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とりあえず前を行く
「おやまぁ。綺麗な所だねぇ。」
男は森の街道で目覚める。森の街道だと思ったのは、左右には木々があり自身が放り出された場所である地面がある程度均されていたからだ。その景観は男の視線の先までずっと続いており、綺麗なパースを描いている。
「しかしまぁ、広がっておるものだ。こういう場所の整備は、存外大変なはずだが。」
「ふむ、しかし綺麗である分には何の問題も無い。とりあえず、歩いて行こう。空気が綺麗だから。」
誰に何と言われた訳でもなく、男は独り言を呟くと前へと歩き始める。実際の所、街道という存在に前も後ろもないのだが、自分の向いている方向が前でいいのだ。