スキル特訓1
さて、とりあえずスキル構成を最初のに戻そうと思うのですが、そうすると召喚しておけるのが2体になってしまうのですよね。
召喚獣たちには誰に残ってもらいましょうか。
「ききちゃんは確実として、後は誰にしましょうか」
皆の方を見ると、なんとなく状況を察しているのか、きなこだけが前に出てきて後の子達は下がります。
そして、きなこは背負った風呂敷からどんぐりを取り出すとそれを投げて見せました。
「これは、【投擲】スキルの扱いは任せろってことでしょうか?」
そういうことなら、投擲指導員兼癒し要員としてきなこにも頑張ってもらいましょう。
それでは、ききちゃんときなこ以外はいったん送還してしまいましょうか。
「みんな、今日はありがとうございました。そして、これかよろしくお願いします。」
そういって、5体を送還していきます。
「二人は、引き続きよろしくお願いしますね。」
そういって、ききちゃんときなこにも声をかけます
きなこは任せろとばかりに右手で自分の胸と叩き、ききちゃんも深々と頭を下げます。
「それでは、まずはスキルを直して……」
ウインドウを操作して、スキル構成を直していきます。
そういえば、まだ初期アイテムの確認もまったくしていなかったですね。
確か、スキルによって持っているアイテムが少し変わったりするんでしたよね。
武器とは剣のスキルがあれば初めから剣を持ってたりするらしいです。
私は武器スキルは持っていないのでどうなっているのでしょうか。
まず、武器カテゴリのアイテムは……
まずはくず鉄のナイフですね。
戦闘だけでなくアイテムの採集などにも使える便利装備です。
しかも初期アイテムなので壊れない特殊仕様です。
これは全員に配布されているようで、戦闘以外では意外と便利なので手放さない方がいいって攻略サイトに書いてありましたね。
攻撃力が関係ない採集、ちょっとした穴掘りとか壁を削ったりとか普通のナイフを使うにはもったいない作業に使うといいらしいです。
他には……
お、無限石袋なるアイテムが入っていますよ。
これは一応投擲武器扱いらしいですね。
効果は、無限に石ころを精製するアイテムらしいです。
これがあれば、投げる攻撃アイテムがなくなっても戦闘を継続できますね。
まぁ、攻撃力は所詮石ころなのですが。
武器屋さんとかに行くとちゃんと自動回収の効果がついたスローイングダガーとかの投擲用の武器や使い捨てのマジックジェムとかがあるようなので、これはホントにまったくお金がなくてどうしようもなくなった時用って感じでしょうね。
石ころなんてその辺でも拾えますしね。
後インベントリに入っているのは、今着ているローブとか、さっきの召喚術のチュートリアルクエストでもらった下級ポーションとかぐらいですね。
とりあえず練習にはちょうどよさそうなので無限石袋を取り出して、腰にくくりつけておきましょう
ちょうど、ベルトに止められるようになっていますね。
石の取り出しもスムーズに出来るよう、袋と言うよりはウエストポーチみたいな形になっているのですね。
それでは、まずは軽く石投げの練習から始めましょう。
投擲の最初のチュートリアルクエストは、とりあえず投げてみれば大丈夫みたいですね。
とりあえず、的から20m位離れた位置へ立ち、えいやと石を投げつけます。
すると、私の投げた石は放物線を描き、的の右下の方にぎりぎりぽこんと当たりました。
「おぉ、スキルのおかげとはいえ、何とか当たるものですね。」
本来の私の力では多分10mぐらいでも当てるのに苦労しそうなのですが、スキルのおかげで、なんとなくどんな風に投げれば目的の場所に飛んでいくか分かる感じです。
なんというか、お手本の映像を見ながら投げているような感覚といえばいいのでしょうか。
勝手に体が動いたりはしないのですが、どう動かすべきかっていう情報がなんとなく分かる感じなのです。
更に、投げた後の勢いも普通に投げるより明らかに強い気がします。
この辺もスキルとして補正されているみたいですね。
リアルで野球とかやっている人ならもっとうまく投げるのでしょうが、私ではまだ補正ありでも動いているモンスターにうまく当てる自身はあんまりないです。
しばらく、的へ向かってぺちぺちと石をぶつけていきます。
すると、きなこが私に駆け寄ってきて、そのまま足から肩まで一気に駆け上がってきます。
「おっとっと、そうしたのですかきなこ?」
きなこに尋ねると、きなこは石を投げようとして構えていた私の右手へと上り、肘の辺りを尻尾で叩きます。
「え~と、それは、肘の使い方が悪いってことでしょうか。」
そう、きなこに尋ねるときなこはその通りっと言う感じでうなずきます。
ふむ……
体の動かし方は情報として分かっているのですが、そのとおりに体を動かすって言うのは中々難しいみたいですね。
