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すげえ良い奴ら

料理が届くまでもう少し時間がかかりそうで、注文してから他愛のない話をしていたが、司が話を切り替える。


「あのさ…ちょっと話変わるけど」

「お、なになに?」


河合が食いつく。藤川も吉羽も話の内容が気になるようで、言葉は発しないが司の顔を見つめている。


「昨日、ほんとごめんな。迷惑かけた」


ペコッと効果音が付きそうな感じで、司が軽く頭を下げる。


「「「…エッ」」」

「…え?」


三人ともが同じ反応をするから、司も戸惑ってしまう。 藤川がなにか言おうとするが、丁度料理が届いた為口を閉じる。全員分の定食が届き、食べ始めながら会話を再開した。


「なんだ、そんなことかよ〜」


藤川が箸で唐揚げをつつきながら、笑って言う。吉羽も河合も同じような反応だ。


「いや、でも寝ちゃったりさ、色々…」

「一条って酒入るとちょっと口調変わるんだな!新鮮だった」

「飲みすぎたら誰にでもあるだろ。吐かれた訳でもねえし」

「それよりこいつら、酔い醒ましに行った公園で大騒ぎしてたんだよ?一条よりやかましかった」

「いやぁ…あまりの懐かしさにテンション上がっちゃったよね」

「しかも革靴なのに靴飛ばししてんだよ?!ありえないでしょ。他にもさ〜…」


司が謝る流れだった筈が、いつの間にか藤川と吉羽のバカ話にすり変わっていた。 三人が、これ以上一条が気を使わないように話の流れを変えてくれたのだ。


(こいつら良い奴だなぁ…)


「ふはっ…それはヤバいな。俺が寝てる間にそんな事してたの」

「一条起きてないからバカ二人で大変だったよ!!ほんと」

「河合だって楽しげにシーソーやってたじゃねえか!!!」

「はははっ」


これ以上謝る事を三人は望んでない。司もそう感じ、自分が寝ている時に繰り広げられていたバカ話に乗っかる。


「今度は一条もブランコやろうな」

「えっ」

「なに、藤川って小学生から脳みそ成長してないの?」

「成長はしてるわ!…まぁブランコは冗談として…また今度飲みに行こう!それで今回の失態は不問!」


そうビシッと指をさされて藤川に言われ、「もちろん」と返事をする。皆が定食の半分ほど食べた頃、


「みんななんか他に飲み物頼む?」


司がそう聞く。


「ん〜俺は水でいいかな!」

「俺コーラ」

「俺オレンジ頼も」


藤川以外は水とは別に飲み物を頼んだ。


「俺ちょっとトイレ行ってくるな。行儀悪くてすまん」


そう言って、司は席を立つ。司の定食は、あと4分の1ほど残っていた。







「じゃあそろそろ会社戻りますか〜…あれ」


河合の言葉で、皆が席を立ち始める。


「なに、どしたの」

「伝票がない」

「落ちてねえの?」


吉羽がテーブルの下を覗こうとするのを、司が手で制する。


「伝票は、もうありません。ここは俺の奢りです」

「えーッいつの間に!!」

「そんな、気にしなくていいのに…」

「逆になんか悪いな」


驚く藤川とは対照的に、吉羽と河合は驚きながらも少し不服そうに言葉を発する。司が気を遣っているようなのが気に食わないようだ。


「これはお詫びじゃなくて、お礼だよ。気を遣ってるとかじゃなくて、なんかお礼がしたくて…お礼にしてはちょっと安いけど」


司は不服そうな吉羽と河合の気持ちを感じ取り、困ったような苦笑いのような、そんな笑顔を浮かべる。

そんな様子の司を見て、別に自分達と距離を取りたがってる訳では無いと知り、吉羽も河合も表情を和らげた。


「それじゃ…ご馳走様」

「ありがとね」

「なんだよ〜じゃあ俺もジュース頼めばよかった〜」

「がめつい男はモテないぞ」

「いつ払ったんだよ!」

「え、トイレに行くって立った時」

「うわ〜あそこかぁ!だって一条の飯まだ残ってたし、気にしてなかったぁ。伝票も知らぬ間に持って行ってるし…マジシャンかよ」

「だって、食べ終わった頃に行ったらあからさまだろ?流石にバレるかな〜って」

「スマートだ…あんな小さな定食屋で…ジェントルマンみたいな事しとる…」

「藤川も見習えば?」


そんな下らない話をしながら、ワイワイと会社へ戻った。

司の中で、この三人は『ただの同僚』から『すげえ良い奴ら』に変わっていた。

読んで頂きありがとうございます!



司が『友達』と言うのはかなりレアなので、同僚三人は『すげえ良い奴』で止まってます。(^^;

会社の人ならそれで充分かもしれませんね。

でもそれでもすごい進歩です!


今回はストーリーのキリがいいので、いつもより文量は少ないけど終わらせたいと思います…

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