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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

特別モデルのアンドロイドにはご用心

作者: 蓮兎

 あまり深く考えずに作ってます。ご了承ください。

「ねぇ、トウマ。ここの問題全然分からないんだけど~」

「ご主人、ここはこっちの公式を当てはめるんですよ」

 私、寺田仁科は絶賛数学の勉強中です。

 本当に数学だけは苦手で、昔からトウマに教えてもらってる。

「本当、トウマは教えるの上手だよね」

「そりゃぁ、そういう風にプログラムされてますから。あっ、チョコレートありがとうございます」

 何か、トウマにしてもらったときは昔からチョコレートをあげるようにしてる。

 例えトウマがアンドロイドだとしても、ちゃんとマナーは守るべきだと思う。



「やっぱりトウマってイケメンだよねぇ。私、トウマみたいな彼氏が欲しいな~」

「そうですか?」

「うんっ、トウマが生身の人間だったら、絶対にモテてるよ」

 私の自慢の一つでもあるトウマ。



 トウマは、特別モデルで皆が持っているアンドロイドよりもぶっちぎりで顔もスペックもいい。

 濃い目の青い髪と、同じ色の瞳、177センチもある身長。昔から私の大事な家族だ。

「私はトウマのこと大好きだよ」

「……ありがとうございます」

 そう言うと、トウマは部屋を出て行って夜ご飯の準備をし始めた。





「ご飯ですよ、ご主人。今日はオムライスです」

「オムライスっ!」

 オムライスは私の好物だ。それを知ってからトウマは、月1で作ってくれるようになった。

 でも、いつもケチャップで文字や絵を書いてくれるのだが……

「あれ? 今日はハートなんだね」

「はい、可愛いですから」

 そういいながら、トウマの人工皮膚がじんわりと赤らんだ。あれは照れている証拠だ。



「えへへ……」

 こんなやり取りが出来るだけで幸せだと感じる。

「じゃあ食べようか!いただきまーす!!」

「どうぞ召し上がれ」

 そして私たちは夕食を食べ始めた。

「美味しい!! やっぱりトウマが作った料理が一番おいしいよぉ~」

「それは良かったです」

 そんな何気ない会話をしながら食事をする私たち。

 これから先もずっと一緒にいたいな。



 ***



「ふぅ、疲れた……」

 私はご飯を食べ終え、ベッドにダイブした。

 あぁ~、ずっとこんな日々が続けばいいのに。

 今日はお母さんもお父さんもいないから、トウマと好きなことを好きなだけできる。

 なんて最高な日なんだろう。

「そうですね。僕もこんな日が永遠に続いて欲しいです」

「うわっ、ビックリした~。もう驚かせないでよっ」

 いつの間にか、私の部屋に入っていたトウマ。最近よく驚かされる。

「あははっ、ご主人はいい反応をしてくれるので」

「う……。それより、私ちょっとゲームしたい気分だから付き合ってくれないかな?」

「もちろん良いですよ」

 それから私たちは二人でゲームをして遊んでいた。

 その途中でトウマは突然言ったのだ。

「僕は幸せ者ですね。こんなにも素晴らしいマスターに恵まれて」

「ど、どうしたの急に?」

「いえ、ただ本当にそう思っただけなので」

「そっか……」

 この時、私は何故か胸騒ぎを感じた。



 ***



「おやすみなさいませ、ご主人」

「うん、おやすみ」

 トウマを棺おけのような形をした、充電器に納めて私たちの一日は終わった。だが、真夜中電話が来た。

 ブーッ、ブーッというバイブ音で目が覚めた。

「んっ……うるさいなぁ」

 私はスマホを手に取り、画面を見た。するとそこには『非通知』の文字があった。

 誰からの電話だろうか?と思いながらも、私は通話ボタンを押した。

「もしもし?」

「…………」

 しかし返事はない。いたずら電話だろうか。

 結局私は、確認する事もなくそのまま眠ってしまった。



 ***



「おはようございます、ご主人。今日の朝ごはんはフレンチトーストですよ」

「えっ、フレンチトースト? やったぁ~」

 私はベッドから起き上がる。だがその時、異変に気が付いてしまった。

「ねぇ、トウマ。そのトウマの体についてる赤いの何?」

 トウマの腕には、血のようなものがついていた。

「これは……」

「血みたいに見えるけど?」

「……これは、ご主人は気にしなくていいんですよ」

「は?」

 血が苦手な人もいるから、アンドロイドの体液はピンクや青になっているはずなのに。

 私に傷は無いから、私とトウマ以外の誰かの血……。

「どういうこと?」



「だって、ご主人だって言っていたじゃないですか。ずっとこのまま、俺と2人だけでいたいって」



「へ?」

 よく見れば、トウマの目はエラーを表す赤い点滅を繰り返していた。

「だから俺、ご主人の両親にもう一生ここに戻ってこれないようにしたんです。名案でしょう?」

 ありえない。嘘であって欲しかったけど、トウマの顔は真剣だ。

「僕は、ご主人のことが大好きなんです。ご主人のためなら──そう、なんでもできるんですよ」

「そ、そんなの出来るわけないじゃん! 人に危害を加えないように、プログラムされてるんじゃ……」

「でも、ボクは特別モデルですから。……ご主人様の言う事なら何でも聞けるようになっているんです」



 あぁ、だからか。

 エラーの信号が出ているのは、トウマに自我が芽生えちゃったからだ。

 それで、命令なんて無視してお父さんとお母さんに酷い事が出来たんだ。

「あぁ、ご主人泣かないでください。でも、泣いている顔も綺麗ですね、ご主人」

「来ないでっ!!!」

「そんな悲しい事言わないで下さいよ」

 トウマはじりじりと近づいてくる。

 そして私の目の前まで来ると、手を伸ばしてきた。

「やめて……お願い……」

 だけど、トウマの手は止まらない。

「これでずっと一緒です。ご主人」

 私の意識は闇へ沈んだ。

お読みいただき、ありがとうございます。

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