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47 ダンジョンへ行く錬金術師②

「細胞への活力が足りない」


 蘇生薬、検証なう。

 トレントディアの新芽、月齢樹の樹液、世界樹の朝露、エリクサーなどを素材に作るのがオレのオリジナルの蘇生薬だ。

 生き物の蘇生は、太陽神教、月神教、それぞれの教会で禁忌とされる代物だ。

 どのような生物も、死んだら魂が冥界に住まうと言われる闇の女神ディープの元へと旅立ち、そこでディープに仕えるか、魂が浄化され消えゆくか。

 そう信じられているこの世界だ。実際にそうらしいし。

 死者の蘇生はその神々の仕事を否定する行為なのだ。教会が禁止するのも当然である。

 そして生き物をただ蘇生しても魂は宿らず、空っぽの生物が出来上がるのみだ。

 所謂アンデッドと言われるモノである。

 誰かが生き物を蘇生しようとしないとアンデッドは生まれない。普通の人間は生き物の蘇生など出来ないので、それが可能なのは冥界より這い出たデュラハンやリッチなどの冥界出身の魔物だけである。

 アンデッドがいるということは、アンデッドを発生させた何かがいるのだ。アンデッドは自然発生しない。故に、禁忌だ。

 魂をどうするか、それに関しては以前女神様に聞いたので分かってはいる。

 しかし肉体が正常に動かなければ、魂を戻してもその体に不調が出るし、場合によっては再び死んでしまう。

 体が死んでいるから経口薬では役に立たない。

 オレの考えている素材のリストを眺めていて、制作したものを想像する。そして想像だけでは足りないので、実際に作ってみて、死んだネズミなどで実験を繰り返していた。

 薬の流れや、魔力の作用。そして生命力の活動を確認する為に、専用の眼鏡をかけて死体で試していると、気になる項目が出て来る。


「体へ負担のかからない、それでいて細胞の覚醒に繋がる素材か」


 時間を空けて確認もするので、薬に漬けたネズミを檻の中にしまい倉庫に確認に行く。

 先ほど口にした条件にある素材を吟味する。


「火炎樹の根、黒湯、うーん。名称不明の悪魔の素材が一番いいかもしれないが、人間の体に入れるとどんな影響がでるかわからないな」


 行動を縛り付けれるホムンクルスに使う訳ではないのだ。


「マグマ鳥の卵か。悪くないな」


 素手では触れない程の熱を持つ、炎を身にまとい溶岩を主食とする魔物だ。

 羽を広げると3mの大きさにもなる鳥の卵だ。

 卵自体はスーパーでよく見る鶏の卵より一回り大きいくらい。


「この辺で獲れる場所あるかなぁ?」


 これはオレが採取したものではなく、ジジイの屋敷から借りたものだ。

 うん、借りたものだ。

 1個しかない。人間の体の半分以上を薬に漬ける事を考えると全然足りない気がする。


「ギルドに依頼をかけるか」


 この辺に活火山なんかあるかなぁ。無い気がするなぁ。






「マグマ鳥の卵? マグマ鳥……マグマ鳥……」

「聞いたことないかぁ」


 魔物の生息域は様々だ。

 物品だけ持っているオレは生息域の知識がないので、冒険者ギルドに行き通常営業になっていたおっさんに話を聞きに行く。


「溶岩を餌にする鳥ならダンジョンにいるが、ダンジョンの魔物は卵で孵るわけじゃないからな」

「そうなんだよな」


 ダンジョンの中では魔物は自然発生する。繁殖はしていない。つまり卵や幼体といった生まれたての素材は手に入らない事がほとんどだ。


「一応依頼をかけてみるか? 誰か持っているかもしれん」

「いくらくらいだろ」

「こっちとしても聞いたことのない素材だ。他所のギルドのも調べてやろう。その成否もな。ただ溶岩地帯の魔物の素材は高いぞ」

「そりゃしょうがないよ」


 自然環境の厳しい場所でしか獲れない素材はどうしても高くなる。

 そういった場所に足を運ぶ冒険者の数が少ないからだ。

 火山などの溶岩が湧き出る地点ならば、炎の攻撃をしかけてくる魔物が多いからそれようの耐性の高い装備が必要だし、足を滑らせただけで絶命の恐れもあるから行きたがる冒険者は少ない。


「あったな、西のフェルベール地方で獲れるらしい。平均100万ダランだ」

「高いなぁ。まあ専用の手袋やケースが必要だからそんなもんか」

「美食家の貴族達に人気のある高級食材らしいな。ここで出すなら120万くらい必要になるぞ?」

「そうかぁ……まあ一応出しとくか」

「そうか? じゃあこれに記入と頭金を頼む」

「あいあい、それとこの辺に火山とか溶岩湧いてるところない? もしかしたらいるかも知れないし」

「一応あるが、一人でいくなよ?」

「分かってるよ。いるかいないか分からない魔物を探すのはリスキーだからな」

「そもそも溶岩地帯だ。そっちを心配してくれ」

「ちなみに場所は?」

「海のほうだ。離れ島になるな」

「火山島か」

「そうだ」

「足も必要か」


 ボートはあるけど。手漕ぎのボートじゃなくて小型クルーザーみたいなやつが。

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おいてけぼりの錬金術師 表紙 強制的にスローライフ1巻表紙
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