キャラメイク
起動済みのVRギアを頭へセットしダウンロード済みのアナザーライフオンラインを起動します。
すると、フルダイブする際の注意事項が画面へ表示されたので、警告に従いベットへと横になり完了を選択します。
そして、私の意識は段々と遠くなり、そして私は意識を失いました。
-------------------------------------------------------------------------------
私が意識を取り戻すと、そこは何もない真っ白なだけの空間でした。
「ここは、もうゲームの中なのでしょうか」
きょろきょろと辺りを見回すと目の前に、四角い板状のウインドウとその隣に私そっくりなアバターと思われるものが浮いているのが見えます。
私がそのウインドウへと近づき覗き込むと、この空間全体にアナウンスが響き渡しました。
「このたびは、アナザーライフオンラインへアクセスいただき、誠にありがとうございました。ここでは今後、あなたの分身としてナーテルの世界を冒険するアバターの作成を行うことが出来ます。」
ふむ、どうやらこのウインドウを使ってキャラメイクを行っていくようですね。
ウインドウには種族や髪の色、身長や体形などがリストで表示されていて、これの数値をいじることでアバターの外見を決定していくようです。
また、髪型などはアバターを直接触って細かく設定することも出来るようです。
更に、望むならもっと詳細な変更も出来るようですが、私はそこまで自分のアバターにこだわる予定はないので、軽く変更するにとどめる予定です。
まずは種族ですが、これは普通に人間でいきます。
選べる種族としては獣人や竜人、エルフやドワーフその他沢山って感じで用意されているのですが、このゲームの種族は外見だけでステータスなどにはまったく影響しません。
獣人で自分自身もモフモフにとかも考えたのですが、やっぱり自分の体よりもちゃんとしたモフモフたちをめでたいですからね。
髪の色は、適当に私の好きな色ということで、淡い水色、目の色は琥珀色にしました。
髪型は初期設定の中から、せっかくですから現実では難しい腰ほどまでのロングにしてみましょう。
ストレートなさらさらです。
現実ですと、こんだけ長いとかなりもてあましますし、普通に生活するのも不便になってしまうのですよね。
体形などはほぼそのままで……
えぇ、別に盛ってなんていませんよ。心なしか何かが大きくなっているのでは、とかは気のせいです。はい、気のせいなんです。
身長は、ちょっと悩んだのですが、思いっきり小さくしてみましょう。140cmくらいにします。
このほうが、きっとモフモフたちに抱きついたときに思いっきりもふれるような気がしたので思いっきりやってやりました。
キャラ名は……
瞳の色にちなんでアンバーでいきましょう。
アバターの設定はこんなものですね。
ウインドウ内の完了ボタンをぺちっとおします。
「アバター操作の完了を確認しました。ここまでの設定を保存、アバターの反映を実行してよろしいでしょうか?」
「ハイ、お願いします。」
そういうと、目の前のアバターが発光し足から光の粒子へと分解され、私へと混ざっていきます。
そして一瞬、目の前が真っ白になったと思うと、もうそこにはアバターの姿はなく、大きな鏡が一枚おいてあるだけでした。
「う~ん、思ったほど体に違和感はないのですね。多少体形をいじったからどうなるかと思ったのですが。」
そう考えながら、鏡の前で色々と自分の外見をチェックしていると
「アバターの反映を完了しました。問題がある場合は、最初から作成をやり直すことが出来ます。アバターの作成を完了してよろしいですか?」
「はい、これで大丈夫です。」
「了解しました。これにてアバター作成を完了します。また、後ほどアバターを変更したくなった場合は、専用のアイテムを使用して再度変更作業を行うことが可能です。次は職業、セットアビリティの選択を行ってください。」
「職業及びセットアビリティの説明を行いますか?」
「いえ、必要ありません。」
「了解しました。此方のウインドウより選択してください。」
