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if 〜もしも世界に鏡がないとしたら〜

作者: 朝寝雲

 どうやら私は美人らしい・・・。

 らしい、というのは自分で自分の顔を見る方法などないからだ。だから、美しい人を見て、その人に男性が集まってくる様子を子供の頃からみていると、容姿に優れている人ってモテるんだ、と思っていた。

 その現象が10代なかば頃から私にもおこるようになった。

 最初は何事かと思った。やたらと男性にちやほやされるようになった。女性からもよく好かれた。

 子供の頃から観察していると、真の美人は同性からも好かれることを私は知っていた。

 私、そうなったのかな? 唐突なことに、私はしばし困惑していたが、次第に自信がついてきた。だけど、驕ってはいけないぞとも思った。

 美人は調子に乗りやすい。そうなった美人は、あっという間に悪い評判を立てられて、悲惨な人生を送る。そのことを私は見てきたから。

 あくまで控えめに。謙虚さを忘れてはいけない。


 17の時私は一人の男性と恋をした。楽しい日々だったが、ある日彼は去っていった。すごい美人が現れて、彼はその女性に夢中になった。別れを告げられて、私は泣きに泣いた。そして、なぜか私はモテなくなった。人々は私から去っていった。

 私の顔になにが起きたのだろう? 泣きすぎたから、変な顔になってしまったのかな? けっこうやけ食いしちゃったし。太った実感はないけれど、お肉がついてしまったとか? 

 わたしは思い切って残ってくれた親友に尋ねた。

 「私、ブスになっちゃった?」

 親友は困った顔で答えた。

 「言いにくいけど、あなた最初から、そんなにかわいくないのよ」

 「え? でも私すごいモテてたの」

 「あのね。あなたってなんだか不思議な雰囲気あったのよ。普通の人と違った雰囲気あったの。だけどね、あなたの恋愛見てて、みんな思ったの。なーんだ普通の女の子じゃんて。だから今まであなたを慕ってた人離れてっちゃったの」

 私は唖然としてしまった。不思議な雰囲気? 私は普通の性格だったけどなあ。

 「でもね。私は今のあなたも好きよ。恋愛して、振られて、大泣きする、普通の女の子。それでいいじゃない」

 そう彼女は言ってくれた。そして、そうか! 私もそれでいいかなと、そう思った・・・。

 ちょっぴりさみしさはあったけど・・・。

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