入れれば出る、これ世の理なり、って初めて出したけど危なかった
そう、入れば出る、これは必然です。フレッセン君は多くのことを学びました。
少し眠ってしまったらしい。空はもう明るくなってきた。目が覚めると同時に股間に違和感を感じた。なんだこれは?何かが出そうだ。俺は周囲を見渡し、股間を出せる場所を捜した。とりあえずあの茂みか。周囲に誰もいないことを確認し、おれはズボンとパンツをずり下ろした。下腹から逸物を通って大量の水が噴き出した。「お、おう!」開放感に俺はうなった。なるほど、飲み食いすると余ったカスを出さなければならないのか。これは少し不便だな。待てよ、俺は今「飲み食い」と言ったな。「食い」のほうはどうなる。俺は急に不安になった。悲惨なことになる前に誰かに訊かなければ。
俺はおにぎりを買った紺鼻荷へ向かった。俺の腹は満腹と似ているが少し違う状態になりつつあった。
ピンポンパンポンピンポンパンポンパンポンピんポン♩
うう、この変なメロディーが腹の中のものをさらに押し下げる。俺は脂汗を掻いて腹を押さえながら店員に言った。「は、腹が...!」「トイレですか?その雑誌の棚の向こうです。」女が指さす先のドアを俺は開けた。穴の空いた椅子のようなものがある。ここに座っていれば腹は治まるのか?俺はズボンとパンツをずり下げ、本能のままに便座に腰を下ろした。その瞬間......尻の穴から大量のカレーのようなものが...、ああ、もったいない、カレーが...、いや、カレーじゃねえ!カレーとは全く違うぞ、この匂いは!臭え!!自分の身体の中から出たものなのに、たまらない嫌悪感を感じる。む、壁に注意書きが貼ってある。「使用後はレバーを押して流してください。」これか、このレバーか。大量の水が臭いカレーを流し去ってくれた。「ふう...」俺はため息をついた。安堵のため息だ。これからはこんなに逼迫した状況になる前にトイレに行こう。俺は丁重にお礼を言ってから店を出た。ともかく誰か適当な餌を見つけて第4階層のところは行かなければ。
しばらく歩くと人通りの少ない路地裏に女が倒れていた。血を流している。どうやら強盗にでも襲われたのあろう。俺は女の脈を診た。まだ死んではいない。渡りに船とはこのことだ。こいつを餌として連れて行けば、第4階層も許してくれるだろう。俺は女を抱きかかえると第4階層の家へ向かった。流れ出る血が腕についたので舐めた。久しぶりの血だ。大丈夫、これは吸血ではない。偶然手に付いた血を舐めただけだ。美味い。いつもの干し肉の残り汁のような血と違って、流れる鮮血は極上だ。俺は腕をペロペロ舐めた。ヴァンパイアとしての力が湧いてきた。これなら第4階層に殴られても耐えられそうだ。
第4階層の家に到着するとライツがいた。いつもは覚えめでたく取り入って、2人仲良くチュウチュウしているのに、今日はなんだか様子が変だ。
「おまえね、いくら一緒に吸っても良いと言ったって、遠慮というものがあるだろう?なんだ、当然だという顔をして美味そうにごくごく飲みやがって!」
「ごめんなさい、ついお腹が空いていたので...」
「いつも好き勝手飲むから色んなところに栄養が付いて...」第4階層は好色そうな目をしてライツの腰を撫でた。ライツは抗えない。半分笑って半分困った顔をして耐えている。
「連れてきたぜ!」俺は割って入るように声をかけた。
「血を流して虫の息だから早く吸わねえと血がなくなっちゃうぞ。」
俺は餌を第4階層に渡して、空いた手でライツの手を引っ張って第4階層から引き剥がした。第4階層はそんな俺を品定めするように上から下まで見積もって、「おまえ、この女を狩ったのか?」と尋ねた。「ああ、俺もやるときはやるんだ。」俺は虚勢を張った。何しろ途中で血を舐めてきたので気力が充満している。
「おまえ、まさか血を吸ったりしていないだろうな?」第4階層の目が紅く輝く。
「するわけないだろ。血が出ている箇所を見ろよ、首筋じゃない。」
「わかった、待ってろ。」第4階層はそう言うと冷蔵保存容器を持ってきて目盛りを見ながらきっちり3リットルの血液を取り出すと、おもむろに女の首に噛みついて吸い出した。数分で吸い終わったらしく、「く、もう出ない。」と言って死体を俺に押しつけた。俺の分はなしか。この冷酷上司が。きのうのカレーがなかったら空腹で倒れていたぞ。
「死体は片付けておけ。俺は資金調達に行く。」第4階層は上下つなぎの青い制服に反射ベストを着用して出かけた。
「帰ろうぜ、ライツ。」
「助けてくれてありがとう...」ライツはもじもじしている。
「べ、別に助けたわけじぇねーし。それよりこの死体を運ぶのを手伝ってくれ。目立つので箱に入れて海に流そう。」
「この作業は本当に鬱になるわ。」
「最下層ということを実感させられるな。」
死体を海に流したあとで、俺たちは町を歩いた。「こないだの話だけどよ...」俺はライツに切り出した。
「カネを稼ぐには人間が欲しいものを売るのが良いって言ってたじゃん。で、俺は町を歩く人間たちに訊いて回ったんだ。何が欲しいかって。そしたら連中、なんて答えたと思う?カネが欲しいだとよ。カネを売って金をもらう、そんな馬鹿な話があるかよ。」
「それなら市場に行って人間が何を売っているのかを確認してから、同じものを集めてきて売れば良いかも。」
「なるほど!さっそく行ってみようぜ。」俺はライツの手を引いて市場へ向かった。
市場にはいろいろなものが売られていた。野菜、肉、魚...今の俺はそれを見て「美味そう」という感情が湧く。しかし、食べ物の原料をどうやって調達するのか、俺たちにはまるでわからなかった。
「ねえ、あのお店!」ライツが俺の手を引っ張って装飾品の店に連れてきた。ガラスや貝殻に革紐が通されて首にかける装飾品のようだ。ライツはうっとりと見ている。ダメだ、こいつは金を稼ぐつもりはまるでない。
「なあ、ライツ、俺たちはカネがないから金を稼ぐ方法を探しにここに来てるんだからな。」
声をかけたが、ライツの姿はもうそこにはなかった。3メートルほど離れた別の屋台には色とりどりの果物が並べられていた。俺は果物をまだ食ったことがないが、明らかにそれは美味そうだった。ライツは一体何に惹かれたのだろう?
ライツは生産には向かないタイプなんですかね。食えないのになぜ果物に興味を?アイドルの好きなものはフルーツ♡みたいなこと?次回をお楽しみに。それにしても「いかにもラノベ」みたいなものなら軽快にぱっぱと書けると思っていけれど、そうでもないんですね。