ふふ、この辺りの予習はばっちりなのです。
なんといっても、情報を調べる時間だけはたっぷりとありましたからね。
こういったゲームをプレイするのは初めてなので、なかなかに大変でしたが、システムは大分理解しましたよ。
この一ヶ月ただひたすらに情報収集に明け暮れていたのは伊達ではありませんよ。
このゲームのステータスは職業と、10個のセットスキルによって決まります。
職業とセットスキルには全てステータスとレベルが設定されていてその合計値が自分のステータスとなるわけです。
まずは職業です。これは当然召喚術を専門に扱うための召喚術師で決定です。
召喚術師は召喚術に一番重要なMPが一番高くなっている職業です。
ジョブスキルも【MP+10%】になっています。
あ、ジョブスキルというのはセットスキルとは別で特定の職業についている場合適応されるスキルです。
基本的には持っているだけで効果が発揮されるものになります。
魔術師なら【魔法攻撃力+5%】戦士なら【物理攻撃力+5%】などがあるそうです。
おぉ、召喚術師だけ+10%ですね。きっと優秀なのでしょう。
はい、うそです。ぶっちゃけ、ポーション類や、セットスキルの方でいくらでも何とかできるMPよりも単純に攻撃をあげてくれたりする方がはるかに優秀らしいです。
まぁ、気を取り直して次は、セットスキルを選んでいきます。
セットスキルは【剣】や【弓】など武器を扱うためのものや【魔術:火】などの魔法。
更には【鍛冶】や【調合】などの生産系、【鍵開け】や【気配感知】更に【筋力強化】など沢山の種類があります
セットスキルには、職業との相性というものが有り、相性が悪いものはステータスの補正値が低くなってしまうのです。
例えば、【剣】のスキルを戦士の職業でセットすると100%で【剣】の分のステータスが加算されますが、魔術師だと50%ほどしか加算されなくなります。
使用自体にはなんら影響はないのですが、相性の悪いスキルを使いすぎると全体的にステータスが低くなってしまうのです。
そしてなんと、召喚術師は相性のいいセットスキルがものすごく少なく、全職業で100%のステータス強化系や召喚術ぐらいしかないのです。
通常魔術系も70%で、当然弓などの物理の遠距離系は50%。
更に生産系なども70%しかなく、全体的にかなりステータスが低くなってしまいます。
この辺りも不人気の理由らしいですね。
おそらく、その分召喚獣を呼んで数で補うのが召喚術師の戦い方なのでしょうか、その頼みの綱の召喚術も大分ポンコツ気味なのだそうです。
第一に初めに呼べるモンスターはランダムで決定なのですが、当たり外れがかなり激しいらしいです。
次に、召喚獣には召喚した後も維持コストとしてMPが少しずつかかり続けるらしいです。
このため、あまり長時間呼び続けることが出来ないそうです。
更に、当りを引いたとしても召喚獣自体のレベルアップもかなり大変だそうです。
おまけでもう一つ、召喚獣はプレイヤーとMPを共用しているらしく、召喚獣が武技などを使うとプレイヤーのMPが使用されるわけです。
召喚獣はAI操作による自動戦闘なので、MPの節約などはあまり考えてくれません。
ただでさえ、召喚獣の維持でMPを持っていかれているのに、更に武技の使用などであっというまにMPが空になってしまうそうです。
まぁ、召喚獣をかわいがりたいだけで、あまり冒険に出るつもりのない私にはあまり関係ない欠点なのですけどね。
というわけでまず選ぶべきスキルはMPの強化系の【MP強化】【MP回復増強】【魔力操作】です。
【MP強化】はそのまま、MPの総量を増やしてくれるスキルです【MP回復強化】は、非戦闘時のMPの自動回復の速度を上げてくれるものです。最後に【魔力操作】は消費MPの軽減の効果があります。
とにかく、MPの管理が重要な召喚術師には必須といっても過言ではないスキルたちです。
後は、私はあまり強くないので戦闘以外でお金を稼がなくてはいけないので、比較的相性がましな生産系とその補助である【生産の心得】【錬金術】【調合】の三つを。
更に一応最低限の戦闘用として召喚獣を強化するための【付加術】と調合や錬金術で作ったアイテムで攻撃するための【投擲】を取ります
