32 素材を求める錬金術師⑩
半端な量になったので短め。
最後のドッペルゲンガーの躯も回収したが念のためジジイのコンパスを確認。
コンパスの針は反応が無く、もう存在しない事を示していた。
「うむ。良い戦果じゃ」
「だな。じゃあオレはこれを貰うな」
キツネ耳冒険者のドッペルゲンガーを選択して残りの2つをジジイに渡した。
「棺桶はサービスしとくよ」
「はん。魔法式が特別なだけで木材はただのトレントじゃろこれ」
「そうだよ」
魔法の袋が作れるジジイなら同じものが作れるだろう。
「ふひひひひ、これでホムンクルスが作れるのう! たまらん! どんな娘にしてやろうか……」
「ああ、ジジイ。ドッペルゲンガーを素体に使うから、元となったドッペルゲンガーの性別になるから注意しろよ」
「は?」
ジジイに渡したドッペルゲンガーの躯はどちらも男性だ。
「な、なぬうううう!?」
「まあドッペルゲンガーの躯の性転換手術でもしてみて、成功したら教えてくれ。はっはっはっはっ」
「貴様ぁ! 謀りおったなぁ! そいつをよこせぇ!」
「やーだよー」
「むきいいいいいい!」
オレとしては男性のドッペルゲンガーでも良かったのだが、女性型のドッペルゲンガーの方がリアナとセーナの不足している分をカバーできるホムンクルスが作れる。
それにエロジジイの悔しがる様を見れるのはなんとも嬉しい事だ。
「ズルい! ズルいぞう!」
「約束通りだろ? なあフィーナ」
「その通りです。ライトロード様に一本取られましたね、ゲオルグ様」
「くぬふううううううう」
心なしかフィーナも嬉しそうだ。
普段からジジイの我が儘に振り回されているフィーナからすれば、こういう機会に遭う事は滅多にない。
「さて、と。今日は宿で休んで、明日には帰るか」
「了解。今日はセーナのご飯が食べたい」
「あら、私はライトロード様の手料理が頂きたいわ。領主館で厨房をお貸ししましょう」
「ライトのご飯?」
フィーナが余計な事を! そして反応しないでくれイド。腕を掴むな! 顔近づけるな!
「ご主人様はセーナに作り方を教えてくれた師匠です。セーナより美味しいです」
「セーナより、だと?」
マスタービルダーの物を作る際の補正は当然食事にも適用される。
ついでにオレがご飯を作るときは、セーナが遠慮して使いたがらない高級魔物食材も使うのだ。
毎日作るのは面倒なので嫌だが、たまに……本当にたまに料理はする。
まあ今日は頑張ってくれたみんなにサービスしときますかね。
いくらなんでも短すぎぃぃぃい!




