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〇〇を贈ります

メンズバレンタインデーには愛を(下心も)込めて〇〇を贈ります

作者: 颯樹

今日はメンズバレンタインデーなんだそうです。初めて聞いたのですが、認知度は高いんでしょうか?



タイトルを少し変更しました(20161226)

「ただいま」


9月14日、水曜日

夫が帰宅したのは、いつもよりずっと早い時間だった。

カウンターキッチンで夕食の後片付けをしていた私は時計へと目を向けた。


21時前か…早いな。何かあったのかな…?


悪いことじゃなければいいな、と思っているとリビングのドアが開く。

リビングに入ってくる夫は…いつもと変わらないように見えた。


「おかえりなさい、今日は早かったのね」

「うん、ちょっと寄りたいところがあったからさ。子供達は?」

「もう寝てるよ。運動会の練習で疲れてたみたい。ご飯、どうする?先にお風呂にする?」

「んー、今日は先に飯にしようかな。今日のおかず、何?」

「今日は海老マヨだよー。温めるから、その間に着替えてきてね」

「はいよ」


…なんだ?機嫌が良さそうだぞ。

んー、気になるけど…とりあえず悪いことがないなら、それでいいか。


なんとなく胸にモヤモヤした感じを残しつつも夕食のおかずを温めていた私は、夫のニヤリとした笑いに気がつかなかった。

そして、鞄が不自然に膨らんでいることにも……。




 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


「あー、美味しかった。ご馳走さま」

「お粗末様でした。片付けておくから、先にお風呂に入っておいでよ」

「うん、そうする」


やっぱり機嫌が良い。

そう確信した私は夫が夕食を食べている間に理由を聞き出そうとしたが、上手くはぐらかされてしまった。

聞き出すことは諦めたほうが良さそうだな。

そう判断した私が後片付けを始めようと席を立ち、キッチンへと移動していると…後ろから夫に抱きしめられた。


「な、何!?」


いきなりのことを慌てていると、両手に何かを押しつけられた。


「中、見てみて」


…?

首を傾げながら、ラッピングされた包みを開いてみるとそこには……下着が入っていた。

広げてみれば…かなり透けている。


「…コレは一体なんでしょう?」


驚きのあまり、丁寧語になった私の耳元でくすり、と夫が笑う。

吐息が耳に触れて、思わずビクリとする私の太ももを服の上からなぞりながら夫が言う。


「今日はメンズバレンタインデーなんだって。男性から女性に下着を贈って愛を告げる日。だから、お前に着てほしい下着を買ってきた。この後、着たところを見せてよ…寝室で」

「はいぃ!?」

「最近、こういうこと(・・・・・・)ご無沙汰だろ?いつも家族の為に頑張ってる俺に、ご褒美頂戴?」

「いや、あの…」

「先に寝室に行って待ってるから」


両耳にひとつずつキスをして、夫はお風呂へと消えていった。

残ったのは、ベビードールとお揃いのショーツ…そして、パニックになった私。


手の上にあるモノをまじまじと見て…顔が赤くなる。

黒地で一見すると落ち着いて見えるが…大事なところはギリギリ隠れるけれど、それ以外は肌が見えてしまうぐらいに透けている。

前見頃はリボンで結んで止めるだけ、リボンがほどければ……うん、想像力したくない。

お揃いのショーツも両サイドのリボンを結ぶ…いわゆる紐パン仕様。


…コレ、着るの?本当に!?


着ない、という選択肢が一瞬頭に浮かんだけれど…着なかった後のことを考えるとすぐに消えていった。

泣きが入るほど焦らされ、イカされ、明日動けなくなるまで抱き潰される未来しか想像出来ない…。

諦めて着るしかないか…っ。




 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



後片付けを終え、時間をかけてお風呂に入った私を待っていたのは、満面の笑みを浮かべた夫だった。


「パジャマ、脱げよ。下に着てるんだろ?」


涙目でパジャマを脱いだ私をベッドへと誘うと、そっと身体を倒される。

上から下までじっくり眺めて、満足げな表情を浮かべる夫。


「美味しそうだ…いただきます」



次の日、喉が嗄れてしまった私を心配する子供達の向こうでニヤニヤ笑っている夫をこっそり蹴ってしまった私は悪くないはずだ。

近いうちに寝室での様子をお届けできたらいいな…。

リクエスト頂けたら、調子に乗ってサクサク書けちゃうかも?(チラッ



お読み下さり、ありがとうございました。

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