しばらく練習して慣らしていかないと、実際の戦闘は難しそうです。
そう考え、しばらく石投げを続けると、今度はききちゃんが近寄ってきて私の袖をつかみます。
そして、開きっぱなしにしていたウインドウを指差します。
「あ、そういえばクエスト達成していましたよね。教えてくれてありがとうございます。」
総機器ちゃんにお礼をいい、私はクエスト達成の処理を行います。
ききちゃんは、満足そうな笑顔でまた下がっていきました。
「え~と…… 次のクエストは武技のしようですね。初めから覚えているのはスナイプスローですか。」
この武技は、どうやら攻撃の命中率を上げるもののようです。
「ん~、普通のゲームなら命中率の上昇って言うのもなんとなく分かるのですが、VRでの命中率上昇ってどういう処理がされるのでしょうか。」
ちょっと疑問に思いながらもとりあえずやってみることにしました。
「いきます、スナイプスロー!」
武技を使い、的の中心へと向かって投げた石は、光の尾を引きつつ、途中までは普通に、的のやや中心からずれた位置へ向かっていたのですが、的の手前5メートルぐらいの位置から不自然に起動を曲げ、的の中心へぶつかりました。
「なるほど、ある程度近い位置へ投げれば後は勝手に軌道修正してくれるって訳ですね。」
確かに、これなら動き回る敵へも私でも攻撃を当てられるかもしれません。
スナイプスローのクールタイムは5秒で、使用SPは30です。
まぁ、SPは攻撃行動をとっていなければ2~3秒ですぐに回復するので遠距離から物投げるだけならそんなに気にしなくても大丈夫なはずです。
これが、近距離で複数の武技を使ってコンボを決めたりしようとするとかなり重要になってくるらしいですが。
そもそも、戦闘自体できる限り避ける方針ですしね。
流石に、次の町とかには行かなければならなくなる時は来るとは思いますが、そのときは多分レベルで押し切るしかないでしょう。
レベルを上げて物理で殴るです。
そんな感じで、1時間ぐらい石投げを続けていたら、ききちゃんに肩を叩かれました。
そして、お疲れ様です。て感じに頭をさげて、お盆に載せたオレンジジュース入りのグラスを差し出してきます。
オレンジジュース?
「あれ? これ、一体どうしたのですか。 訓練場って、どっかにドリンクバーありましたっけ?」
そうききちゃんに尋ねると、にっこり微笑んで、シュバッと手を動かしたかと思うと、更にもう一杯のオレンジジュースが用意されていました。
あ~、分かりました。これ、この子のスキルなんですね。
多分、簡単な料理系のアイテムをMPを消費して生み出すことが出来るとかそんな感じでしょう
私は、オレンジシュースを受け取り、飲み干します。
ふむ、どうやらこのオレンジジュースの効果はHP10%回復みたいですね。
「これ、他の効果がある料理も作れるんですか?」
そうききちゃんに尋ねるとふるふると首を横に振られます。
しかし、完全な否定ではないようです。
「ん~、つまり。今のレベルでは作れないってことですね。」
そう尋ねると、今度はこくこくとうなずきます。
そして、更に何か料理をするようなジェスチャーを行います。
「あ~、さらに、ちゃんと材料をそろえて料理すれば効果が高いものが出来るのですか。」
つまり、MP消費だけのお手軽作成では最低限な効果しかないものしか出来ないが、ちゃんと材料をそろえて普通に生産すればいいものが出来るってことですね。
このゲームにおいて料理はバフと回復、更に娯楽のためのアイテムになります。
基本的に空腹度などは設定されておらず。食べなくてもシステム上まったく問題ありません。
回復効果も高いのですが、流石に戦闘中に食べてるわけには行かないので基本的に冒険に出る前に食べておく、もしくはセーフティーエリアで休憩中に食べるのが一般的みたいです。
まぁ、【早食い】なんてスキルもあるぐらいですから、戦闘中でもいけないことはないみたいですが。
「あ、そういえば、ききちゃんはMP回復系の料理って作れるんですか?」
そう尋ねるとふるふると首を振られます。
「あ~、やっまりMPの自給自足は出来ないのですね。」
まぁ、MPを使ってMPを回復できたら問題になりそうですもんね。
「おっと、訓練場の残り時間、もう1時間切ってしまいましたね。そろそろ休憩も切り上げて他のスキルも使ってみましょうか。」
グラスをききちゃんに返すと、またシュバッと動いたかと思うといつの間にかグラスが消えています。
そして、私に対してにっこりと微笑んでくれます。
「はい、引き続き頑張っていきましょう。」
なんか気付いたら10000PV突破した!!
マジでびっくりです、見ていただいて本当にありがとうございます。
失踪だけはしないようにぼちぼち頑張っていきたいと思います
次は13日にでも