プロローグ
アナザーライフオンライン、剣と魔法の世界でもう一つの人生を、をコンセプトとしたVRオンラインゲーム。
私がこのゲームを知ったのは何かの雑誌の記事だったと思います。
そこに描かれていたのは現実とまったく区別がつかないほどの、それでいて現実では決して存在できないほどの雄大な自然。
巨大なモンスター達に剣と魔法で挑む冒険者達。
そして、モフモフなモンスターと戯れる冒険者達だった。
ハイ、私はすぐにβテストへ応募しました。
この手のゲームはまったくやったことがなかったのですが、きっと大丈夫です。
VRギアもその日のうちに最新機種を購入させていただきました。
もふもふは正義です。
でも、うちは残念ながらペット禁止のアパート暮しなのです。
一度でいいから全身でがっと抱きつけるほどのモフモフに囲まれ生活してみたかったのです。
添い寝とかしてみたかったのです。
その日から、わくわくが収まらずに色々な雑誌やネットをはいかいして僅かな情報をかき集めていきました。
そして、βテストの抽選発表日。
私は、緊張と共に新品のVRギアを起動し、メールを確認する。
その結果は見事に落選。
ええ、やっぱりだめでしたよ。
早々うまくはいかないみたいです。
仕方ありません、正式リリースは1ヵ月後とのことなのでそれまで何とか我慢するとしましょう。
そう思いつつ、更にメールを読み進めていきます。
あれ、正式版も第一陣は5万人の制限がかかるのですか。
私、正直運にはホントに自信がないのですが、大丈夫でしょうか。
まぁ、とにかく応募しないことには始まりません。
幸い、βテスト応募者には正式版の応募の際の優先権があるらしいので何とかなるでしょう。
たとえテスト応募者が軽く20万人を越えていたとしても、きっと何とかなります。
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ハイ、そんなことが有ったのは2ヶ月ほど前です。
正式リリースは1ヵ月後じゃなかったのかですか?
えぇ、ゲーム自体はちゃんと1ヶ月前には運営が開始されましたよ。
第一陣への当選確率は1/4程度だったようです。
つまり、受かるよりは落ちる確立の方が高かったわけです。
だから、私が抽選でもれたのも仕方がないということです。
畜生……
ま、まぁ、気を取り直して今日は第2陣の結果発表の日です。
今日のためにネットで沢山の情報を集めました。
どうすれば、モフモフ達と仲良くなれるのかとかもしっかりと調べておきました。
あれはどうやら召喚術という魔法で呼び出されたモンスターだったようです。
もはや、キャラ構成まで完璧に決まってしまっているので、なんとしても今回こそモフモフの世界へと旅立つのです。
「すぅ、はぁ……。」
私は徐に深呼吸をし、VRギアのメーラーを起動します。
どきどきしながらメールを確認していきます。
そして……
私は無事に、モフモフたちが待っている世界、ナーテルへと旅立つことになったのです。
待っててくださいモフモフたちよ。
私は全力であなた達を愛しぬいて見せますから。
例え、ネットの情報で召喚術が産廃スキルと呼ばれていたとしても。