合図
放課後、図書室で陽菜さんが1番奥の棚の赤い本をとりに行った時が合図。
私は図書室を出て、トイレの右側、1番手前の個室に入る。少しすると、私が入っている個室にノックが聞こえる。
ドアを開けると陽菜さんがいる。
同じ個室に入り、目を閉じ、キスをする。陽菜さんの綺麗な顔、髪、瞳、唇。この時だけは全て私だけのものになる。そして私も陽菜さんだけのものになるのだ。
陽菜さんの手が、私に触れる。
私はゆっくり目を開くと、陽菜さんの赤い顔が目に飛び込んできた。いつも目を閉じているから気づかなかったけど、陽菜さんも照れているんだとその時知った。
唇が離れ、キスが終わると陽菜さんは私を見て言った。
「なんでそんなに笑ってるの?」
私はまた新しく陽菜さんの可愛いところを見つけられて嬉しくて、笑っていたようだ。
「ふふ、秘密ですよ」
陽菜さんとずっと一緒にいたい。そう思った。