そして最後に【召喚術】を2つ取得して完成です
そうなんです、セットスキルは同じものを2つ取得することも可能なのです。
同じスキルを取得する利点としては、ステータスをものすごく特化させたり出来ることです。
【筋力強化】×9と【斧】のスキルで戦ったプレイヤーがβテストでは居たそうです。
触れるもの全てを吹き飛ばす勢いで戦っていたそうです。
まぁ、一撃でも攻撃をもらえば簡単に倒されてしまうそうですが。
そしてもう一つ、基本的にこっちがメインになると思いますがこのゲームでは武技や魔法の待機時間がスキルごとに判定なので連続使用がしやすくなるのです。
例えば【魔術:火】の初期魔法であるファイアアローは一度使うと5秒間の間同じ【魔術:火】のスキルは使えなくなってしまうのですが、【魔術:火】を二つ所持していると一つ目のスキルが待機時間中でも二つ目のスキルが使用可能なら【魔術:火】の魔法を使うことが出来るのです。
どちらかというと【剣】などの接近系のスキルでラッシュをかけるのに複数所持する場合が多いようです。
デメリットとしては複数のスキルに経験値が分散するのでレベルアップが遅くなる点ですね。
スキルは使用回数で経験値が入るので、2個所持していると一個当り半分の経験値しか入らなくなるのです。
話を戻しまして、スキルの選択し終わりましたので私の今のステータスが此方です。
------------------------------------------------------------------------------
名前 :アンバー
職業 :召喚術師 (LV1)
HP :50
MP :305
SP :60
器用 :11
素早さ:4
筋力 :3
生命力:4
知力 :10
精神 :7
スキルポイント 0
ボーナスポイント 0
ジョブスキル
【MP+10%】
セットスキル
【MP強化】(LV1)
【MP回復増強】(LV1)
【魔力操作】(LV1)
【生産の心得】(LV1)
【錬金術】(VL1)
【調合】(LV1)
【付加術】(LV1)
【投擲】(LV1)
【召喚術】(LV1)
【召喚術】(LV1)
----------------------------------------------------------------------------
ふむ、見事なMP特化ですね。
とりあえず、これで大丈夫でしょう。
多分、まともに戦闘をすればチュートリアルエリアにいるウサギさんたちにすら瞬殺されそうな貧弱ボディですが。
そんなことを考えつつ、ウインドウ内の完了ボタンをぺちっとします。
「スキル設定の完了を確認しました。この情報を保存してよろしいですか?」
「はい、お願いします」
「了解しました。これにて全てのアバター作成の工程を完了しました。アバターの作成ボーナスとしてボーナスポイントを5P進呈します。」
ピロリンという音と共にステータスのボーナスポイントの欄にポイントが5p追加されます。
「ボーナスポイントはステータスを増やす、もしくはスキルポイントに変換することが出来ます。今使用しますか?」
「いえ、後で使おうと思います。」
ここでボーナスポイントを取っておくのには意味があります。
本当なら、可能な限り低いステータスを補うためにステータスに振ったほうがいいのですが、ネックになってくるのは召喚術の初期の契約モンスターの種類です。
もし、2体ともモフモフ系でなかったらここまでの努力がパーになってしまします。
そのため、いざとなったらスキルポイントにして【召喚術】を再取得するためにここでは使わずに、召喚が終わってから使い道を考える予定なのです。
【召喚術】は下級スキルなので取得にはスキルポイントを1Pしか使わないので最大5回やり直すことが出来ます。
出来れば最初の2回で決めたいところなのですが。
「それではこれより、始まりの都市への転送を開始します。よき旅路であることをお祈りします。」
予定よりは大分遅れてしまいましたが、いよいよ始まるのですね、私のもひとつの人生が。
そう考えたと同時に、私の目の前は真っ白になりました