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13 ゴブリンを倒す錬金術師⑤

「首尾は上々、と言ったところか」

「だな。森の表層部分範囲に絞ったからか、ゴブリン以外の魔物や動物は出てこなかったよ。更に広範囲にするとどうなるか分からないけどね」


 急ごしらえのテント、そこは戦場でいうのであれば指令室なのだろう。

 赤い髪の兄妹が対話をしている。

 絵になるが、片方は変態なんだぜ?

 ギルフォード様がソフィア様に先ほどの戦果の報告をしているようだ。

 他にもそれぞれの代表者が顔を連ねている。


「ライトロード、よくやった。お前の案を正式に採用しよう」

「ありがとうございます」


 周りの目もあるからしっかりと返事をする。

 後ろの二人(ホムンクルス)達が無駄に胸を張っている気がするが気にしない。


「効果範囲をもっと広げたうえで地点を絞った。場所はここだ」


 森から伸びている川の側面部分を指さした。


「我々の姿を隠せる場所はないから相当距離を置くしかないのが難点だがな。念のため対岸にも弓兵を配置し、川を渡って逃げようとするゴブリン共も対応できる布陣だ。連中が森に逃げ込まない様に側面から囲うように騎馬部隊を先行させる。正面は冒険者が中心に対応、サイドは兵士と騎士の混合、森側の蓋は騎士団の騎馬隊が担う形だ」


 この場にいるのは領主兄妹と騎士団の中心人物、それと冒険者チームのリーダー格に元マスターのおっさんだ。

 現役のギルマスは既に街に戻ったらしい。会いたかったな。


「蓋をした後もゴブリンやそれ以外の魔物が出て来る可能性があるのではないでしょうか」


 豪華な鎧を着た騎士の一人がソフィア様に質問を投げかける。


「ああ、そこが崩れるとゴブリンが逃げ出す。腕利きの冒険者チームとSランクの冒険者、それとボーガン殿を配置する予定だ」

「ボーガン殿を? 冒険者達の指揮は誰が?」

「ギルフォードが指揮を執る。問題ないな?」

「もちろんだ。私は冒険者達にも顔が効くからね」


 イケメンの絵になるウィンク。

 あれ? 何人か尻を抑えてない?


「……はぁ、まあ頼むぞ。私もそこに配置し、ある程度魔物が固まったら範囲魔法を放ってまとめて焼き尽くす。しかし取りこぼしが起きるだろうからな、お前達は各隊連携して取りこぼしの殲滅に当るんだ。騎兵隊の蓋が機能するか否かで、この地域に留まる時間が変わってくるからな」

「「「 了解!! 」」」


 騎士達の返事にソフィア様が頷く。


「冒険者チームは前面に逃げてくるゴブリン達を相手にしてもらう。私が魔法を撃つ前に突撃してくる奴らも出てくるだろうし、何より後方を狙って私は魔法を撃つつもりだから数が多いと思う。ただ、相手をするのはゴブリン以外ほとんどいないから他と比べれば楽な仕事だろう」

「分かった。チームを組ませておく」


 おっさんが頷いて作戦決行前までは自分が指揮を執ると頷いた。


「兵士達は横に逃がさない為の盾だ。横に逃げようとするゴブリン達を川まで押し返してくれ。防御に長けたお前達の最も得意な仕事だ」

「「「 了解 」」」


 恐らく兵士達のリーダー格の人間であろう人たちが返事をしている。


「作戦の決行は明日の早朝から始める。全員に役割を徹底させるようにしっかりと準備と休息を与えてくれ」

「「「 はっ!! 」」」

「応っ!」


 そうして話を切り上げると、騎士団や兵士達のリーダー、それとおっさん達がテントから出て行った。

 オレ、どうしようかな。


「ライトロード、お前は私と同じく冒険者チームにいてくれ」

「わかりました」


 特に反対意見もないのですんなりと頷く。


「あらかじめ香炉を設置しておいて貰いたい位置に旗を挿しておいた。遠目からでも見てわかるはずだ」

「はい」

「それと、中々の威力の攻撃魔法が撃てるようだな」

「あー、魔道具を使ってですよ? オレ自身が使える訳じゃないですから本職の人からすれば劣化版のモノマネです」


 海東の魔法はもっとすごい。


「現状遠距離攻撃が出来る人間が一人でも多い方がいい。私も取りこぼしの殲滅に加わるつもりではあるが、混戦になると厳しい」

「魔法使いはだいたいそうですよね。味方を巻き込まない攻撃方法を選択するのはセンスが問われると聞きます。オレはそのセンスはありませんからあまり当てにしないでください」


 あくまでも魔法を使える道具を持っているだけだ。もちろんそれぞれの道具の特性を把握できているし、状況に応じて使い分ける事も出来る。

 しかし結局のところ専門外なのである。

 だからオレは魔王城に乗り込む直前にパーティについて行く事を辞退した。

 オレに護衛のホムンクルスを付けるなら、セーナ一人を自由にさせて戦闘に参加させた方が絶対に強いからだ。

 しかもオレの護衛のセーナが倒れたら、別の誰かがオレの護衛に付かなければならない。

 足手まといになるなど嫌だ。

 セーナもダメージを受けた時、回復魔法では回復出来ないからオレと一緒に留守番になるのだが。


「さて、お前達も一仕事した後だ。ゆっくり休むといい」

「ええ、そうさせて貰いますね」

「……外だからといって、ハメを外すなよ?」

「この二人とはそんな関係じゃないですよ」

「そうか? 後ろの二人の表情を見てみろ」


 そんな指摘はいらない。


「オレの精神衛生上、そういうのは見ない様にしてるんです」


 とりあえず、馬車に戻って休むことにしようか。工房には劣るが、あの馬車も鉄壁だからな。

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おいてけぼりの錬金術師 表紙 強制的にスローライフ1巻表紙
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