っても良いくらいそっくりの仲良しさんだ。きっと相談に乗ってくれるだろう。」


人魚さんに会いに行くことになりました。海の中、そしてひょっとしたら海の向こうまで冒険が続くのでしょうか?

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